これまで、RWはWWがあまりにも効果的なので、それを読むことに応用して誕生したと思い込んでいました(どこかにそう書いてあったのを読んだ記憶があります)。しかし、一方で、この種の教え方・学び方はニュージーランドやオーストラリアではじまった、ということも読んでいた記憶がありました。そこで、年末から年始にかけて綴方関連の資料を読み漁るのに並行して、南半球の国々の本も読んでみました。
そして発見したことは、すでにIndependence
in Reading (by Don Holdaway)という本の中で、RWらしきものが行なわれていた、という事実です。これの初版は、1972年ですから、1960年代の末にはすでにニュージーランドで実践されていたことが想像されます。(私が読んだのは1980年発行の第2版ですから、1970年代を通じて実践されていたことも、わかります。)その何よりの証拠は、1時間の流れが紹介されている以下の図(43ページ)です。
ミニ・レッスンの代わりにOpening
activitiesとなっている以外は、ほぼRWそのものと言えます。時間の配分も、まさにRWそのものです。「静かにして、ひたすら読む」時間=教師はカンファランスをしている時間が、8割ぐらいを占めています。★
Group Teachingというのは、同じような課題を抱えた子たちを集めて教えることを指しています。「ガイド読み」もすでにこの当時からやられていた手法なわけです。
Group Teachingというのは、同じような課題を抱えた子たちを集めて教えることを指しています。「ガイド読み」もすでにこの当時からやられていた手法なわけです。
この本の参考文献を見ると、Jeannette
Veatchというアメリカ人が書いた本が3冊あげられており、その中の一冊はIndividualizing Your Reading Programというタイトルで初版が1959年に出ています。ひょっとすると、上で紹介したIndependence in Readingはこの本に影響を強く受けたのかもしれない、と思わせます。ということは、出発点はやはりアメリカ、ということになるかもしれません。興味のある方(+英語に挑戦したい方)は、ぜひ原書に当たってみてください。この本、どういうわけか50年以上経った去年、再刊されています。
ちなみに、Independence in
Readingも、Individualizing Your
Reading Programも、子どもたちみんなが同じものを読まされる教科書アプローチからの解放を中心にしているのでIndependenceやIndividualizingという言葉が使われています。つまり、各自が自分にあった本を読むアプローチです。これは、日本の国語教育ではいまだに検討されていないことではないでしょうか? それとも、綴方教育の随意選題★★と同じように、好きな本を読んでもOKという実践が日本で行われたためしはあったのでしょうか?
★ 時間の割合を、40分、60分、90分の3種類で紹介しているのが、面白い/不思議だと思いませんか? これにはいくつかの理由が考えられます。①学年による違い、②年度当初と終わりごろの違い。いずれにしても根底にあるのは、管理する側の都合で時間の使い方を一律にするのではなく、学ぶ側の学びやすさを重視して、臨機応変に時間割は変えていいんだ/変える方が効果的なんだ、という姿勢です。 ぜひ、皆さんも子どもたちを枠組みに合わせるのではなく、枠組みを子どもたちに合わせる実践に挑戦してください。それができるようになると、これまでには見えなかった、いろいろな可能性が実現し出すはずです。
★★ 随意選題の芦田恵之助さんも、読みの分野では文部省、朝鮮、南洋群島と3度も読本編纂(教科書作り)に関わって、教科書大好き人間だったようです。そして、退職後は26年間も日本全国を教壇行脚(モデル授業)してまわったので有名な人なのですが、授業でしたのは綴方ではなく、読むほう専門だったようです。それも、極めて伝統的なアプローチで。
0 件のコメント:
コメントを投稿