2018年3月16日金曜日

新刊『言葉を選ぶ、授業が変わる!』




 親や教師はみな、子どもによりよく学んでほしいし、これからの人生を自分で切り拓き、幸福に生きていってほしいと願っています。「子どもに主体的に自ら学んでほしい」「話し合いのできるよい教室コミュニティーを作りたい」「子どもと一緒に自分も学びたい」と思っている教師も多いです。

 しかし、それらのどれほどが実現できているでしょうか?
 なぜ、できないのでしょうか?

 学校や教育制度の中で、私たちはもがいていますが、子どもに接する私たち大人が、考え方や心持ちを変え、使う言葉(コミュニケーション)を変えると、子どもの学びが変わり、子どもたちの生活や未来をも変えることができる、というのが本書の趣旨です。教師にとって役立つばかりでなく、親や、子どもを成長させたいと思っているすべての人にとって有益な本となっています
 著者であるピーター・ジョンストン氏は、学校で使われる言葉を変えたいだけでなく、学校の外の社会で使われている言葉を変えたり、言葉がつくり出す差別までも解消したりしたいと願っています。本書もそのような考え方に基づいて書かれており、アメリカでは25万部も販売されています。

 私たちは、常に、何をどう話すかの選択をもっています。それも2つ以上の選択肢を。
 具体的な事例を、本の中から紹介します。表1-1は、本についての話し合いがうまくいっていないグループがあると想定した場合、教師は子どもに何をどう言うかを決めることになりますが、何と言うでしょうか? 表1-1には、3つの選択肢と、それらを選択した場合に生み出されるものや関係性やアイデンティティーなどが分析されています。


 授業中の教師と生徒たちとのやり取りを分析した例は日本にもたくさんありますが、本書は次元がまったく違ったものになっています。フォーカスしている内容は当然のことなのですが、それと同時に、
 ・主体的な学び手/考え手(あるいは、自立的な問題解決者)を育てるためにはどのような語りかけ方が効果的なのか
 ・意欲をかきたてたり、アイデンティティーを形成したりするにはどのような投げかけが可能なのか
 ・教室を民主的な学びのコミュニティーにするには、どのような教師の言葉かけが可能なのか
 ・教師が教えることと、子どもが学ぶことはイコールではなく、教えることで満足するのではなく、子どもが学ぶことにこそ焦点を当てるにはどうしたらいいのか
などに答えてくれているのです。

けっして頭から読まなければならない本ではありません。どこからでも興味をもったところからまずは読んで、なによりも試してほしいと思います。
そうすれば、きっと子どもたちや授業が「何か変わる」という驚きを体験できるはずです。著者は子どもも教師も「チャレンジ」することを大歓迎しています。うまくいくこともあれば、失敗することもあるでしょう。子どもたちが変わった(自分も変わった)という点がわずかでもあれば、少しぐらい失敗してもまた挑戦して欲しいと思います。そのうちに自然と授業が変わり、いつのまにか子どもが大きく変わっていることに気づくはずです。それこそがジョンストンのマジックです。

http://www.minervashobo.co.jp/book/b352154.html

0 件のコメント:

コメントを投稿