2022年7月1日金曜日

アンケートで、夏休みの読書に興味をもってもらう

  夏休みは、可能性があふれる期間ではありますが、自分自身の小・中・高時代の夏休みを振り返っても、満足いくようなものにできた記憶はありません。

 その意味で、夏休みに過剰な期待を子どもたちにかけるのは差し控えるべきなのかもしれません。(しかし一方で、現実的に夏休みをどのように過ごすかは、その期間中に得られるものはもちろん、その後にも引きずる大きなものがあることも事実です!)

 そこで、夏休み前のいまの時期に、各生徒におすすめの本を紹介してもらったり(ブックトークないしビブリオバトル)、公立図書館の児童書担当の職員に夏休み期間中の図書館のプログラムを中心に、いかに読む生活を送ったらいいかという話などをしてもらうのも方法としては考えられます。しかし、これらも1学期の期間中にどれだけ読む生活が送れていたかによって、ひょっとしたら大半の生徒にとっては、先生や司書への「お付き合い」のイベントになりかねませんから、単にやればいいというものではありません。

 ほかにも、次のような方法が考えられますし、実際提案もできます。

・自分のお気に入りの参加の本を読み漁る

・リーディング・パートナーを確保して、一緒に読む

・家族でブッククラブをする

・家族で、それぞれのお気に入りを読み聞かせする

・公立図書館を頻繁に訪れる計画を立てる

・夏休み期間中の読書スケジュールを立てる

 「課題図書をしっかり読んで、読書感想文を書く」というのは、宿題としてすでに毎年出されているのかもしれませんが・・・・果たして、それは生徒たちの夏休み期間中の(そして、より大事なそれ以降の)読む生活や自立した読み手を育てるために、どれだけ寄与しているでしょうか?

 1学期にどれだけ読んできたか否かに関係なく、自分事として考えるきっかけを提供できる方法を紹介します。それは、アンケートです。

たとえば、

1どこで読むのが好きですか?

2どんな本を読むのが好きですか?

3どんな登場人物が出てくる本が好きですか?

4好きな作家はいますか?

5どんなジャンルやテーマの本が好きですか?

6自分が読む本はどのように選びますか?

7これまでに目にした本で、読みたい/読み直したい本はありますか?

8夏休みの間の読書計画(毎日、いつ、どこで、どれくらい読むか)を立てますか?

 これらすべての質問に答えられなくても、それらを考えることの大事さは伝わるかもしれません。可能なら、学校にいる間に回答してもらうのではなくて家に持ち帰り、保護者にも答えてもらいながら、2~3日後に戻してもらう方がいいかもしれません。夏休みの読む生活に保護者までも、巻き込める可能性が出ますから。★

 そして、その中から何人かのを紹介できたら、すばらしいのではないでしょうか?

 その際のポイントは、上記の8つの質問全部に答えられている必要はありません。一つ、二つ、三つの光る回答だけを紹介しても、十分なインパクトがあるはずです!

 最後に、アンケートへの私の答えを。

1自分の布団の上で横になって読む

5ノンフィクション作品

6「芋づる式」選書法 ~ ノンフィクションの本に言えることですが、いい本は、いい本を引用したり、紹介したりしているから。(それを書いた人や訳した人、出した出版社の本もチェックすると、かなりの確率でいい本に出会えます!)

7本ブログの5月21日号(http://wwletter.blogspot.com/2022/05/blog-post_21.html)で紹介されていた★★マイケル・ボンド著(竹内和世訳)『失われゆく我々の内なる地図空間認知の隠れた役割』(白揚社、2022年)の読み直しと、そこで紹介されていた(芋づる式で見つけた)『自然は導く 人と世界の関係を変えるナチュラル・ナビゲーション』(ハロルド・ギャティ著、みすず書房、2019年)、『迷うことについて』レベッカ・ソルニット著、左右社、2019年)等を読む。


★8つ以外に、いい質問が考えられたら、差し替えてください。そして、それをぜひ教えてください(pro.workshop@gmail.com宛)。

★★私が興味をもったのは、そこで紹介されている内容とは若干違いました。「私たちのナビゲーション能力こそが人類の成功にとって必須のものだったというものだ。なぜならその能力こそが広範な社会的ネットワークを育てることを可能にしたからである」(15ページ)という点です。そして、スマホやGPSを使う/に依存することは、確実にその機能を弱めている、と。ナビゲーション能力の低下は、社会的ネットワーク能力の低下ももたらしますから、事は深刻です!


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