広島のTさんが感想を送ってくれましたので、紹介します。
● 子どもたちの成長のために、ほんとうに大切な変化とは?
今本屋さんに行くと、たくさんの授業改善の本を目にします。そんな中、私の目に留まったのは、『言葉を選ぶ、授業が変わる!』です。
この本を読む中で、何度も「なるほど」となりました。本書のねらいについて、著者のピーター・ジョンストンさんは、「教師と子どもの会話に現れた単語やフレーズを探ることで、それがどのような力をもっているかを明らかにすることです」と述べています。そうです。「言葉」にはパワーがあります。とてつもなく大きなパワーです。
「言葉」によって、子どもたちが成長したり、反対に成長が妨げられたりもします。教育に携わる者として、子どもたちが「自立した学び手」になるように、と願い、「子どもたちのためになることを」と考え、子どもたちと関わるために何をすればよいのか、この本の中にあるたくさんの言葉が教えてくれます。
それは、私たちが何気なく使っている(使ってしまっている)「言葉」を見つめ直し、変えていくことなのだと感じました。
たとえば、「他に方法がありますか?」や「何か他の方法で試してみたいことはありますか?」(119-120ページ)という言葉です。この言葉により、常にチャレンジする機会、選択する機会の扉が開かれているというメッセージを送ることになります。
さらに、この本を読み進めていくと、「私たちは何をしているところですか?」という質問の中にある「私たち」という言葉は、「連帯感」や「一体感」をもつきっかけであり、「互いを尊重する学びのコミュニティーをつくる言葉」として示されています(172ページ)。ジョンストンさんが本書で示す例は、ちょっとしたフレーズや単語の中にも、私たちの子どもへの見方やものの見方が反映されていることに改めて気づかせてくれるものばかりです。
さりげなくとも、とても力強いパワーをもった「言葉」。「言葉」に目を向け、変えていくことが、子どもたちの成長にとって何よりも大切なのだと思います。そして、それは、明日から授業を改善したり、子どもとの関わり方をよりよくしたりしていくために、今私たちに求められている力強い方法です。
● 選択することの大切さ
『読み聞かせは魔法!』の表紙には「読み聞かせは日本と欧米でこんなに違う!」という言葉があります。日本では、多くの場合、読み手が自分の考えを提示することはありません。また、途中で立ち止まって子どもたちの考えを聞くこともありません。
「でも…、それだけでは何だか…」十年以上前に教育実習で子どもたちの前で初めて「読み聞かせ」をやった後、私は思わずこう思いました。当時行った「読み聞かせ」は、おそらくたどたどしく、人から見るとひどいと言われるものだったかもしれません。しかし、読んでいる途中、ただ聞き浸るだけではなく、さまざまな反応を見せてくれた子どもたちを前に、思ったことです。
『読み聞かせは魔法!』にはさまざまなバリエーションの「読み聞かせ」が紹介されています。「読み聞かせ」に限らず、「子どもたちのために」と考える時、方法(道)が一つしかないということはありえないはずです。
本書で紹介されている「考え聞かせ」を子どもたちの前でやってみたことがあります。ある子どもは終わった後、「先生、私はあそこの方がわからなかったよ」と話してくれました。モデルを示すことのパワーと、本を通して子どもたちと語り合うことの楽しさを実感しました。
しかし、これは「考え聞かせ」を繰り返しやればいいということではありません。子どもたちだけではなく、大人であっても、何の意味もなく、繰り返しやると飽きてしまいます。本書の中には、次のような言葉があります。
あなたは、これに費やす時間を無駄な時間だと捉えますか?それとも価値ある時間だと思いますか?あなたには常に選択があります。(75ページ)
おそらく、教育実習の時の私の戸惑いは、子どもたちの反応を前に、選択があるかないかがわからなかったことによるのではないかと思います。しかし、『読み聞かせは魔法!』を読んだ今、自分がやっていることの意味を改めて考え、時には別の方法を選択することができます。それは、『読み聞かせは魔法!』が、これまでの「読み聞かせ」に関連する本とは異なり、私たちの「読み聞かせ」の捉え方を広げてくれ、実践の選択肢を多様に提示してくれているからです。
「さあ、明日やるとしたらどの方法かな?」読み終えてつい考えてしまいました。
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