『ライティング・ワークショップ』(新評論、2007年)の著者は、もし書くことについて一項目しか教えることができないのであれば、「読み直すこと」を教えると言っています(89-90ページ)。
もし、私が同じ問いを問われたら、「読者意識」と答えると思います。「読み直す」ことと密接につながっていますから。
読者を意識するからこそ、読み直します。そして、読者が誰であるのかによって、読み直し方も、当然、変わってきます。
ライティング・ワークショップでは、「出版」を「読者に向かっての作品の発信」ととらえ、いわゆる印刷物での出版だけでなくて、口頭での発表も含めています。また学校内外での「掲示」も「出版」に含まれています。
『作家の時間』(新評論、2008年)の第8章は「出版」で、教室内外で、『作家の時間』の執筆メンバーが行った出版例が挙げられています。
「みんなの前で読む」という出版に、クラス全体で取り組んだときの様子も説明されています(136-137ページ)。
『作家の時間』8章では、いろいろな出版方法が紹介されていますが、そこから、以下、いくつかを紹介します(137-138ページ参照)。
✍ 隣のクラスに行って読む
✍ 保護者会で家の人への手紙を読む
✍ 校内放送(お昼の放送)で読む。
✍ 高学年の子どもが1年生の教室に行って読む。
✍ クリアーファイルにいれて、教室に掲示する。
✍ お薦めの本の紹介を掲示する。
✍ 掲示する図工の絵に話をつける。
上にあるように、「中身」を本の紹介にすると、読み書きのつながりもでき、かつ、読者は、いい本を知ることもできますから、一石二鳥です。
アメリカの優れた実践者アトウェル氏の学校の子どもたちも、しっかり「出版」をしています。アトウェル氏の本★の中では、17 もの出版方法をリストしています。
幸い、この方法をすべて日本語でリストしてくれているブログがあります。「あすこま」さんのブログの「これだけある、アトウェルの『出版』の方法」です。以下のURLからぜひご覧ください。
http://askoma.info/2015/06/06/1119
その中には、「質問状、お礼状、不満、葉書、ファンレター等々の通信の形(手紙)にする」というのも、ありましたが、そういえば『ライティング・ワークショップ』(88ページ)でも、 「おばあさんに手紙を書く」というのも、ありました。
実際に子どものニーズと一致する(ちょうど、御礼状をかかないといけない等)ようにするのも、いいと思います。
それ以外にも、『ライティング・ワークショップ』(88ページ)には、「ベビー・シッターをアルバイトでする人のための具体的なアドバイス」みたいなのもありました。
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「読者意識」はライティングだけでなくて、リーディングでも重要です。つまり「誰のために読むのか」という点で、読み方も変わってきます。「テストの作成 者のために読む」のであれば、当然、テスト向きの読み方が必要になります。そんな視点を教えてくれた本★★も含めて、近日中 のRWWW便りに書ければと思っています。
★ Nancie Atwell 著 In the Middle: A Lifetime Learning about Writing, Reading, and Adolescents, third edition (Heinemannより2015年).
★★ Patrick A. Allen著のConferring: The Keystone of Reader's Workshop (Stenhouse より
2009年)