2010年5月28日金曜日

「一緒に書く」という効果的な方法

 「一緒に書く(Shared Writing)」は、クラス全員で書く文章のことを指しています。
 出典は、Regie RoutmanのWriting Essentials(書くことの基本)というタイトルの本です。(彼女は読み・書き教育で最も影響力のある人の一人です。)
 この方法は、どちらかといえば低学年向きですが、高学年あるいは中・高・大でもテーマやジャンルによっては可能だと思いますので、「面白そう」と思えた方はぜひ試してみてください。そして、結果を教えてください。(数字は、ページ数です)

88 「一緒に書く」レッスンのフレームワーク(枠組み)
・ 書く対象が誰で、なぜ一緒に書くのかをわかるように説明する。
・ 生徒にとって意味のあるテーマ(題材)を設定する。
・ テーマについてのアイディアを出し合う。
・ タイトルを書く。
・ 書き出しの文を提案してもらう。「誰かいいアイディアない?」出てこない場合は、こんなのどうかしら、と提案する。
・ 常に、書きながら、口に出す。
・ 生徒が言ったことは、そのまま書く。(直すのはあとで)
・ 生徒が集中していられるように、できるだけスムースに進める。しかし、10~15分以上は続けない。
たとえば、2~3人からアイディアをもらったら、それらを踏まえて「こう言ったらどうかしら」とまとめて書いていく。(ここまでが下書き)
・ 10~15分「一緒に書」いたら、振り返りをはじめる。言葉や文の構成を考え直す。(要するに、ここから修正)「これって、わかる?」「これを、もっとわかりやすく言うとどうなりますか?」「次にどういえばいいですか?」
・ できるだけ多くの生徒が参加できるように配慮する。
手を挙げない生徒には、教師サイドから名前を呼んでチャンスを与える。
・ 次は何がいいのかを判断するために、常に読み直しながら前に進める。読むときは、その部分を指しながら、生徒たちが教師が読んでいるところと文字が一致できるようにする。
・ と、ここまでは、意味のある、おもしろい文章を書くことに全力を注ぎ込む。両方をいっしょにはやれないので、文章を整えることはあとでする。
・ 校正も声を出しながら行い、文を整えていく。

 書くことを恐怖の体験にしないように、この「一緒に書く」体験をたくさんすることで、生徒たちに「創造的に書く楽しさ」を味わってもらう。

91 「一緒に書く」ことを成功させるためのヒント:
・ 意味のある、生徒が関心を示せるテーマ(題材)を選ぶ。
・ 何をどう書くかを考える - 「作家のように考える!」
・ わかりやすいように流れ(構成)を考える。
・ おもしろい、生き生きした言葉を使う。
・ 読み直し、考え直し、書き直す。
・ ぴったりしたタイトルを考える。
・ 一番、適切な方法(手紙、レポート、物語風)で書く。
・ 会話調なども試してみる。
・ 書き出しは、読み手をひきつけるものにする。
・ 言葉の選択にはこだわる。
・ 文章の終わりにもエネルギーを注ぐ。
・ 文法はこれらのことすべてが終わってからチェックする。
・ もう一度読み直して、全体の最終チェックをする。

 「一緒に書く」ことは、
・生徒たちが書きたいことを書けるようにするため
・書くことが好きになるようにするため
・自分たちが思っていることや、もっているアイディアを出せるようにするため
の練習。
 その意味では、思っていることやアイディアを引き出すための言葉遣いが大切。また、励まし、認める言葉遣いも大切。

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