ここしばらく1冊の絵本ーー『おとうさんのちず』(ユリ・シュルヴィッツ作)
ーーに魅了されました。初めて読んだときは、「まあ、いいか」みたいな印象だ
ったので、そのまま忘れてしまう可能性の高かった本です。
ところが、知人は同じ本について、 「一度読んだときに、あ、これは絶対授
業に使いたいと思った」と、ブログに書いていました。
「絵本に詳しい、その知人が何か強く感じた絵本であれば、私が見落としてい
る何かがあるのでは?」と思い、読み直しました。結果として、知人の一言が
きっかけで、どんどんその豊かな世界に入り込んでいます。
私は最初、インターネットの読み聞かせサイト★で英語で読みましたが、知人
とのやりとりのあと、読み聞かせを再度見て、そのあとは絵本も注文しました。
本が届いたことで、この本が自叙伝的なものであることを知りました。
また知人から、著者のユリ・シュルヴィッツがこの本について語っているサイ
ト★★も教えてもらいました。
著者が語っているのは3分半ぐらい(英語)ですが、この語りがまたいいのです。
最初のほうで、小さな島を見て、そのあと、海の中からその島を見ると、水の中のある部分がとても大きい、海の上に見えているのは、その小さな一部分に過ぎない。絵本はその見えている小さな島で、いい絵本というのは、その下の見えない部分がある、というような話です。
「大人が絵本を読む(子どもも同じかもしれません)価値を言語化してくれてい
る」ように感じました。それで、そういうミニ・レッスンができそう、とも思いま
した。
後半では 食物の必要な現実の世界とイマジネーションの世界の両方があること、
両方とも必要なことを話しています。
知人とそんな情報交換をしている間に、本の世界にどんどん入り込めます。知
人は、「一つの絵本を深く読むことで、その作家の手法とか思想とかにふれて、
その上で他の著作を読むと、過去には気づかなかった読み方ができる。読み手が
その本の意味に出会い、発見していくというのは、こういうことを言うのだなと
感じます」と書いていましたが、まさに同感です。
また上述のように、私は「大人が絵本を読む(子どもも同じかもしれません)
価値」というミニ・レッスン案が浮かびましたが、知人の方は、あっさりした
描写の場面と、パンがない場面の詳しい描写等の使い分けから、ライティングに
もメンターテキストとして使えると、考え始めています。 (さらにこの絵本を考えていて、「思考を整理するための図」を書いてみる、というミニ・レッスンにも使えると思いました。現実世界と地図の世界を図にするときに、どう表現するかはいろいろなパターンがあるからです。➡ いい絵本は、ストーリーが分かった後は、いろいろなミニ・レッスンに使えそうです。)
何気ない一言がなければ、「まあいいか」で、忘れてしまったであろう絵本で
すが、本について語ることがきっかけで、より深く広く読めることを実感しました。
そういえば、ジャネル・キャノンの『ともだち、なんだもん!--コウモリの
ステラルーナの話』という絵本も、「この本、アイ・アム・サムという映画の中
で使われていた」という学習者の一言で、 「あ、そうなんだ」と思った本です。
結果として、 アイ・アム・サムも見て、またジャネル・キャノンの他の本も
数冊読みました。
どちらの絵本についての「一言」も、「私の読みを深めさせてあげよう」と
思って言われた一言ではありません。でも、そのおかげで私が得たものは大きか
ったです。
そんな一言が、自分の生活の中で、また教室の中でたくさんあるといいなと思
います。
*****
★ 映画スターが読み聞かせ、絵本も動画仕立てになっているサイトです。英語の字幕も出せます。
http://www.storylineonline.net/how-i-learned-geography/
★★ エリック・カール・ミュージアムで語っているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=wEMc_z45n5w
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