20年ぐらい前に、ブッククラブの効用に気づき、かなり多用するようになり、その後、約10年間の実践を踏まえてまとめたのが『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』でした。◆現在、在庫が僅少になり、改訂版に向けて制作中です。◆
ここ数年、そのパワーを再確認にし、より一層多用しています。
たとえば、①研修会や勉強会等で、同じことをいくら言っても変わらないことが、②メール(ないしオンライン)でのブッククラブ(つまり、筆談)でのやり取りを数回することで、考えを改め、そして実践に移してくれることを何度も見るようになったのです。
①は、一斉授業の場合と同じで、対象が特定されない中での発言であることが多いからかもしれません。一方で、②の場合は向けられている対象が限定されているうえに、繰り返しのやり取りです。つまり、変わらざるを得ない条件がそろっているのです。
対象とする人(たち)の意識や実践を変えたい時は、ぜひブッククラブ(特にオンライン)を試してみてください。従来の教員研修や校内研究よりも、はるかに効率的かつ効果的です。
そこまでの変容が見られたかというと怪しいですが(やり取りの回数がまだ限定的なので)、しかし、変化の芽が確実に浮かび上がった事例を2つほど紹介します。(両方とも高校の先生たちによるブッククラブです。★)
一つは、『オープニングマインド』を題材にしたブッククラブからです。
6人の参加者がほぼ全員が触れていた不確実な教師の発言というか問い方に対する違和感を書いていました。
具体的には、「不確実性を提供するので、探究を可能にします。不確実性と探究が提供されると、知識をつくり出すということに関して主体性も提供されます。」p.124 → 「~である」から「~かもしれない」に変える p.146
一人の参加者は、これに対する反応を次のように書いていました「リアルブッククラブでお話が出来ましたが、やはり不確実に言うと、どこか自信がないように感じてしまうのではないかという心配はやはり残ります。「~かもしれない」とすれば、生徒が持っている知識から考え、答えにたどり着くことができるかもしれません。私自身、すべてのことを不確実に言うことは出来ないと思うので、どういったもののときに不確実な言い方をすることができるかを考えていく必要があるのかなと思っています。」
もう一人は、「小学生相手ではいいかもしれないが、中高では考えにくい」と。
これは、https://wwletter.blogspot.com/2018/11/blog-post_23.html
で紹介した数字を説明すれば、かなりの確率で納得してもらえます。日本の教師は、授業という言葉を聞いた時、自動的に一斉授業をイメージしますが、『オープニングマインド』と『言葉を選ぶ、授業が変わる!』は、ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップをベースにした授業を主な対象にしているので、授業観自体が違っているのです。
この最後の点に関連する感想が、一昨日から始まった『教育のプロがすすめるイノベーション』のブッククラブでも提示されました。
p.15「授業の中心は教師ではなく、生徒全体でもなく、生徒一人ひとりである」
→こういう言説は日本の教育論でも古くから「子供を束で見るのではなく、個で見なさい」というような形で存在していると思いますが、それなのに日本では40人授業が平然と行われています。個人的には「(生徒一人ひとりを見取ったとして、その上で、そうした一人ひとりの生徒によって構成されている)集団を意図通りに動かすことができる教師が優れた教師」という価値観が染み付いているのが問題だと思います。
これに対する私のフィードバックは、次のようなものでした。
「まったく、その通りです。これと同じレベルで、よく聞く言葉が「子ども理解と見取りの大切さ」です。しかし、過去10年以上、事あるごとに(特に、それを言った先生に対して)、「その子ども理解と見取り」のために具体的にどんなことをしていますか? と尋ねていますが、まともに答えられる人はいません。どうも、「子ども理解と見取り」を言っただけで安心しているようなのです。上の「子どもを束で見るのではなく、個で見なさい」と同じではないですか?
しかし、個々の違いを知ってしまったら、一斉授業などやれるはずがないです!
知らないからこそ、やり続けられます。
この点については、『教育のプロがすすめるイノベーション』および『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』と『授業の見方』および『教師の学び方』との比べ読みをおすすめします。
どなたか夏休みの間に「『授業の見方』および『教師の学び方』をハックする」をまとめませんか?
時間的には、本2冊を読むのに3時間。感想をまとめるのに2時間と言ったところでしょうか。
下書きレベルで結構です。内容次第で、若干書き直していただくかもしれませんが、いくつかの雑誌に掲載をしてもらえるようにアプローチをしたいと思います。最悪でも、姉妹ブログの「PLC便り」には載せられると思います。
★ブッククラブは、はじめてという先生がほとんどでした。しかも、本は一人で読むもの、という意識の持ち主たちでもありました。それが終わった時点では、「楽しかったです」「これからも継続的に同僚たちとブッククラブをやっていきたいです」に転換しました。
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