2012年4月20日金曜日

【続】クイズ? ~ぺナックの「読者の権利 10ヶ条」~

 前回のRWWW便りのテーマは「読むことに関するクイズ」でした。

 今回は、まず最初に、作家のダニエル・ぺナックが書いた『ぺナック先生の愉快な
読書法』★から「読者の権利 10ヶ条」を紹介します。

 前回のクイズ風に以下の10ヶ条を眺めてみませんか? この中で、リーディング・
ワークショップを行っている先生に支持されるものは、いくつあるでしょうか?  

1.読まない権利
2.飛ばし読みする権利
3.最後まで読まない権利
4.読み返す権利
5.手当たり次第何でも読む権利
6.ボヴァリズムの権利(小説に書いてあることに染まりやすい病気)
7.どこで読んでもいい権利
8.あちこち拾い読みする権利
9.声を出して読む権利
10.黙っている権利

*****

 このRWWW便りでも、何度か紹介しているナンシー・アトウエル氏は、最初の週
に、この10ヶ条を子どもたちに見せて、子どもたちと話し合うそうです。★★

 子どもたちは、「3.最後まで読まない権利」については、「最後だけ読む権
利」を付け加えたり、11番目として「多くのいい本にアクセスできる権利」を足し
たりもしているそうです。

*****

 上の10ヶ条は、もしかすると従来型の教室で行われてきた「読書とはこうあるべき
もの」とは、かなり違う部分があるのかもしれません。

 また、「教育」という場では、上の10ヶ条の中には、無条件で支持できないも
のもあるのかもしれません。

 それは、ライティング・ワークショップでも、子どもたちが、教師が感心しない題材
を選択したり、不適切な言葉を使ったりすると、教師はそれについてちゃんと対応
して教えていくのと似ているのかもしれません。
★★★

 「選択があること」イコール「何でもあり」ではないからです。

 とはいえ、リーディング・ワークショップの教室が、本当に読むことを目指す場で
あれば、読者が本当に行っていることを、無視はできないはずです。

 ぺナック氏は、
「もしわたしたちが息子や娘や若者たちに本を読んでもらいたいと思うなら、わたち
たちが獲得した権利を彼らに至急与えなければならないからである」とも記していま
す。★

 学年によっては、子どもたちに分かりやすい言葉で、上の権利を話し合ったり、
「この教室での読み手の権利」をつくったりして、一緒に考えてみるのも面白いかも
しれません。

出典:

★『ぺナック先生の愉快な読書法』 
ダニエル・ぺナック著、浜名優美、木村宣子、浜名エレーヌ訳
藤原書店(2006年) 
上の10ヶ条は裏表紙にもまとめて印刷されていますので、そこから抜き出しました。
なお、この本は、1993年に刊行された『奔放な読書』の新版だそうです。

「もしわたしたちが息子や娘や若者たちに本を読んでもらいたいと思うなら、わたち
たちが獲得した権利を彼らに至急与えなければならないからである。」
とこの本の168ペー ジに記されています。

★★ 
ナンシー・アトウエル氏が、子どもたちとこの10ヶ条について話し合うことを述べて
いるのは、以下の本の26-27ページです。

Nancie Atwell 著  The Reading Zone  (Scholastic, 2007)

★★★

ライティング・ワークショップで、子どもたちが、教師が感心しない題材を選択した
り、不適切な言葉を使ったりするときに、どのように教えていくかについては 、
『ライティング・ワークショップ』(新評論、2007年)の138-141ページをご
参照ください。


1 件のコメント:

  1. この権利のリスト、最初から子どもたち(や学生)に提示してしまうのではなく、まずは子どもたちにリストアップさせた方がより効果的かもしれません。

    その上でぺナック氏のリストを見せて、自分たちのリストと比較してみる。

    リストも固定化せずに、随時付け加えたり、削ったりできるようにしておくと、子どもたちの参加度は一層増すかもしれません。年度の最後に、私たちのクラスの権利ができればいいわけですから。

    ちなみに、上の方法は「世界人権宣言」で使っていた方法です。(教科は、社会科や道徳で)

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