著者のリリア・コセット・レントは、リテラシー(読み書き)に殊の外こだわりをもっている教育者です。20年間、中学高校で国語の教師を務めたあと、Central Florida大学でリテラシー・プロジェクトを立ち上げました。
そのこだわりは、本書にもふんだんに表現されています。
8つの章のうち、第3章の「語彙こそが内容」、第4章「学ぶために読む」、第5章「学ぶために書く」は直接的に読み書きに関係する章ですが、第2章「予備知識―学習を定着させるための接着剤」、第6章「学ぶための評価」、第7章「テキストセットで本物の学び」も内容的にはすべて読み書きと言えます。
第8章の「教科書をハックすることで、ワクワクする学びを実現する」も、聞く話すが中心ですから、リテラシーを扱っていると言えます。
それが、この本を「WW/RW便り」で紹介する理由でもあります。
すでに、http://projectbetterschool.blogspot.com/2020/02/blog-post_23.htmlで第2章と第3章については(簡単ですが)紹介しているので、ここでは「WW/RW便り」らしく、第4章と第5章に焦点を当てます(それぞれ、一つの表に代表させる形で)。
まず、第4章の「学ぶために読む」は、表4-1(翻訳本の156~157ページ)です。あなたのクラスの生徒の何割ぐらいが、左側の「能動的(主体的)な読み手」で、何割ぐらいが右側の「受動的な読み手」に該当するかを考えながら表の各項目をチェックしてみてください。
この章では、受動的な読み手を能動的な読み手にするために、「読む前、読んでいる間、読んだあと」にできることが多様に紹介されています。
「理解のための方法」の説明は、この本ではわずか2ページで紹介されているのみです(アメリカの教師たちにとっては、すでに当たり前になっているからだと思います! しかも、表4-1自体が「理解のための方法」を紹介しているとも言えます)が、『「読む力」はこうしてつける』と『理解するってどういうこと?』で詳しく紹介しています。
この本では、その「理解のための方法」を練習するための方法として、
・二列ノートのメモの取り方
・テキストに語り掛ける方法の実演
・話し合いの機会の提供
などが紹介されています。
第5章の「学ぶために書く」は、表5-5(翻訳本の221ページ)です。あなたは、授業でこれらのどのくらいをすでに行っていますか?
表5-5を実現するための具体的な方法としては、次のようなことが紹介されています(このブログの読者には、なじみ深いのも、そうでないのもあると思います)。
・本物の読者を提供する。
・生徒に選択肢を提供する。
・インタラクティブなノートのとり方を教える。
・ジャーナル
・RAFTという活動 ~ 『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』でも紹介されていました
・メンター・テキスト ~ このブログで再三紹介しています
・フィードバックを提供する
・ディジタル・ライティング(ブログ、ウィキ、グーグル・ドキュメント)
これらについて読み、自分のものにするだけでも本書を購入する価値があると言えるぐらいです。
180~181ページにかけては、以下のように書かれています。
変化を開始するのに最適な出発点は、「学ぶために書く」ことです。それは、あらゆる教科に自然に当てはまるからです。実際、書くことは、情報を吸収し、読むスキルを強化するための手段であると同時に、ストーリーテリング、振り返り、そして議論のための最適な方法であると言えます。
過去三〇年間にわたって書くことの効果を研究してきたナショナル・ライティング・プロジェクト(以下、NWP)★注・(National Writing Project)一九七四年の設立以来、書くことを学校教育で教える先駆的な役割をアメリカで果たしてきました。数年前にこれのイギリス版がスタートしていることからも、そのアプローチの仕方が評価されたと言えます。★は、書くことが分析、統合、評価、および解釈などの高次の思考スキルを発達させること、および理解するためには書くことが影響していると決定的に結論づけました[参考文献91]。
上記の2つの章以外も、役立つ情報満載なので、ぜひ手に取ってみてください。
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