2017年8月4日金曜日

一人の教師が描いた図~WWと従来型の教え方の違い




 

 ライティング・ワークショップと従来型の作文授業の違いをわかりやすく伝えるのはどうしたらいいのだろう、と話している中で、上の図が生まれました。上の図を描いてくれたのは、ライティング・ワークショップを使って、中学校・高等学校の教室で、英語で書くことを教えている吉沢先生です。人数が多い日本の教室で、その多さに苦労しながらも、カンファランスを一貫して行っている先生です。

 

 この図の説明を聞いたときに私はとても納得し、頭が整理された気がしましたので、吉沢先生に許可をいただいて紹介します。なお図を書いてくれたのは吉沢先生ですが、説明は私の記憶からです。

 

 従来型の作文(英作文)については、真ん中の横向きの➔が表現しています。スタートは教師が設定したテーマ、トピックです。

 

教師が設定したテーマ、トピックから生徒が書いたものまでは、1本の直線の矢印ですが、それは、テーマやトピック(そして締切も)を与える以外、あまり指導の幅がなく、直線的に進むからです。


その後、生徒が書いたものを教師が添削し、成績をつけて終了です。そこから先につながるものはあまりありません。

 

少し戻った矢印でクエスチョンマークがついているのは、生徒に返却されるものもあるだろうけど、それがどのように、今後の生徒の学びに還元されるのかが、よくわからないからです。


 ライティング・ワークショップの場合は、下から上に向けての流れです。

 

 スタートは「何について書くか?」という題材さがして、その後の書き進めていくプロセスを、教師が併走しています。指導も、カンファランス・アプローチですから、一人ひとりの子どもに適したように変えるので、幅がありますし、直線的に進むわけではありません。

 

 そうやって書いたものができてきます。

 

 書くプロセスや書いたものから、今までドアの向こうに隠れたいたものが見えてきます。
 
 英語を教える吉沢先生は、今までドアの向こうにあって見えていなかったが、カンファランスをすることで、教師が学んだこととして2点あげています。

 

 それは書き手としての1)個性と2)世界だそうです。

 

 一つ目の、「書き手としての個性」というのは、書き方の特徴でもあります。教えている教科が英語なので「あの子は、こうやって英語を書いていたんだ」とうことを、知ったそうです。例えば「とにかく英単語を並べるような書き方をする子」、「主語と動詞をうまく決めずに英語にしようとする子」等、カンファランスの指導をする前には、「どうやって」の部分は見えていなかったそうです。

 

 2点目の「書き手としての生徒の世界」は、意味不明の英文をカンファランスする中で見えてきたそうです。書かれている英文がわからない、でも、カンファランスをすると「部活のこういう経験があったから」この英文になっていると分かるそうです。その理解がないとよいカンファランスができない、逆にいうと、カンファランスをすることで、その子のもっている世界のドアが教師に向かって開く、ということです。


 カンファランスは、書き手の個性と世界へのドアを開く鍵みたいなものだそうです。

 

開いたドアからは、さらにその子の個性と世界が生かされ、読者のいる外の世界へと広がっていきます。

 

 吉沢先生によると、カンファランスで大切なのは、まず好奇心で、好奇心をもってその子の書いたものから、その子の書き方の個性や世界を学ぶと、次のカンファランスはもっとよくなるそうです。

 

 

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