桑原武夫さんの最終回です。
112 一気呵成で流露感がある文章がいいことは確かだけれど、私は事実を含まない、内容空疎な感想ないし感動だけの文章は大嫌いですから、内容は充実させたい。そこで書こうと思うポイントを、それぞれ紙切れにごく短くメモしておく。これも文書を書く上の一つの方法だと思います。
(原稿用紙)20枚くらいのものなら、10から15くらいのメモを机の上にならべておく。どういう順番に、どれを使うかは書いているうちに決まってくるのです。書いた分から破りすててゆくのですが、そこに一種快感があります。もちろん使い切れないものが残る。残ったときのほうが出来がいいのです。
113 教訓するのでもなく、雄大な世界観を展開するのでもないかぎり、文章とくに短文は、人を知的におもしろがらせる遊びの要素が必要なわけです。といっても軽口やじょうだんでなく、知的な話題になりうるような事実を提出するのがよいのです。
114 直球でなく、何度もカーブがかかっていて、知的な遊戯となっているわけです。
私の文章は欲張って中身をつめこみすぎるので、気品がないという批判をうけたことがあります。それは抗弁はできませんが、本人はそれが好きでやっているわけで、仕方ありません。
122 「てにをは」や助詞にも細かい神経を払う
123 不必要な反感を与えない
125 自分の使う言葉の内容を吟味する ~ 誤解を与えない
129 無理のない言い方 = わかりやすい言い方
130 結びの言葉が大事
137 さまざまな現象を見てその現象を羅列するだけではなく、現象の底に、少し無理になっても理論を ~ 理論という言葉は悪いかもしれないが、定式、公式をさぐり当てていくことが必要です。伝統がこういうところに生きているのだとか、そういう仮説をもって書くと、(事実や現象を)並列するよりもおもしろいと思います。
141 自分の主張をはっきり出す
文章を書くには、相手を説得しようというファイトが大切です。
143 作文を書くためには、写真でいうとピントを合わす練習をする必要があります。このごろは、自動的にフォーカスのあうカメラもあるようですが、そんな作文を書いてはいけません。ピントを合わす。それから構図を考える。絞りをきかせる。そういったことを考えてください。
149 文章を書くときには、とにかく書くということが、一番大切なことのように思います。まずは自分が関心を持っていることについて、自分の流儀でとにかく書いてしまう。そのあとで句読点を、もっとたくさんつけて直していく。
156 普通のことを、なるべく普通の方法で言うほうがいい。そこになにか少し気のきいた表現をとろうとすると、紋切型になる。少し気のきいたというところに、紋切型がひしめいている。
以上、3回にわたって紹介してきましたが、鶴見さんのとあわせて、WWで日ごろしていることとの共通点があまりに多いことに驚かされた次第です。(ほとんど「そのもの」と言ってもいいぐらいかも。 もちろん、週3ないし最低でも週2の時間が確保されていることが前提ですが。)
それに対して、なかなか作文教育ではやられていなかったのではないでしょうか? 綴り方では?
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