8月20日の書き込み、ちょっとイメージしにくいという反応もいただいたので、もう少し補足したいと思いつつ日が過ぎてしまって申し訳 ありません。近いうちに、他の本も見つつ、もう少し補足できればと思っています。
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さて、今日は「修正を教えるために先生が書いている途中の自分の作品をつかって教え る」ということについて、少し書きたいと思います。
よい点を具体的にほめることは、『ライティング・ワークショップ』(新評論、 2007年)でも、推奨されています(41ページ、70-71ページ等)。しかし、教師から見てでき ていないと思う点をどのように扱っていくのかは、かなり工夫が必要だと思います。
さて、That Workshop Book (Samantha Bellnett著、Heinemann, 2007)という本に、 よりよい修正(しかも子ども同士による)を教えるために、先生の書いたものを使 ってミニ・レッスンで教える、という方法が載っていましたので、紹介します。
題材さがし、そして下書きをして、それで「完成!」と思う子どもが多いときに は、「修正してよりよくしよう」ということを教えるのには、絶好の機会だと著者は 言っています(125ページ)。
(以下はこの本の125-130ページからです)。
それで、「どうやって書き終わった(この作品は完成した)って分かるの? 近く の人と話してみて」と言って、それから子どもたちの発言を基に、クラスで「書き終わったとは?」というリスト をつくります.
(この本に出ているリストを見ると、例えば、「文法を直した」、「チェックリスト をつかった」、「ツールをつかった」等々と書いてあります。もちろん、こういうこ とは一人でも二人でもできますが、特に友達に読んでもらうことを意識して書かれている印象はありません。人に読んでもらうのを意識した項目は一つだけで、それは 「いろいろなツールを使った」という項目のしたに、「辞書、類語辞典、エキスパー ト、メンター・テキスト」と書いてあって、このエキスパートは、クラスの子で自分よ り、ある分野が得意な子を意識しているのかもしれません)。
それから先生は自分の書いている途中の作品を取り出します。そして「先生にとっ て、書いている作品をよりよくする最善の方法は、「親切で、具体的で、助けになる」フィードバックを、その作品にもらうことだ、といいます。
そして、先生の作品をみんなにその場で読んでもらって、「親切で、具体的で、助けになる」フィー ドバックを一つ、付箋に書いて貼ってもらいます。
そしてそのあと、子どもたちもそのミニ・レッスンで学んだことをお互いにしてみます。
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→ 「完成した」と思っている子どもたちに、「言語事項を直しなさい」、というのは簡単かもしれません。
しかし、「作品をよりよくするために(校正でなくて)修正をする」ことを教えるのは、やはり修正してよくなったと実感しないと難しいと思います(修正と校正の違いについては、『ライティング・ワークショップ』(新評論、2007年)の85-88ページをご覧ください)。
日常生活で、書いている作品をよりよくする最善の方法は、「親切で、具体的で、助けになる」フィードバックを、その作品にもらうこと」という経験が、教師も生徒も意外に少ないのかもしれません。
教師自身が、自分の書いているものについて「親切で、具体的で、助けになる」フィードバックを誰かにする、あるいはしてもらう、そういう仲間が大切かも、と思いつつ読みました。というのは、私自身、「親切で、具体的で、助けになる」フィードバックの価値を実感したのは、比較的最近のことなのです。
そして、実感すると、それはとても強力なので、益々そう思うのかもしれません。
そういう仲間がいる人は、ぜひ「仲間にフィードバックをもらう前の作品」と「フィードバックをもらった後の作品」を、実際に子どもに見せて、その価値を熱く語るのもいいのではないかと思います。