ライティング・ワークショップは、すべての生徒があなたの授業に安全で歓迎されていると感じる機会を提供し、生徒たちが学びに全力で取り組むことができるようにエンパワーします。そして、生徒たちが自分は大切にされていると感じ、自分の「声」が教室で尊重されていると知ると、1年間すべてがより良い方向に向かう可能性があります(そして、それが他教科にも及ぼす影響も考えられます)。
ライティング・ワークショップは、単なる授業時間以上のものです。それは、生徒が全力で学び、選択と自己決定、関係性、自分にとっての意味を見出すことで学ぶという信念をベースにしています。ここでは、生徒たちは私たち教育者だけでなく、お互いの仲間によっても見られ、聞かれる関係になっています。ライティング・ワークショップは教室だけでなく、学校全体の雰囲気を変える力があります。書き方を教えている学校の廊下を歩けば、そこが子どもたちを支援し、彼らの経験や独特な言葉の使い方、率直な自己表現を称賛している教師であり、学校であることが実感できるでしょう。
ライティング・ワークショップは、教室にコミュニティーをつくる
ライティング・ワークショップに参加する生徒たちは強いコミュニティー意識を得ます。初日から、ライティング・ワークショップは次のことを実現します。
- リスクを取る意欲のある書き手のコミュニティーをつくる
- 書き手に自分自身に忠実でいるよう促す
- 生徒が自分のアイデンティティーを共有できるようにする
- 書くことを鏡や窓★をつくる手段として活用する
- パートナーシップや作家クラブ★★を通じて協力を促進する
- 多様な教え方★★★ですべての学習者を引き込む
このコミュニティーの基盤が、ワークショップ・モデルの本質です。生徒と教師は共に試行錯誤し、発明し、振り返り、修正し、成長します。クラス全体の授業、小グループでの活動、1対1のカンファレンス、仲間のサポートなど、多様なアプローチ★★★により、すべての生徒が適切に支援され、適度に刺激されるのです。
ライティング・ワークショップがエイジェンシー(主体性)を育む
ワークショップ・モデルはまた、生徒のエイジェンシーを育む役割も果たします。生徒はライティングが一律のアプローチではないことを学びます。各単元を通じて、作家たちはアイディアの生成(題材集め)、計画、下書き、修正、校正、出版のための様々な戦略を習得します(この作家のサイクルについては、https://wwletter.blogspot.com/2012/01/blog-post_28.htmlを参照)。毎日、自分の個人的な目標と、それを達成するために必要な作業について考えます。計画を慎重に練った後、作家たちはライティングの冒険に出かけ、自分の言葉を作家ノートに思うままに表現します。生徒は自分自身を作家として育て、作家のサイクルを回し続ける方法を身につけます。
練習と修正の大切さ
ライティングはスキルであり、生徒がよりよい書き手になるためには、実際に書く練習をすることが必要です。生徒には頻繁にたくさん書く時間を提供しています。ライティング・ワークショップ(=作家の時間)では、授業の少なくとも半分(つまり、20~30分)は、生徒たちがひたすら書く時間に当てられています。ライティングの量に対する期待が重要だからです。頻繁に書く生徒は、流暢に言葉をページに乗せ、口頭言語の抑揚が表れた文章を作ります。一方で、ライティングをほとんど練習しない生徒にとって、書くことは労力を要し、まるで各単語を大理石に彫刻しているかのように感じられることがあります。
修正★★★★に関しては、生徒が書く前に自分が書こうとしていることを声に出して言うことが役立ちます。それを、下書きを書く前に何度も繰り返すとよいでしょう。例えば、生徒はまず、自分が以前にしたことのある話を、出来事の順序を声に出して思い出します。そして、「最初にどれだけ興奮していたか、後でどれだけ悲しかったかを伝えたい」と言い、同じ話を再度語り、その感情の変化を表現します。その後、「もっと詳細に伝えたいので、読者が本当にイメージできるようにする」と宣言し、再び話をすることによってより多くの詳細が加えられます。下書きを実際に書く段階では、物語はすでに初めの語りよりも改善されています。
★書かれた内容が読者に対して自分自身を映し出す「鏡」になると同時に、他者の視点や経験を覗き見する「窓」となることを指します。
★★作家クラブについては、
https://wwletter.blogspot.com/search?q=%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96 をご覧ください。また、ライティング・ワークショップでは、生徒たちに生徒としてではなく、作家ないし書き手(英語では、両方ともwriter)として接するのが大きな特徴です。同じことは、読む領域はもちろん、他の教科でも言えます。数学者、科学者、市民や歴史家として接するのか、それとも単に知識をドバドバ飲み込む生徒として接するのかでは、自ずと関係も、主体性も、学びの質や量も違うことになります。『読書家の時間』『言葉を選ぶ、授業が変わる!』『国語の未来は「本づくり」』『教科書では学べない数学的思考』『だれもが科学者になれる!』『社会科ワークショップ』『歴史をする』を参照してください。
★★★https://wwletter.blogspot.com/2019/05/blog-post_31.html の2番目の図をご覧ください。ここで紹介されているのは読む際の教え方ですが、書く時の教え方も、これに似た方法を使います。
★★★★これについては、https://wwletter.blogspot.com/2011/07/blog-post_22.htmlを参照ください。
出典:https://blog.heinemann.com/why-the-writing-workshop-is-more-important-now-than-ever
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