2013年7月12日金曜日

下書き → 修正

 なかなか、このステップが日本の作文には理解されません。
 最初の段階で、下書きの一歩手前ぐらいのレベルを要求しているのが、その理由かもしれません。
 従って、なかなか最初の段階での「実験」というか「遊び」というか「自由に書くこと」ができません/許されません。

 私もそうでした。
 28歳ぐらいになって、ワープロを購入してキーボードを打って「書く」までは、それこそ書けない人生が続いていました。(私の人生の半分近くですから、もったいなかったです!)「消す」(直す)のが大変だったからです。ワープロ(いまは、パソコン)なら、削除やコピペ(コピー&ペースト)が簡単なので、いい意味で「いい加減」にいくらでも書いて、修正することができます。

 従って、「修正」とはなんぞやを説明するのも、これまでやられてこなかっただけに容易ではないのですが、いい事例を見つけました。


 あの有名な芭蕉の俳句、「しづかさや 岩にしみ入るせみの声」です。

 あれは、もともとは「さびしさや 岩にしみ込むせみの声」だったそうです。


 主題と文の構造の転換が行われ、似て非なる作品ができあがりました。
 (この間にも、試行錯誤が何回かあったのかもしれません!)


 これが、修正のわかりやすい例だと思いました。

 これは、短い俳句の例ですが、作文の場合も同じです。修正は、「主題と文の構造の転換」と理解してください。小手先レベルでの直しではありません。
 なお、俳句の場合は分量は変わりませんが、文章の場合は分量が大幅に増減します。

                 (出典: 『読むこと』安良岡康作、29ページ)

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