RWでは目的やジャンルに応じて、いろいろな読み方を教えます。
それは、ちょうど書くときに、構想⇒下書き⇒推敲⇒校正⇒出版というプロセスが、一つの決まりきった、直線的なプロセスとして進まないことを教えるのと、似ているのかもしれません。
1冊を読了するまでに、「1ページ目から直線的に最後のページに向って読み進む」以外の読み方が「あり」なことを学ぶことは、現実に即していると思います。
そんなことを改めて思ったのは、ここ数日、私自身がある本を読み始めて、「リーディングのフロー状態から抜ける読み方」をせざるを得なかったからです。
通勤の帰路、RW関係の本の中で出てきた中学生ぐらいが対象の本を読み始めました。それが面白くて、就寝前に「今日、途中までになっている章だけ読み終えて寝よう」と思ったのですが、その章でやめることができないのです。「まずい!」と思いました。
「自律心をもって、決めたところで本を閉じる」という強い決意も必要だと思いますが、「どうしても、本を閉じれないときの対応方法」がないと、次の日、寝不足で体調を崩すことになります。「フローから抜けなければいけないときにどう対応するのか」というのも、学期が進むと一つのミニ・レッスンのトピックかも、と思いました。
しおりをはさんで「今日はここまで」はできませんが、かといって最後だけ読むこともしたくなかったので、今回、私が行ったのは、「超とばし読み」でした。それで、なんとか最後まで目を通して、眠りにつきました。翌日からは、結末も、そこに辿り着くまでのストーリーもわかっているので、「安心して、心安らかに?」、超とばし読みした章を、じっくり、読みたいところから読んでいます。
本によっては目次のタイトルだけ読む、とか、レビューやあらすじを読む等、いろいろな方法はああると思います。今回の場合は、私は読み直しを十分に楽しめているので、自分としては「悪くなかった」方法で、今後、一つの選択肢として、再度使うこともありそうです。
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リーディングのフロー状態(リーディング・ゾーン)から、抜けざるを得なかったことを考えているうちに、ブログRWWW便り(http://wwletter.blogspot.jp/)でも、度々とりあげている、ダニエル・ペナック氏の「読者の権利 10箇条」を思い出しました。(例えば、2012年4月20日や2012年11月17日です。)
第2条の「飛ばし読みする権利」はまさに私がフローから抜けるために必要としていたことでしたし、翌日からは、第3条の「読み返す権利」を楽しんでいます。読んでいる間は、第6条の「本の世界に入り込んで空想し・現実逃避する権利」でしょうか。
それだけフローになった本だと、どんなすごい本か、と思われるかもしれませんが、おそらく私と波長があっただけで、他の人が高く評価するか?と言われると自信は全くありません。第10条の権利は、「自分の好みを擁護しなくてよい権利」(The right to not defend your tastes)となっているので、理由や言い訳を書かなくてよいのも嬉しいです。
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・読者の権利10箇条は、邦訳があり、『ペナック先生の愉快な読書法―読者の権利10ヶ条』ダニエル・ペナック著、藤原書店、2006年です。
・私と波長が合ってしまった本は、邦訳が出ていませんが、中学生ぐらいが対象の本で、Gordon Korman 著 『Schooled』、 Disney Hyperion, 2007です。