2013年5月31日金曜日

ファンタジーの大切さ

 影絵画家として有名な藤城清治さんの存在を意識して(いままでも、絵本などでは見ていたのですが、素通りしていました★)、何冊か借りてきて読みました。その一冊『お母さんが読んで聞かせるお話 お見舞いにきたぞうさん』の「あとがき」の引用です。ちなみに、タイトルが「お母さん」になっているのは、本が雑誌の「暮らしの手帖」の連載を編まれて出されたものだからです。別に、藤城さんがお父さんが読んで聞かせなくてもいいとは考えていません。

 早いスピードで変革してゆく今の時代で、人間が一番忘れかけているのがファンタジーではないだろうか。
 世の中がどんどん現実的なってゆくなかで、人間にとってもっとも大切なファンタジーや夢や、やさしい心は、逆に失われていっているような気がする。いくら経済が成長し、暮らしが豊かになっていっても、心のファンタジーがともなわなければ、ほんとうの豊かさは生まれこないだろう。
 ファンタジーは子どもに大切なことはもちろんだけれど、大人にとっても大切なものだと思う。むしろ、大人にこそ、今の時代にファンタジーが必要なのだと思う。
 子どもに夢をという前に、お母さん(+お父さん+先生たち)があまりに現実的になって、夢を失ってしまっていることが多いのではないだろうか。お母さん(+お父さん+先生たち)が、よりゆたかなファンタジーを心にもたなければ、子どもの心にも美しいファンタジーは育たないだろう。子どもに夢をという前にお母さんに夢をお父さん(+先生たち)に夢をというのが、ぼくの切なる願いだ。だから僕は影絵をつくるとき、子ども向きとかいうことは考えたことはない。すべての人の心に通じるファンタジーをつくりたいと思っている。 (青字は吉田の付け足し)


★ 意識できたきっかけは、たまたま聞いていたラジオに登場して、福島原発事故の絵を線量が高い中わざわざ描きに行ったことを語っていたからです。

★★ 上の引用を取り上げた背景には、生活綴り方のことを意識していたからかもしれません。そのうちの一つは、ジャンルを特定することへの抵抗感です。

2013年5月29日水曜日

読書ノート 17

 Aimee Bucknerさんの読書ノートの実践についてのすばらしい本Notebook Connectionsの連載の最終回です

135 研修会などで、受講者が一番興味を示すのは、どうやって成績を出すのか。
 ルーブリックが、ほとんど示してくれるのが、私の方法。
 2週間毎のフィードバックやカンファランスなども、成績には現れない本当の意味での「評価」としては、子どもたちの学び(読む力)の向上には役立っている。成績は出したところで、何の役にも立たないのに対して。

136 親も、何が求められているのかがルーブリックを通して明らかなので、そして定期的な読書ノートへの教師のフィードバックを通じて形成的な評価を見ているので、総括的な評価(=成績)が出されたときには驚かない。子ども自身の自己評価も頻繁に見ているし。

 大切な一貫性。ある時のAは、別な時のA。ある子の読書ノートのAは、別の子の読書ノートのA。それがBになってしまってはまずい。

 評価が悪いイメージを持っているのは、もったいないこと。学びを促進してくれる最も効果的なものなのに。それは、これまでの捉え方、やられ方がまずかったから。それを転換するときに来ている。それには、やられ方を変えるのが一番。生徒や親までも巻き込んでいく。「自立した学び手」を育てたいのなら、自己評価を核に据える以外にいい方法はない。自己評価なしに、「自立した学び手」は不可能なんだから。
上に書いたことは、学び手側の学び方を常に修正・改善する効用だが、もう一方で、評価は教師サイドの教え方を常に修正・改善するという大きな効用もある。評価なしで(これまでのやり方=テストで)は、その可能性を葬り去っていたわけである。毎年同じことをするしか選択肢がなかった。

137 常に学び続けている。本を読んでも、その通りにはやっていない。自分流にアレンジして使っている。この本の読者にも、ぜひそうして欲しい。
 書くのがうまい子は、よく読んでいることを私たちは知っている。読むことは、書き手にとってリサーチすることと位置づけられる。よく書くためには読むしかない。


2013年5月24日金曜日

読書ノート 16

 読書ノートの有効な活用法について、Aimee Bucknerさんのすばらしい本から私がとったメモを大分長く連載してきましたが、メルマガでの配信は今回が最後になります。ブログには「17」を載せます。
 私が紹介したのはごく一部ですから、興味を持たれた方は、ぜひ原本を読んでください。

126●Free Response(自由振り返り)
 私は、1か月に1~2回は土曜日の朝、教室に来て、これまでしてきたこと、今していること、そしてこれからどこに行けばいいのかを考えて、具体的なレッスン・プランなども考えるようにしている。そして、これは不可欠なこと。
 同じようなことは、子どもたちにも大切。たまに時間を作って、「これまでしてきたこと、今していること、そしてこれからどこに行けばいいのかを考える」ことが。Guided Questionsは、それを教師からの投げかけでするが、Free Responseは各自が自分で考えてする。
 あまりたくさんを書く必要はないが、よりいい形で前に進むためには、振り返ることがとても大切。
127 子どもたちの事例

128●ルーブリック
 私の母親は、自分が通っている学校の教師をしていたので、課題を提出する前には、常に目を通してもらって、Aがもらえるようにしていた。母親は単に目を通すだけでなく、自分でできるような方法も教えてくれた。「プロジェクトの目的をしっかり理解して取り組んでいたか? 指示を全部カバーしているか? 事例やイラストをちゃんと含めたか? ちゃんと校正したか? ベストを尽くしたか?」 これらの問いに「はい」と答えられたら、Aが約束されていることを。

 ルーブリックは、生徒たちに結果をもらうまで待たなくともいいようにしたもの。上の質問すべてを網羅したものがルーブリックだから。
 期待されていることを明確にするのがルーブリックの役割  

129 3年生担当の同僚のルーブリック (読んだ反応に対するルーブリック)


  <メルマガからの続き>

                            (4段階)4 3 2 1
○考えたことについて
・以下のような方法を使って、少なくとも3つのことについて書いている
1.物語の登場人物、荒筋、背景、テーマ、扱われている問題など)
2.関連づけ
3.推測
4.質問
5.物語の中でおこっていることへの反応
・教師のフィードバックにちゃんと回答した
○考える際に大切にすること
・証拠を引用して書いている
・そう考えた理由を書いている
・読み手、書き手としての役割を理解して反応している
・ベストの反応をすべく努力した
○明瞭さ
・読み手に自分の考えたことがわかりやすいように書いた
○個性的
・読んでおもしろい/得るものがあるように書く努力をした
○その他
・しっかり校正や言語事項をチェックした上で提出した
・時間通りにきれいに書いて提出した
・手紙の様式のすべてを満たしていた
・一つの節に一つのアイディアを書いた


131 同僚のに対して、私のルーブリックの柱は4つ: 分量と方法の多様性、考察、文の構成、必要条件の達成度  ~ このうちの3つは作家ノートと同じ。それは意図的にそうしてある。両者とも深く考えるための手段だから。

132 私のルーブリック  (実際は、表になっていますが、大きいので、項目別に書き出しました。)

基準1:分量と方法の多様性
A: 分量はほとんど1ページぐらい。多様な理解の方法とノートの使い方を使いこなしている。
B: 分量は1ページ前後。ノートの使い方も理解の方法も一部しか使いこなされていない。
C: 分量はさまざま。再話と要約が中心。
D: 分量は少ない。方法やノートの使い方が少なすぎる。

基準2: 考察
A: よく考察されており、新しい解釈が提示されることも。GUMSに忠実。
B: 理解の方法を使おうとしていることが伝わってくる。GUMSも使っている。
C: 再話以上の理解が表明されていない。GUMSのマチガイがちらほら見える。
D: GUMSのマチガイがいっぱい。荒筋以外には考えていない。

基準3: 文の構成  (これって、上の思考に左右されない?)
A: 読み手を考えて構成している。思考の流れやパラグラフを効果的に使いこなしている。
B: 可もなく不可もなく、というところ
C: 構成されていない。根拠も提示されていない。
D: 考えていないことが見え見え。

基準4: 必要条件の達成度
A: 必要条件の90%以上を満たしている
B: 必要条件の80%以上を満たしている
C: 必要条件の74%以上を満たしている
D: 必要条件の73%か、それ以下しか満たしていない

133 4つの基準が明らかにしてくれる内容は、

基準1:分量と方法の多様性 によって、自分にあった本を読んでいるのか?
楽しんで読んでいるのか? むずかしめの本を読んでいるときには、どんな方法を使っているのか? やさしめの本を読んでいるときには、どんな方法を使っているのか? 理解に役立つ7つの方法やノートの使い方を使いこなしているのか? などが見えてくる。

基準2: 考察  が、もっとも客観性が薄い項目。でも、
     努力して書いているか? 文章の質?
     要約と再話を超えたものになっているか? 本から写し取ったものではなく、自分の考えを表明しているか?
     自分の声をもっているか? 本の中から例を引いているか?
     理解の7つの方法を使いこなして、深いレベルの考えを作り出せているか?

 教師が、熟慮した反応のモデルを示すことが何よりも大切。特に、新しい方法を教えるときは。他の生徒たち(前の年)の例を示すのも、とても効果的。

134 基準3: 文の構成 
 作家ノートと読書ノートの違いは、いろいろあるが、読書ノートは読み手と本とのやりとりを書き出すところ。自分の頭の中で構成して書き出すことが出来る。(それに対して、作家ノートは構成しないで書くところにこそ価値がある! 自分の考えていること/あるいは自分の頭の中にあったこともわからなかったことを筆に語らせる形で。また作家ノートは毎日最低でも1ページぐらいは書くことが想定されているが、読書ノートは数日に一回。基本的には、よく考えたものを。)
 そして、読書ノートの場合は、この本で紹介してきたように、それを可能にするいろいろな方法もあり、それを使いこなすことも大切。
 単に考えたことを書き出せばいいのではなく、どう考えたのかをわかりやすく紹介する(誰かに伝える)ことまで含まれていることを明確にしておく。 ← これがあることで、作家のサイクルと読書のサイクルが同じサイクルになる!!


基準4: 必要条件の達成度  は、一番単純。子どもたちは、最低でも週に2回書くことになっている。私は2週間に一回チェックしてフィードバックを提供している。その時に、その関したことを100%で出して、どれだけのことをノートで表わしているかを測るだけ。

  

2013年5月22日水曜日

読書ノート 15

118 Guided Questions  ← ガイド読み(Guided Reading)の応用?
 使い始めてから2~3週間たって、「読書ノートはうまく使えてる?」と質問してみる。
 子どもたちの反応は、「難しい~」。「だって、先生はドンドン新しい方法を紹介するんだもん」 ← 作家ノートも同じように、常に確認する必要がある。
 「他の子たちはどう?」
 「ワークシートを埋めるよりはずっといい」
 「これまでより、ずっと考えるようになった」
 「先生は、読書ノートは作家ノートの妹か弟のように似ているけど、違うところもいっぱいあると思っています」
 「片方は、本がベースだけど、もう片方は、自分の生活というか生活の中で考えたことがベース」
 「その通り。はじめて作家ノートを使い始めたときは、書く題材は自分で決めていい、ということだったから、何を書いていいのかなかなか決められなくてたいへんな子もいたでしょう。でも、徐々に慣れてくると、結構書くことっていっぱいあるって思えるようになってきた。そこで今日は、これまで読書ノートに書いてきたことを読み返して、どんなことを考えたか、どんな気づきや成長があったのかを書いてみてください」
 ある意味では、教師の視点から見てみる練習。
 これをするためには、教師が提示する質問に答える形でやってもらう。質問は、時期(読書ノートを使っている期間)によって異なる。 生徒によっても違う?

120 Guided Questionをどうやってつくるか


121 Guided Questionsは、一番右側の質問 + 「もし成績をつけるなら、読書ノート用のルーブリックの何に相当するかを、少なくとも2つの理由とともに、書きなさい」

 質問だけを提示するか、それとも「考えてもらう領域」も示しながらの質問にするかは、この振り返りをする時期(慣れ)による。

123 質問の全部の領域を、一度にカバーするのは子どもたちに荷が重過ぎると判断するなら、一つか二つずつ慣らしていけばいい。臨機応変に。
~124 子どもたちの回答のサンプル

125 子どもたちの回答から、見えてくるものがたくさんある。(教師だけが評価したのでは見えないものも含めて)
     7つの効果的な読み方を他教科の本を読むときに応用するのを教える
     もっとゆっくり読むときがあってもいいことを教える
     自分に合う本の選び方を教える
     イメージを作り出すことだけでなく、意味を作り出すことの大切さを教える
     新しいジャンルに挑戦してみることを教える
 など。

 これら3人のテストの結果は大分違うが、上記の回答からはみんな高いレベルで読めていることがわかるし、さらに高めるためのサポートの仕方も提示してくれている。  それほどテストは役に立たず、自己評価は役に立つものであることの証!!

2013年5月20日月曜日

読書ノート 14

 今回は、自己評価が主なテーマです。日本の評価で、自己評価はどれほど大切にされているでしょうか(あるいは、無視されているでしょうか)? 評価の核であるにもかかわらず。評価は、究極的には自己評価に還元されるのではないでしょうか。たとえ教師や親がどういう評価を下そうが。
もし、それがわかっているなら、自己評価をもっと大切に位置づけられると思うのですが。少なくとも、教師の下す評価と同じウェートで?

116 自己評価
 達成感、自己効力感を持てるようにするためにも、自己評価は不可欠。単に、自分の状況を把握するだけではなく、自己修正・改善能力を身につけるためにも。 常に教師に依存して自分の出来を評価してもらうのではなく、自分で自分の出来を把握することができることは。
 自分がどれだけのものをつくり出したいかを自らが決めることがとても大切。それは、学校でも、大学でも、会社でも、地域でも、夫婦でも。
117 自分がベストをつくしたかどうか(あるいは、ベストをつくす価値があるかどうか)を自らが判断することはとても大切なこと。
 教師のノートに一つひとつの成績を書き込むことじゃなく、子どもが自分がしていることをどう見ているのかを知ること。それによって、双方の誤解や見過ごしていることに気づけたり、成長のきっかけを見出したりもできる。

◆ 自己評価は、現時点で私のクラスでは4つの形態で行われている:教師からの質問への回答、本への反応、ルーブリック、そしてポートフォリオの作成 読書ノートは前の3つと直接関係している。
 ポートフォリオには、読んだ本のリスト、ブッククラブのやり取り、ブック・プロジェクトなど読書ノート以外のものが含まれる。← ポートフォリオは総合的な学習の時間のためではなく、そもそも各教科の評価のために開発されたものです。しかし、日本での紹介の仕方がそうなってしまいました。とても不幸なことです。評価を求められない総合的な学習の時間のための手段として紹介されてしまったことも、悲劇です。評価が必要のない教育活動など、あるはずもないのに。それを堂々とやってのける文科省も文科省ですし、やらせてしまう側にも非があります。
 大切なことは、一つの方法だけで評価しないということ。選択肢をもっていることはとても重要。何を、どのように、なんのために評価するのかによって使い分けるために。そして子どもたちによっても違うから。 ← とてつもなく、大切な視点!!

2013年5月18日土曜日

評価と連動した実践の大切さ



  昨日、書き忘れたことです。
 日本の教育書、とくに教科の指導書や活動事例集の類で、評価を含んでいるものはあまり見かけません。それほど教えることと評価することは別物と捉えられているのが、日本の教育の実態です。
 しかし、ここ15年ほど欧米の教育書を見ると、評価のセクションがないものは、存在しないといっていいぐらいです。両者は切りはなせない関係にあるからです。(評価を考えないで、指導を考えることはできない、ととらえられているわけです。)
 この違いが生み出すものは、あまりにも大きいです。
 片方は、単なる活動をこなすことや教科書をカバーして、単元テストや中間・期末などのテストをするだけで、それが学びにフィードバックされることはありません。それに対して、WWやRWを含めて、学ぶことを単体の活動としてではなく、連続したものととらえますから、それが常に子どもたちの学びや教師の指導にフィードバックされ、修正・改善が常に行われる仕組みになっています。
 早く、日本にもこの視点が導入されないと、いつまでたっても「教えたつもり」が続くだけです。そのためには、しっかり評価とは何かを理解しないと。それは、テストでも、成績でも、通知表でもありません。日々指導と並行して行われているものです。その具体的な方法も多様にあります。教科や子どもたちのニーズ等に応じて、選ぶ必要があります。何のために? よりよい学びをつくり出すために。よりよい指導につなげるために。残念ながら、日本の評価には、この最後の視点が99%欠落しているのではないでしょうか?

2013年5月17日金曜日

読書ノート 13


 Aimee Bucknerの読書ノートについてのすばらしい本「Notebook Connections」の紹介が続いています。これを、作家ノートに応用することは容易だと思います。というか、そもそも彼女自身、あまりにも自分の作家ノートの実践がよかったので(それを、まとめたのが「Notebook Know-How」)、それを読書に応用したという経緯ですから。ぜひ、原本および作家ノートの本をご覧ください。私のメモよりもはるかに多くの情報が入手できます。英語では、読みと書きの両方で、こういう紹介したくなる本が、少なくとも20冊前後、過去15年ぐらい毎年出続けています。
 数字は、本のページ数。青字(斜字)は、私のコメントです。

第6章 教えながらの評価
113 テストと評価の違い
 テストは、教え終わったときに行われるもの: 単元、学期、年度末(学力テストのように、それとは関係なく行われるものもある)
 その結果が、受けた生徒たちにフィードバックされるのは点数だけで、さらによく学べる形では何も寄与しない。よくて、次の学年の生徒たちに対する教え方が変わるかな、という程度。しかし、1年後のことなので、変える必要性すら忘れてしまうので、結果的には同じことが繰り返されるだけ。
 じゃ、テストはいったい何のために行われているの? 「評価するため」 それが、テストと評価は同じものとして捉えられる所以。 しかし、本当は違う。テストは学んだ結果を、ある時点で生徒が覚えていることを特定の質問の仕方で測ろうというもの。というよりは、「成績を出すための手段」 そのことを「評価」と捉えてきたが、「本当の評価」とは、日々行われるもの。「Sit beside」が評価の本当の意味。テストは、「生徒の隣に座る」ことはしない。ましてや、学力テストなどは出題者と子どもたちとの関係はまったくない。「Sit beside」の評価=「本当の評価」は、子どもたちの状態を把握し、それに応じて子どもたちが一歩前進できるようにするためのフィードバックを行うもの。つまり、子どもの学び方を修正・改善するもの。そのためには、教師の子どもへの接し方や教え方を修正・改善することが前提にもなる。それも、日々。これをするための一番いい方法がカンファランス(あるいはコーチング)。要するに、子どもと教師が話し合う方法。それも、教師はどちらかというと聞く方にウェートを置いた形で。そうすることによって、子どもの状況やニーズをはじめて把握することができるから。教えてばかりいては、子どもの状況やニーズに応じられないことを意味する。
114 評価は、一回限り(一発)でなく、「継続的」というのも大きな特徴。成長を時系列にしっかりと見ている。優れている(他の子どもたちのモデルになるような)点も、欠けている点(課題やニーズ)も見ている。前者はさらに伸ばし、後者は克服ないし改善するためのものが「評価」そうして集められたたくさんの情報は、「いま」私が教える際に役立てられる。しかし、テストはそんなことはいくらやってもしてくれない!!生徒たちは「いま」どこにいて、数週間前はどこにいて、どこに行かせたいかのイメージもあるから、一歩前進させるために何がベストかの判断ができる。その判断を助けるのが「評価」
 目的を明確にし、それを達成するための方法も明確にする必要がある。生徒たちに責任と役割を委ねる前に。 ←この発想が大事だ。日本の教育の中にあるのかな?? 試行錯誤のアプローチの大切さを否定しているわけではなく、目的意識をしっかり持ってのぞむことが大切であるということが言いたい。


  <メルマガからの続き>



115 読書ノートを使って達成したいこと の表
 自問すべきこと                  それに対する私の反応       
・カリキュラムの何を達成したいのか?    ・登場人物、粗筋、背景
                      ・登場人物の特徴と関係の把握
                      ・7つの効果的な読み方を使いこなして読んでいること
                      ・比較、対照
                      ・テーマ
                      ・比喩やたとえ
書くことをどうサポートするか?       ・鑑賞的、分析的、批判的に反応すること
                       ・自分も使ってみたい言葉や文章をみつける
                      ・これまでに紹介してきた活動を通して
・読書ノートの書き込む頻度は?       ・週に2,3回
                      ・自立性を養うために家で書き込めるように
・子どもたちの役割/責任                ・7つの効果的な読み方を使いこなしている証明
                      ・熟考した本への反応
                      ・自立した読み手として成長している証

 このリストを見ていえることは、読書ノートから得られることの多さ。でも確認しておきたいことは、読書ノートはRW(読むことを教える)の中のごく一部に過ぎないということ。読むことの評価の中でも一部を占めるに過ぎないということ。
 成績はつけないといけない義務がある。それをどうつけるかは教師に委ねられているのでありがたい。事前に、何をどのように評価するのかを知っていることで、子どもたちの成長に寄り添うことができる。 「教師が一生懸命にがんばって教えた後にテストする」という方法をとらなくて済む。 だからといって、すべて決め決めで臨むわけではない。すべては流動的なので。それは、どんなすぐれたレッスン・プランをつくったところで、子どもたちの反応によって臨機応変に計画は改められ、進む方向が変わることは余儀なくされる。そしてそれは、とてもいいこと。子どもたちの考えを無視して計画通りに進めることに、本当にそれだけの価値があるんだろうか? 評価も、それ(指導)と同じ。常に、子どもたちの考えやニーズに応じてベストに接することが求められる。それがresponsive teaching/assessment
 また、子どもたちを評価に参加してもらうことも大切にしている。決して、評価は教師が生徒に行うだけのものではない。どちらかといえば、生徒たち自身が行うウェートの方が多いと思うぐらいの方がいい。ゆくゆくは「自立した読み手」や「自立した書き手」になってもらいたいのだから、「自立した評価者」になってもらうことは、その不可欠な要素。それなくして「自立した読み手・書き手・学び手」になることは不可能。



2013年5月15日水曜日

読書ノート 12

●登場人物の分析
99 特定の(話し合うのに価値がある)人物を表わす「ことば」を出し合う
 出し合った中から一つを選んで、その人物について読書ノートに書かせる
 この方法は、扱った本の中の他の登場人物にも、他の本の登場人物にもできる!!

101 もし、その人がそういう特徴をもっているなら、次にどんなことをするか推測して書いてみる
 人物に関して予想できることを書くように促す。

●登場人物の関係
102 作家は、何の意味もなく人物を登場させることはない。(映画の中のエキストラのような存在はない)
  そして、登場人物たちは何らかの関係をもっている
  
  必ず使う本と、常に新しいのを探して紹介することとの2本立てが効果的

104 登場人物の関係を図で表わす。(関係と各自の特徴を) ~ そうすることで本の登場人物の全体像が一目で見える
 この方法は、とても効果的で、個人で読んでいる本でも多くの子どもがやりだした。 ~ 結構、大々的に宣伝している映画などでは、こういうのをサイトに載せてわかりやすくしている例が多い。

105 WWとの関連: 物語を書くときに、この関係図を書くことからはじめると、登場人物の特徴や関係をはっきりさせることができる。登場しなくてもいい人がたくさん見つかる場合も。

 自分がブッククラブをするときは、誰かが言ったことが自分の考えを深めたり、広めたり、場合によっては修正したりして、そのことを書き出すことが結構ある。
 子どもたちは、これを自然にはやってくれない。でも価値あることなので、何とかしてもらう方法はないかと考え続けている。それをするためのこちらからの投げかけをせずに。

106 効果的な読み方★が定着すると、「何を考えているの?」と聞くだけで、子どもたちは答えてくれるようになる。効果的な読み方を使いこなして読むことが習慣になっている。
107 そうなると、私の役割は子どもたちが言うことをよく聞いて、さらに子どもたちの思考を発展させる問いかけをすることになる。 ← もちろん、これも子ども同士でできるようにもっていくのが理想!!
 理想は、大人のブッククラブでのやりとり、およびその後に引きずって考え続けることを子どもたちができるようになること(そのプロセスで、必要なことをメモするようになることも)

 その意味で、考えていることのモデルを見せることは、とても大切。
     考え聞かせの形で
     メモをとる形で

108 みんなで読んでいる本の登場人物の関係について、読書ノートに書き出させる(関係図ももちろん使っていい)
 事前に用意してある(指導書に書いてある)質問は、子どもたちが何を考えようが、考えていまいが、やることが決まっている質問。それに対して、ここで私が投げかけたのはあくまでも子どもたちのやりとり(思考)を一歩前進するための質問。この違いは大きい。前者は、教師があらかじめ決めたシナリオどおりに(レールの上を)進めるだけ。子どもが何を考えようがおかまいなし。
110 実際に、子どもが書いた/描いた例が紹介されている

111 自ら自問自答できるようにすることが目的。教師に尋ねられたからではなく。
     これについて自分はどう考えるのか?
     これは自分とどういうかかわりがあるのか?
     他に関連することや知りたいことは何か?
 このように考えられるようになると、作家ノートの題材もドンドン増えていく!!


★ 効果的な読み方については、『「読む力」はこうしてつける』のパート2で詳しく紹介されています。

2013年5月13日月曜日

読書ノート 11 


第5章 ストーリーの下: 隠れているものを掘り起こす

87 WWでしていることをRWに応用するのはとても効果的
  (作家ノート)   (読書ノート)
  書くときには、かなり準備をする。頭の中で、作家ノートを使って、友達に話したり。
  でも、同じことは読むときにはしない。 手にとって読み始める。

89 この章は、Katie Wood RayWondrous WordsStudy Drivenを参考にしている

●言外の意味、暗示的意味

 例:ルイス・サッカーの穴~「キャンプに行く」 読者は楽しみに出かけると錯覚する


93 言外の意味、暗示的意味の活動
目的: 作家がある言葉を異なる意味で使っている例
    読者が思いもしないような意味で、あえて使っている例
方法: ラングストン・ヒューズの「夢」かルイス・サッカーの『穴』を使って
    まずは、「夢」からイメージするものを出してもらった上で、詩を読んでどんな夢について語っているかを話し合う。 『穴』の「キャンプ」も同じ

●テーマ
94 これまでは、量を読むほうに重きを置いていた(従って、本のテーマについて考える、なんていうことはしていなかった)。でも、ここしばらくは、量を落としてもテーマについてもっと考えることを大切にしたいと思うようになった。もちろん、それをする価値がある本を選ぶことが大切だが。
 本のテーマに関するキーワードを提供して、それに関連することを読書ノートに書き込むように言う。
 顕微鏡のようなもの。それを通してみると、対象がよく見える。単に本の話(再話)をするのではなく、テーマを通して本を読むことができる。
 複数の本を提示して、選べるようにする。
96 ペアで話したり、全体で話したりして、多様なモデルを提供する。

   キーワード(ことば):「自己中心」の事例
        そうであること/そうでないこと
     いま読んでいる本との関連
     考え続けるべき質問

97 子どもが「コントロール」で考えた例の紹介

98 テーマを使った活動のWWとの関連:
  自分が書いてきたものを見直して、どんなテーマが浮かび上がるかを考える。
  そのキーワードが自分にとってどんな意味を持っているのか?
  キーワードの具体的な例
  キーワードの反対の例
  これらから、たくさんの題材が生まれるはず

2013年5月10日金曜日

読書ノート 10


 前回(読書ノート9)に引き続き、「作家のように読む」がテーマです。

73 作家のように読む
○読み手として
     いいと思ったところを読んだときは、止まる
     戻って、そこを2~3回読み直す
     読み手として作家がしていたどんなことがよかったのか/気を引いたのかを見つける
     そのことを読書ノートに書いておく
○書き手として
     読んでいて気がついた「作家の技」を自分の書く文章で使ってみる
     してみようと思ったことをメモしておく(あとで使えるように/カンファランスで話せるように) ← これは、読み手としての最後のポイントと同じ?? こうなると、読書ノートと作家ノートがダブってくる。

真似ることをほめる。 ← 本物の作家たちも、そこからスタートしているんだから。
 真似ることは、カムボーンのモデル(8つのステップ)の中にも含まれている大切な要素。
76 でも、単に真似して終わりではなく、さらに磨きをかけたり、他の可能性を見出せるようにサポートしたり、よりよい読み手/書き手になれるように次の段階や方向性を示してあげるのが教師の役割

 人間関係で好みをもつことは避けた方がいいが、本は別。大いに奨励すべき。
78 著者が、ジュリアス・レスターがいかに「作家の技」を駆使して書いているかを説明しているところ。
   いい作家の技/文章を見つけることで、それを使い始める

●お気に入りの作家
目的: お気に入りの作家を持つことは、自分が書く際のメンターを手に入れること
    それが作家のように読むことを可能にしてくれる
方法: まずは、自分のお気に入りを紹介して、何がどう好きなのかを話してきかせる。
    次に、みんなに自分のお気に入りをもってこさせて、紹介しあう。リストアップして貼り出す。
書くこととの関連:  有名な作家たちですら同じことをしている!! 自分の好きな作家の文章をくりかえし読むことで、作家のように読むことが可能になり、使っている文章/作家の技が伝播されてくる。 これは、作家ノートを使って行う。
    ← 村上春樹さんも、作家になる前にフィッツジェラルドの作品を細かく分析した!

79 猫の物語を書くのであれば、猫に関して集められるだけ読んで、いいと思ったのを書き出し、それを参考にする。プロの作家たちも使っている方法なんだから、自分の子どもたちが使わない手はない!!

 いい1冊か2冊か3冊あれば、ほとんどの「作家の技」はカバーできる。
 その方が、教師にとっても、生徒たちにとっても楽。

80 一冊ノートで読み・書きの両方をやるか、それぞれがいいかは、究極的には生徒の判断。教師の都合で押し付けるのはまずい。頭の切り替えができるかはポイント

81 あまり本を読んでいない教師へのアドバイス
     誰もお気に入りの作家はいる。そこからスタートすればいい
     メンター・テキストとして使うには最低でも3つ価値あることがあるかがポイント
     子どもたちが見つけてくれることもある!!!

82 『アフリカの大きな木バオバブ』ミリアム・モス文 の場合の3つ

85 一緒に読むことも大切。受け取り方が違うから。

2013年5月8日水曜日

読書ノート 9  

第4章 作家のように読む
60 多くの人にとって、読むことと書くことのつながりは見えていない。読むことと学ぶこと/考えることのつながりも見ていないんじゃない!! 私も、長いこと見えてませんでした。 多くの作家たちは、書くためには読まないとダメ!と言っている。子どもたちにはもちろん、親たちにも2つのつながりをわかりやすく説明することは、とても大切なこと
61 ピアジェの具体的なものから抽象的なものへは、算数ではわかりやすい。物を使った計算から、式を使った計算へ。
 読みから書きへの移行も、具体的に書かれた作品から、自分が白紙から作り出す作品への移行(具体的なものから抽象的なものへの移行)で説明がつく。とてもわかりやすい!
 たくさん読めば読むほど、自分の中に書くときのための駒が蓄積されていく。← 将棋の棋士がしているようなもの。過去の取り口を読み直すことで、自分がとるときの参考にしていく
 ヴィゴッツキーの理論もサポートしてくれている。責任の移行★も。一歩先のモデルを示されることで、それが自分だけでできるようになっていく。
 自分にあった選書ができるようになることは、書くことの練習(題材探し)の練習になっている。
62 これらのことをうまくまとめてくれているのがBrain Cambourneの自然学習モデルの8つのステップ★★
63 いい文章に浸ることで、書くときの準備がはじまっている。
絵本の『ヘンリー・ブラウンの誕生日』を使った事例の紹介
 息を呑みながら読んだところあった?
 書き手の立場に立って読んでみる
64 それを示す具体的な子どもたちとのやりとり
65 Ralph Fretcherがいう「slowing down the hot spot
  絵本で使われていた「作家の技」を教師が書いた文章で示す ← そうだよ、この作家の技をたくさん身につけるのが、読むことと書くことのつながり。でも、ただ読んでいるだけじゃ、「作家の技」を見出せない子はたくさんいるから、それを立ち止まってしっかり教える必要がある。それが、WWでするのか、RWでするのかはどちらでもいい。
  その上で、子どもたちにも使ってみることを奨励する
66 子どもたちが新しい「作家の技」を試してみたら、ほめる。
  浸らせる、モデルを見せる、試す、ほめるのサイクルをどんどん回し続ける。

 Katie Wood RayFrank Smithが、作家のように読むことを奨励している。
 でも、それを9歳児にどうやって教えるのか?
 ミニ・レッスンのあとに、自分が書いた文章を読み直してみて、今日教わったことが使えそうなところを探してみることをしてもらう。なかったら、教師がモデルを見せたように自分で書いてみる。
 「作家のように読む」ことは、本物の作家や教師や友だちの文をその視点で読むだけでなく、自分が書いたものも含まれる。
 「作家のように読む」ことは、ただ読むのとは違う。ブッククラブのために読むのとも違う。好きな本を読み直すのとも違う。書き手の視点で読むこと。 ← そのためには、時間/機会をつくる必要がある。私でさえまだできていませんから。

 これを練習するには、リテラチャー・サークルがいい。中でも、「表現係」が。
 リテラチャー・サークル(特に、表現係=「作家の技」発見係)の価値は、これにあると言っても過言ではない。
68 これができるようになることで、よりよい書き手になっていく。
息を呑んだ箇所、笑った箇所、泣いた箇所、唸った箇所などが、「作家の技」が使われているところ
 それをやるのに読書ノートを使おうが、作家ノートを使おうが、それは問題じゃない。
2つを一つにして使っている先生もいる。
 たくさんのメンター・テキストをもっていると便利。それぞれの「作家の技」を教えるために。
69 『クレージー・マギーの伝説』は、効果的な読みの方法★★★と作家の技を同時に学ぶには、おすすめの本。
70 『クレージー・マギーの伝説』の131~2ページを使った実例の紹介。
 これをする時は、3回読んでいる。まずは、教師が読み聞かせをするだけ。2回目は、教師が読みながら、子どもたちは印をつける。3回目は、各自が考えたことを書き出す。
71 くりかえし読まないと、書き手としての立場に立てない。(最初のうちは、内容を理解しようとして「読み手」でしかあり得ないから。最初に見た文章を「書き手」として読むことは不可能!!) くりかえし読むうちに、内容以外のものが見えるようになる。
 だからこそ、メンター・テキストが大切。内容はすでに知っているもの、という前提。
 自分自身、同じメンター・テキストを繰り返し使うたびに、新しく見えてくるものがある。
 書き終わったら、ボランティアにOHPで説明してもらう。子どもたちは、説明するのも好きだし、他の子のを聞くのも好き。なかなかできない子たちにとっては、教師以外のクラスメートからサポートを得られる貴重な時間。もちろん、参考にするのは大歓迎。


★ 『「読む力」はこうしてつける』の66~8ページを参照。
★★ 同、65~6ページを参照。
★★★ 『「読む力」はこうしてつける』は、これを紹介するために書かれた本です。

2013年5月7日火曜日

読書ノート 8


52●要約
 Reading Between the Linesで紹介されている、教師と生徒との間で行われる読んだものについてやりとり(手紙の交換)はとても有効。 → Atwellも使っている方法。「あのね帳」の読書版? 読書感想文とは根本的に違う! 「やりとり」が+αを生み出す。
 でも、子どもたちの書くことのほとんどは再話。読んで何を考えたのか、感じたのかが少なすぎる。そこで、再話と要約の違いを教えることからはじめる。

要約                      再話                 
・読んだ内容のまとめ              ・内容を書いている
・ハイライトを書き出している     ・覚えている詳しいことを全部書き出している
・主要な点だけ書いている           ・書いてあった(起こった)順番に書いている
・最低限のことしか書かない         ・読んでない人に全部を教えるように書く
・はじめと終わりだけで、真ん中なし  ・要約以上で本以下のもの
・とても短い                    ・全部を語っている

53 要約は、考えないといけないから、大変。
   何が大切かを見極めて、解釈しないといけないから難しい。
   再話は、考える必要がない。単に思い出すだけ。

   「たくさん書くほうが価値がある」と思い込んでいる。いい評価がもらえると思っている。でも、「少ない方が、本当はたくさん」なんだということをくりかえし言う必要がある。たくさん考えた方がいいことを。 モデルで示す?

54 Deeper Reading他、Gallagherの本はとても参考になる!!
55 5つのこと(文章ないし箇条書き)しか書けないという制約を設ける
目的: 再話させないこと
内容: 単純に5つのことしか書けない
ポイント: 書き出したものからカンファランスをすると得るものが多い。書き出さなかったことにも話が及ぶ
56 5つの文章に制約した「わけ」 → Notebook Know-Howの5つの質問から
    ・誰が ~ 大切な登場人物
              ・何を求めているのか(しているのか?)
              ・でも ~ それを妨げるものは?
              ・そして ~ 主人公がすることは?
              ・結果は ~ 結末は?

 最初は、とにかく5つの文章(ないし箇条書き)からスタートして、徐々にこれら5つを順番に紹介していく。WWで先にやろうと、RWで紹介しようと関係ない。どちらにも使える方法だから。

2013年5月3日金曜日

読書ノート 7


エイミー・バックナーさんの「読書ノート」に関するすばらしい本からのメモが続いています。

42 
● より詳しく見てみる
目的: 作家が書いてなくても、見えるものを表現してみる
方法: 41で紹介されているように、考え聞かせ(ないし、子どもたちとのやりとり)を使って、書いていることやいないことで、自分が見えている詳細について書き出す/語り合う
WWへの応用: 「直接書かないで、描く」に使える

●掘り下げて読む
43 WWでは、いい文章を取り出して、気に入った言葉や文章、作家の技などを探し出すことをよくする。そして、それをすることで、子どもたちは真似するようになる。→ 作家になった人たちの多くが、まさに最初にすること。

 この同じ方法を、RW(優れた読み手が使っている効果的な読み方)で使う。
 読むのが嫌いな子たちにとっては、短い文章を読み直して、そこを詳しく分析するチャンスが提供される。個人対象よりも、ガイド読みとしてすることが多い。

44~45 推測する のガイド読み★の紹介

45 書くときの読み直しは、欠かせないステップなのに、読むときの読み直しは時間の無駄と捉えられている。読み直すことは弱みとさえ捉えられている。でも、読むたびに得られるものは違う!!
 Deeper Reading深く読む(by Kelly Gallagher)では、あくまでも下読み、と位置づけている。2回目以降の読みで、より詳しい内容について掘り下げて読めるようになる。

46 2~3回読ませるための仕組み ~ 1回読んだらそれでいい、と思っている子たちに、くりかえし読むことの価値を発見してもらう。1回は自分で、そしてグループで読んで話し合うためにもう一回読む。そして、その後にもう一回読んで、発見したことを書かせる。


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47●気に入った文章や言葉

 気に入った箇所を書き写して、それについて考えたこと等を書き出す。
48 上のことが、アクティビティとして書かれている。
 WWでは自分が書いたものを読み直して、修正は頻繁に行われる。読むときも同じ!! 特に、いい本は。一回で得られるものは、数分の一。

49●つながっていないものをつなげる
算数のvan de walle and lovinTeaching Student-Centered Mathematics: Grades 5-8)を引用している。すでに知っていることと結びつけて学ぶ。(その方法しかない?!)
 読むときも同じ。学ぶとき/考えるときは、常に!!(その方法しかない?!)
 でも、「結び付けすぎ」「つなげすぎ」という問題も生じている。理解するの役立たない関連の氾濫現象!! したがって、それらを読書ノートに書き出させるのは時間の無駄以外の何物でもないので、しっかり違いを教えることは大切。
 書く題材として役立つ「関連」はあり得るが、読むのを深めるために役立たないものは読書ノートに書き出すのではなく、作家ノートに書くようにする。
51 上のことがアクティビティとしてまとめてある。


★ 「ガイド読み」について、詳しくは『リーディング・ワークショップ』および現在執筆中のそれの日本での実践版を参照してください。後者は、あと数か月で出版予定です。