いま、『「考える力」はこうしてつける』の続編的な位置づけの『「読む力」はこうしてつける』という本を書いています。以下は、その「まえがき」の下書きです。
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10年ほど前に、「優れた読み手が使っている方法」を紹介してくれている(Strategies That Workというタイトルの)本に出会いました。
その方法を紹介する前に、「読む」とはどういうことか、についても簡潔にまとめてくれていました。
・ 考えること、意味を作り出すこと
・ 読んでいる時は、思考が脳の中をかけめぐっている
・ 見方/視点を作り出している
・ 場合によっては、生き方まで変わるときも...
・ 読み手は、部分的には書き手でもある
「まったく、その通りだよな~」とうなってしまったのを、今でもよく覚えています。少なくとも、私自身が体験した国語教育には、まったく欠落していた点ばかりでしたし、日々(とはいっても、20年ぐらい前から)、本を読むことを通して自分自身が実感していることでもあったからです。
紹介してくれていた「優れた読み手が使っている方法」は、次の7つです。★
・ 自分や、他の読み物や、世界とのつながりを見出す
・ イメージを描き出す
・ 質問をする
・ 著書が書いていないことを考える(つまり「行間」を読む)
・ 何が重要かを見極め、他の人に説明できる
・ さまざまな情報を整理・統合して、自分なりの解釈や活かし方を考える
・ 自分の理解をチェックし、修正する
皆さんも、これらの方法を意識せずに使っていると思います。
このリストを最初に見たときの私の印象は、「なぜ、小・中学校時代に紹介してくれなかったの?」というものでした。紹介してくれていたら、自分で苦労せずに、もっと楽しく読むことができたと思ったからです。と同時に、これまでに読んだたくさんの読書術に関する本では得られなかった興奮を覚えました。
しかし、その後もいろいろ考えていると、これらは「読むとき」だけでなく、「聞くとき」に間違いなく使っていますし、「話すとき」や「書くとき」にも使っていると思います。「考えるとき」は必ずです。
そして、「世界を読むとき」「世の中を見るとき」にも使っています。
それほど大切な方法ですから、その身につけ方をぜひ紹介したいと思った次第です。
上記の本では7つの方法でしたが、その後、この本を書くにあたっていろいろ情報収集をする過程で、一つ付け足すことにしました。それは、情報が氾濫する社会でその重要性がますます増しているインターネットなどを含めた文字媒体全般を「クリティカルに見る」ことです。
ここまで文章を読むだけ(書くだけ)でも、7つの方法+クリティカルに見る、を全部使っていると思いませんか?
★ これら7つを最初に提示したのは、David Pearosnらの研究報告だと言われています。(詳しくは、David P. Pearon, J. A. Dole, G.G. Duffy, and L.R. Roehlerの “Developing Expertise in Reading Comprehension: What Should Be Taught and How Should It Be Taught?”, 1990, または 1992, in What Research Has to Say to the Teacher of Reading, ed. J. Farstup and S.J. Samuels, 2nd ed, International Reading Association)
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