作家の時間と読書家の時間の核は、子どもたちがひたすら書いたり、読んだりしている時間=教師はカンファランスをしている時間です。
When Writers Drive the Workshopの「第1章 カンファランス ~ 子どもたちが運転席に座る」で、カンファランスについて大切なことが盛りだくさん紹介されていたので、その一部をここで紹介します。すでに実践している方は、再確認用に、まだ実践されていない方は、早速導入するための動機づけにしてください。(数字は、本のページ数です。カッコ内の青字/斜体は、私のコメントです。)
11 機械的に、褒め言葉から始めちゃ、ダメ!
正直な感想/反応こそ、書き手が求めているもの。
カンファランスを「子どもの言うことを聴いて、褒めて、教えて、次のステップを確認して、記録を残して」というふうに機械的に捉えていては、教師主導の授業にしかならない。大切なのは「子ども(書き手)」。 子どもが書いている作品ですらない! 子どもが求めていること/書いたことに真剣に向き合ったら、やれることは自ずと違う。
◆ カンファランスをする際の指針
1. 生徒の話を聞くことは、教えることが好きだからできること!
2. 教師が話すことよりも問いかけることが大事
3. 書き手(子ども)が話し合う内容を決める ~ しっかり振り返るために。教師の役割はそれのサポート。
4. 書き手は本音の反応を欲しがっている ~ それによって、読み手とつながれるかを把握できるのだから、極めて重要!
以前の私(著者)は、子どもたちが書いている時間は、教師が次にすることを準備したり、他にすることを考えたりする時間と捉えていた。これほどの間違いはなかった!! カンファランスは、創造を助けるきわめて大事な時間なのに!
それは、自分が書くということもしていなかったし、書き手の目で読むということもしていなかったから。
14 自分が教えるときは、一緒にそれらのジャンルを書くようにし始めた。 ~ 「自分がしていないことを教えることはできない」と言ったのは、ライティング・ワークショップ(=作家の時間)の生みの親のドナルド・グレイヴス。
自分が書くことで、子どもたちと同じレベルで(教え込まないといけない教師としてではなく)話せるようになった。(教科書で教えられると思うことは、大きな錯覚!)
カンファランスは、話し合いを楽しむことにつきる。一昔前まで各家の食卓で起こっていたこと。共に、笑い、泣き、論争し、心配し、喜び合い、躾をし、夢を見た!(残念ながら、このようなやり取りは失われつつある。食卓以外でやれているかな?)
子どもたちを表面的なレベルで知っているだけではダメで、深いレベルで知らないと、教育という営みは不可能。カンファランスがそれを可能にしてくれる。(他に方法はありますか?)
○カンファランスが可能にしてくれること:
・ つながりを築いてくれる
・ 目標を設定させてくれる
・ 正当性を確認する
・ 励ます
・ 教える
・ 評価する
(他には・・・
・ 共感する
・ 受け入れる
・ tame手なずける → 星の王子さま
これらが達成できるだけでも、大きな価値がある!! もし、これらのほとんどなしで授業が展開する場合、学びはどれだけ起こるかな?? カンファランス以外の関わり方で、これらのほとんどが押さえられている方法は?)
カンファランスは、書き手を振り返れるようにすると同時に自立した学び手にすることを助ける。
16 カンファランスは柔軟に: 決まったやり方などない!! ~ 公式、非公式、短い、長い、個人対象、グループ対象は問題でない。
○カンファランスは、質問の仕方をモデルで示し続けること。ゆくゆくは自問自答できるように!
究極的な目的は、カンファランスも、教師も必要なくなること。生徒が自問自答して解決してしまえるようにすること。(通常の授業は、これを念頭において取り組まれているでしょうか? これを頭に入れて実践するのとしないのでは、すべてが違ってくる!)
誰が読者? 目的は何? → なぜ書いているのか?
18 教師のため、成績のため(学校ごっこ)じゃない方法を模索する。本当の理由を。
何を助けてほしい?(どうやって助けられる?) ~ 子どもたちこそが主役。彼らが変化に担い手。私たちにできることは、その過程をサポートすること。
どんなカンファランスをもちたい?
21 多様なカンファランスの種類(目的別):
・目標設定
・プロセス(題材探し/構成、下書き、修正など)
・ジャンル
・スキル(作家の技)
・出版
・ポートフォリオ
使い勝手のある疑問形: who, what,
when, where, why, how 要するに、5W1H
記録の取ることの大切さ
これによって、記憶にとどめることも、積み上げることも可能になる。ないと、どこかに消えてなくなるだけ!!
26 著者のカンファランスブックにふくまれているもの
全体
メンターテキストのコピー
子どもが書いたメンターテキストのコピー
ミニ・レッスン
カンファランス用の質問
月ごとのチェックリスト
個別の生徒用のページ
各人の目標シート
各人のカンファランス用シート
評価のデータ
27 パターンを記録から読み取る/引き出す
2週間おきに見直して、パターンを読み取る → より深い分析を1か月おきに。
その時に使う質問:
・ この書き手の強みは何か?
・ この書き手に欠けていることは何か?
・ 次すべきことは何か?
・ この書き手からクラスの他の子たちが学べることは何か?
30 テストや成績よりも、カンファランスの記録の方が、子どものことを明らかにできる。
Q&A
Q・多人数のクラスで、どうやって子どもたち全員とカンファランスしたらいいのか?
A・1週間に全員と話せるのがいい。20人プラスの生徒で毎日やっていれば。
週に2~3回で、30人前後の生徒がいるなら、2週間が限界!
34 カンファランスの結論は、書き手が私から学ぶよりも、私が書くことについて、人生について、そして書き手(=こども)についてはるかに多く学び続ける!
以上は、書く指導だけでなく、読むことを含めて、すべての教科で応用できます。そして、しないことによって逃してしまう学びの量は甚大です。もちろん、上に書いてあることを最初からすべてする必要はありません。やれるところから(ということは、一つか二つから)確実に自分のものにしていってください。カンファランスのよさを味わえたら、後戻りはできなくなります。理由は、他の方法では34ページに書いてあることがないからです。
出典: When Writers Drive
the Workshop: Honoring Young Voices and
Bold Choices, by Brian Kissei