2017年3月25日土曜日

カンファランス雑考(2) ~いいなと思ったピア・カンファランスの実例

 1か月前のRWWW便り(ブログは224日、フェイスブックには225日にアップロード)で、ピア・カンファランスについて書きました。その後、ピア・カンファランスについて考えている中で、Jack Wilde氏が書いているものを読みました。★
 
(★タイトルはPeer Conferences: Strategies and Consequencesで、今日のRWWW便りの最後に、全文が読めるURLを記載しておきます。)


 教室で読み聞かせで使った本を使って、書いたものに対するコメントのつけ方を学ぶ練習をする、という実例です。読み書きのつながりも、ピア・カンファランスの効果も実感できる、一つのよい実例だと思いましたので、今日はそれを紹介します。(カッコ内は、自分のメモのためのページ数です。)


 書き手として成長するためには、「うまく書けているものには、どういうことが行われているのか」を知ることが必要です。それを知ろうとするとき、往々にして、自分が取り組み中の作品よりも、人が書いたもので分析するほうが、わかりやすいです。(1ページ)

 

 しかし、人が書いたものに対して、「いいね」とか「よく分からないなあ」というような、漠然としたフィードバックだけだと、次にどうすべきが、よく見えてきません。ですから、「なんとなく」うまく行っているのかどうかではなくて、「具体的に」どうしてうまく行っているのかを知り、それを言語化することができれば、それは、お互いに書いたものを読みあうピア・カンファランスに役立つスキルとなります。(1~2ページ)。

 

 このスキルを身につける練習として、Wilde氏は、自分が、子どもたちに読み聞かせをした本を使っています。読み聞かせをした本を使って、その本では、「具体的」に何が上手く機能して、よい文になっているのかを、学ぶのです。(2ページ)

 

 私がとてもいいなと思ったのは、次の2点です。


1.みんなが同じ本についてコメントしているので、「こういうコメントが具体的でよい」というのを、子どもたちが、他の子どもたちから学ぶこともできること。(2ページ)


2. 読み聞かせで使った本で練習することは、クラスメイトにいきなりピア・カンファランスでコメントする前の練習としては、安心であること。つまり、クラスメイトであれば、うまくコメントできないと、傷つけてしまうようなこともあるからです。(2ページ)

 

この練習は、なぜこの作品がうまく行っているのかを「口頭で言う」ことから、「書く」というところへと発展していきます。子どもの書いた実際の例が、最初の頃のと少し後の時期のが出されていますが、それらをみていると、「どうして、この作品が上手くいっているのかが、具体的に書けるようになり、「良い文とはどんなものか?」という感覚を子どもが身につけているのがよくわかります。(2~3ページ)

 

⇒ こうなれば、人の作品にピア・カンファランスでコメントするときも、具体的に、役に立つコメントができるでしょうし、これは、練習すれば、うまくなるスキルというのがよくわかります。また、同時に、自分の中にも「書き手の目」が育ち、それは、いずれ自分が自分の作品を読むときにも使えると思います。


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 これを読んでいて、もう1点、興味をひかれたのは、コメントを受け取る側の能力についても、言及されていることです。


 つまり、カンファランスで得るものは「助けになる読者の視点」であるものの、それに全面的に従う、ということではないということです。この点については、また別の機会に考えたいと思います。



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★ Peer Conferences: Strategies and Consequences の全文は、以下よりお読みください。http://www.learner.org/workshops/writing35/pdf/s6_peer_conferencing.pdf




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