★「読み方」を省いて、「指導の本質or教え方の本質」として読めてしまいます。
十数年ぶりで、Regie Routmanが書いたReading
Essentialsという本を読み直しました。あえて訳すと、「読み方指導の本質」という感じだと思います。★★
日本人が書いた同様のタイトルの本とは、本質的に違う部分がたくさんあるので面白いです。
第1章のタイトルは、Simplify your
teaching lifeとなっていますが、意訳する、「読み方指導を単純化すると同時に、楽しくする」です。英語には「楽しくする」は含まれていませんが、それこそが大切な目的であって、単純化/簡素化はそのための前提という位置づけです。 ~ このことに反対する人は、いませんよね?
●読み方の指導法を1週間単位で学校に滞在し、伝授するプロの存在
読み方指導の単純化のために彼女がしていることは、本を書くことと、書いていることを実際にモデルで示し、実践に移す教師たちのサポートをするための「1週間のresidency」です。日本でも「オーサー・ビジット」や「ようこそ先輩」などで作家等が学校を訪問するプログラムがありますが、これは対象を教師の教え方に設定した長期バージョンです。★★★ 全国を回りながらそういうことをしている存在がいるのを知ったのは、実際に彼女が滞在した直後の小学校をタイミングよく訪ねた時でした。それまでは、一週間ぐらいのartists in residency(画家や音楽家や舞踏家等)という仕組みがあるのは、40年以上前から知っていましたが、読み・書きでもあるというのですから!!! すべての教科であっても、おかしくないですね。
彼女のような人を受け入れる条件として、校内の8割以上の教師の賛同が得られていることがあります。それ以下のところにいっても、時間の無駄ですから。教師サイドの選択とコミットメントが前提なわけです。選択とコミットメントがほとんどない日本の校内研修・研究を含めた教員研修とは大分違うと思いませんか? それだけではありません。彼女側も訪問先に対して、更なる条件を課しています。それは、毎週行う継続的な教師の話し合いです。(サポート役の彼女がいなくても、相互にサポートし合える環境が、よりよい実践をしていくためには欠かせないからです!) 研修はどうすることが効果的なのかをしっかりわきまえた上で、行われていることがわかります。★★★
●自分のしていることすべてを疑う/問う
唯一の正しい教え方もベストの教え方も存在しないので、常によりよくするためには、自分(や学校)のしていることをすべて疑う/問うことが大切です。そこからしか進歩や成長はありませんから。でも、とてもこれが弱いのが日本のような気がします。授業の実践レベルから学級・学年・学校経営、そして国レベルまで。
https://www.facebook.com/TheGiverJapan/(4月20日書き込み)
●大切なことに焦点を絞る
ここにリストアップされているのは、以下の6項目です。
・継続的な好奇心と学ぶことが好きになるように刺激を与える/動機づける
・自立した学び手になるためのスキルやツールを身につける
・即時的かつ継続した成功を積み上げる
・言葉を吟味して使いこなせる思考者になる
・意味があり、意欲もかきたてられるカリキュラムを提供する
・協力的で、一人ひとりを大切にしたコミュニティを築き、維持する★4
ゴールを明確にしないと、達成されることもないわけです。これらはすべて、日本で大切なものとして位置づけられ、かつ取り組まれているでしょうか? あなたが欠けている(ないし弱い)と思うのはどれですか?
●(読み方)指導の複雑化に貢献しているもの
要するには、あると困るもののリストです。項目は全部で13ありますが、最初の5つのみを紹介します。あなたは他にどんなものを挙げたいですか?
・学ぶことではなく、進め方(や体裁や習慣)の重視
・子どもたちではなく、教科書を何よりも重視
(そして、それをベースにした一斉授業)
・簡素で効果的なものよりも、時間の掛かり、細かく複雑な維持管理システムの保持
・教師の評価よりも業者テストを重視
とこんな具合に、第1章だけでもとても本質的なこと(読み方の指導よりも、より一般的なこと?)を紹介してくれています。
★★ 彼女は、Writing Essentials(書き方指導の本質)という本も、10年以上前に書いています。
★★★ どこかに、短期のイベント的なものはいくらやっても、時間とお金をかけてする価値のあるものではない、という捉え方がある気がします。学校等が自分たちでやる分には、もちろんOKなわけですが・・・モデルを示すことまでは、容易にできますが、実践に移せない教師が9割弱いるので、サポート体制こそが大切という考え方です。
http://projectbetterschool.blogspot.jp/2015/11/blog-post_29.html (特に、2つ目の表を参照してください!)
★4 読み返したら、主語がありませんね。「教師」ないし「子どもたち」です。
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