ドナリン・ミラーは、ここ10年ぐらい読むことに関する本を立て続けに出している人で、邦訳されているのは残念ながら『子どもが「読書」に夢中になる魔法の授業』(高橋璃子訳、かんき出版、2015年)の一冊だけです。
その彼女がネットで、提案してくれているのが表題の「子どもが読む本の知識を(教師や親が)獲得するための六つのヒント」なので紹介します。
1 何よりも、自分が本を読んでください ~ 本探しや紹介記事を読むこと(だけ)で、子ども向けの本の情報を得ることはある程度できますが、自分が読んで味わうことにはかないません。たとえ短い時間でも、継続して日々読んでください。実際に子どもたちに紹介する際に、自分の紹介なりの仕方が可能になります(し、相手によっては紹介を控えることも可能になります。それは自分が読んでいないとできないことです!)。
2 賞を取った本★には、目を通しましょう
3 司書と仲良くなる!★★ ~ 身近にいる絵本や児童文学が得意な司書とはもちろん、遠方にいても絵本や児童文学を専門にしている司書ともネットでつながることで。他にもいろいろと情報提供してくれるので、仲良くしましょう
4 何を読むべきか、子どもに尋ねましょう ~ 本を読んでいる子どもを見かけたら、推薦する本を尋ねる。あなた(や他の大人)がどれだけ本の知識をため込んでも、同じ世代の子どもの声にはかないません!
5 時間はあるが、手が離せない時のために、オーディオ・ブックを用意しておいて、活用しましょう
6 子どもの本に興味のある同僚や親友だちを数人誘って、ブッククラブを頻繁に行いましょう ~ やり方は、対面、ビデオ会議、あるいはオンラインで書くなど多様にあります。やり方は、『読書がもっと楽しくなるブッククラブ』か https://tommyidearoom.com/%e3%
を参照してください。
もちろん、上のリストを全部やる必要はありません。やりやすいのから取り組み始めてください。病みつきになるはずです! それほど、絵本と児童文学はおもしろいのが多いですから。
そういえば、上の6つのヒントには市販の絵本や児童文学のおすすめ本をたくさん紹介した本をチェックすることが含まれていませんでした。初めての方にとってはもちろん、すでに精通している方にとっても、(本を選ぶ理由は人さまざまなので)この方法にも発見はあります。
(出典:https://www.scholastic.com/teachers/teaching-tools/articles/game-changer--.html)
★ https://www.sokunousokudoku.net/media/?p=9504やhttps://nanairo-party.com/awards/には、有名どころが紹介されています。
海外受賞作品の多くは、邦訳がすでに出ています。たとえば、コルデコット賞・受賞作品は、https://www.ehonnavi.net/special.asp?n=1123。ニューベリー賞・受賞作品は、http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/newbery/index.htmといった具合に。ほかのも、調べてみてください。
国内の児童文学賞としては、https://www.kodomo.go.jp/info/award/index.htmlがありました。(これに掲載されていないもので、MOE絵本屋さん大賞(主催:白泉社)と絵本テキスト大賞(主催:童心社、日本児童文学者協会)があると、下の大学附属の児童図書館情報と一緒に、「おはなしレストランライブラリー」の司書の内田さんと尾崎さんが教えてくれました。)
★★ 図書館の中には、大学の中にある児童図書館もあり、絵本や児童
・北海道武蔵野女子短期大学附属図書館児童図書室
・京都芸術大学芸術文化情報センターこども図書館「ピッコリー」
・文教大学附属図書館あいのみ文庫
・鳴門教育大学附属図書館児童図書室
・日本社会事業大学子ども福祉図書館
・山梨大学附属図書館子ども図書室
・聖徳大学川並弘昭記念図書館こども図書館
・関西大学児童図書館(高槻市立中央図書館ミューズ子ども分室)
・福島学院大学認定こども園こども図書館
・京都教育大学附属図書館
・奈良教育大学図書館
・島根県立大学松江キャンパスおはなしレストランライブラリー
(※ これらの運営状況等は図書館によって様々のようです。そういえば、国立国会図書館・国際子ども図書館もありました!)
また、全国の絵本屋さんのリストとしては、以下のものがあることも教えてくれました。
雑誌『この本読んで!』2022春号(第82号)に、「全国子どもの店リスト2022年保存版」が掲載されています。
さらに、オンラインで利用できる子どもの本のお店を紹介しているサイトもあります。
https://note.com/yamagata_aya/n/n7bf1b771e3ae
※ https://wwletter.blogspot.com/2022/11/sel.htmlのリストや、https://wwletter.blogspot.com/2023/05/blog-post.htmlで紹介されている「16の思考の習慣」を教える際に使える絵本等のリストhttps://docs.google.com/spreadsheets/d/e/2PACX-1vTMEKv7cDlFCCtyYhJh6il1xEEAB0fUdCXjNHG5qLU9rUODlxYxGmXbIo2eSu2ujY3sAGA8U-f6rbfF/pubhtmlは、「おはなしレストランライブラリー」の内田さんと尾崎さんにつくっていただきました。
以上紹介したほかに、絵本や児童文学賞、子どもの図書館や本屋情報がありましたら、ぜひpro.workshop@gmail.com 宛に教えてください。
◆オマケ情報:
上の出典のなかで紹介されていた本の、ミラーの最新作の『Game Changer! Book Access for All Kids(すべての子どもが本を手に取れるように)』の内容紹介です。各章のタイトルだけでも、それを実現するための方法が見えてきます。
第1章 「本の砂漠」から「本の洪水」へ ~ 誰もが同じように本を手にすることができるようにすることは、公正にかかわる問題
第2章 学校図書館と学校司書 ~ それらの存在が違いを生む
第3章 各教室の図書コーナー ~ 学校に強固な読む文化をつくりたいなら、これは不可欠! すべての子が、学校図書館を訪れることはないから。
第4章 すべての子が「自分の本」を持てるようにする!
第5章 読む本の難度の問題 ~ たくさんの本=選択肢が提供されれば、この問題は解決する!
第6章 文化的・社会的につながりがもてる本が提供されることの大切さ(これは、人種等の違いが大きいアメリカ固有の問題でしょうか?)
第7章 教師が絵本や児童文学に精通している ~ 一人ひとりにピッタリな本を紹介できる(一人ひとりがピッタリな本を選ぶのをサポートする)ために
第8章 家でも、学校でも「ひたすら読む」時間を確保する ~ これが一番大事! 家でも、学校でも、最低30分確保できたら最高。
第9章 自立した読み手を育てたければ、自分にピッタリの本を選べるようにする ~ 選書能力さえ身につけば、生涯読み続けることが約束される。
第10章 大切な読み手のコミュニティー ~ 読むことは孤独な営みと思われがちだが、極めて社会的である! 仲間がいるから、より多く、よりよく読めるようになる人がたくさんいる。ブッククラブやブックトーク(や書評・紹介文)などを通して、読んだことを共有し合える機会をふんだんにつくる。
★ 内容的に、この本と共通点が多い邦訳書があります。こちらは、
https://square.hatenadiary.jp/entry/2021/01/24/163856で、その目次が見られます。
国立国会図書館・国際子ども図書館よりも、情報発信能力としては、東京子ども図書館の方が上かもしれません。ぜひ、チェックしてみてください。(たくさんの情報発信をしてくれた)松岡享子さん、去年亡くなられたのですね。
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