『読み方指導の本質』★の第4章の主だった内容を紹介します。(数字は、ページ数です。青字は、私のコメントです。)
中心は、優れた読み手を育てるための具体的な方法について、です。
第4章 Teach with a Sense of Urgency ~ 章のタイトルを直訳すると「切迫感/緊迫感をもって教える」です(いずれにしても、Sense of Urgencyをもっている授業をしているという印象は日本では少ないです!)が、日本の状況を踏まえて訳すと、「ほんとうに必要性を感じるものを教える」というニュアンスかなと思います。要するに、単に教科書に載っているから教えるのではなく、子どもたちにとっても必要性が高いと判断したものです。そもそも、そういう判断も委ねられていないでしょうか? しかし、選択を教師はもっています。それなしで教師とは言えませんから!
42 professional
development(PD)が大切 ~ 日本には教員研修はたくさんありますが、PD=プロとしての資質向上プログラムがほとんど存在しないことに気づいてしまったのが、1990年代の前半でした。
教師が学び続けることを軽視して、いい教育が存在するはずがないのに。
(※ 教員研修とPDの違いは何か? イベントか継続性の違いかがもっとも大きいです。また、教員研修が画一的ないし企画者中心なのに対して、PDは個別の教師のニーズ重視です。★★)
著者の最新の本は、完全にここに行き着いています。もう読み書きを超えて、教師の学びに。 ~ 私は、作家のサイクル=読書のサイクルも、すべての教科や教師の学び、さらには学校経営でも使えると思っています。というか、使わないとまずいんじゃないか、と。
42 優れた読み手を育てるための方法
□ 多様なジャンルを紹介する
□ 個々のレベルで読める本をたくさん揃える → 充実した図書コーナー
□ たくさんの読み聞かせをする
□ 教師自身の読書好きを紹介/共有する
□ 子どもたちが自分の読んだものについて話せる機会を提供する
□ たくさんの読む時間を確保する
□ 何を読むかの選択を提供する
□ 常に「あなたは読み手です」と子どもたちに言い続ける★★★
□ 読むことをおもしろくする
□ モデルを示し続ける
□ 読むことを他の教科と関連づける
43 著者が特に重視している優れた読み手を育てるための5つの方法
◇ 教師が読み手であることを示し続ける
◇ 教室内の充実した図書コーナーを用意する
◇ 子どもたちが自分の読みたい本を読めるたくさんの時間を提供する
◇ 本を含めたテキストを理解するために必要な「理解のための方法」★★★★を教える
◇ こまめに評価して、フィードバックを提供し、各自の目標設定・達成をサポートする
~ なんと、日本の国語の授業では、一つもやられていない?! どおりで、読み手は育たないわけ。(※ もちろん日本に読み手がまったくいないわけではありません。ごく少数の読み手たちが国語の授業とは関係なく存在しています。)
上の42ページの□はどれぐらいやれていますか?
★ Reading Essentials, by
Regie Routman
★★ PDについて詳しくお知りになりたい方は、『「学び」で組織は成長する』光文社新書がオススメです。
★★★ これは簡単なことですが、とても大切です。アイデンティティにかかわりますから。作家の時間では、「書き手」ないし作家と呼び続けてください。
★★★★ 「理解のための方法」については、『「読む力」はこうしてつける』と『理解するってどういうこと?』に詳しく書いてありますので参照ください。