今回のRWWW便りは、保護者との関わりを大切にしながら進めている、小学校2年生の教室からの報告です。保護者も成長し、かつ良いモデルを子どもに示し、それが子どもの成長を助けるという、いい相互作用ができているクラスです。
このクラスの4月はというと、「書くことも読むことも、とにかく差が大きく、ひらがな表を見て文字を書いている子がいる状態で、授業成立もしていなかった」状態からのスタートでした。
でも時間が進むにつれて、読み聞かせでつかった『どうぞのいす』から、子どもたちが主人公の心優しいウサギさんを好きになり、うさぎさんが森の仲間達にしたような「どうぞ」という行為を、本をみんなに「どうぞ」したいという気持ちが生まれました。そして、積極的に本を読み、読み書きのつながりを自然に感じ、「どうぞ」ブームが時々起こるようなクラスになっていきます。
先月の状態は、というと、「自分達も読み聞かせをしたい」と、毎週金曜日の朝は子どもたちが行う読み聞かせの時間になったそうです。ペア読書用の単行本を2人で使い、絵本以外の読み聞かせにも挑戦し、保護者の読み聞かせから、自然に学んでいる様子が感じられます。
さて、このクラスの4月から先月までの様子を簡単にお伝えします。
さて、このクラスの4月から先月までの様子を簡単にお伝えします。
まず、新学期スタートは『オニじゃないよ おにぎりだよ』(シゲタサヤカ著、えほんの社)の読み聞かせ。これは先生の苗字にご飯の「飯」の字が入っていることや、笑いの起こる楽しい絵本ということで、読み聞かせを楽しむことができるだろうというねらいで選びました。
(→ 後日、子どもたちの発案で、自分の名前から始まる本を探して、それを読み合ったり、紹介したり、図書館での本さがしにも、子どもたちがアイディアを出したりするようになりました。)
読み聞かせが軌道に乗ると、考え聞かせも導入し、子どもたちも、先生の考え聞かせに反応して、自分はどう思ったかということも、どんどん発表する姿がでてくるようにもなります。(→ 後日、子どもたちの発案で、自分の名前から始まる本を探して、それを読み合ったり、紹介したり、図書館での本さがしにも、子どもたちがアイディアを出したりするようになりました。)
そうこうしている間に、普通の読み聞かせでも、最後に「感想いいたい!」とぐんぐん話せるようになり、本を読むことに対するハードルが下がり、ペア読書もできるようになっていきました。
子どもたちは読み聞かせを楽しみにするだけでなくて、「先生、私のお気に入りの本を持ってきたから皆に読んでほしい」という提案とともに、新しい本がどんどん持ち込まれるようになりました。
それが可能になったのは、快く貸し出しをしてくれる保護者の存在です。
この先生は「保護者の読み聞かせノート」★を作っていますが、保護者が書くコメントに返信を書いたり、保護者のコメントをクラスの子どもたちに紹介することで、双方向のつながりを作り、少しずつ理解を得ていったとのことです。
ノートのサイズはB5版を裁断して半分にしたもの。小さいのでお互いに負担感なく書けるようです。
このノートには読んだ本、内容、思ったことなど自由に書けます。保護者は、選書の理由を書いてくれたり、子どもたちが読み聞かせをよく聞いていてよかったと成長を喜んでくれているコメントを書いたりしてくれます。しっかり聞いて、反応している子どもたちの様子をほめてくれたりもするので、それをクラスに伝えると、子どもたちは大喜びです。
回を重ねるごとに、保護者も、他の人の読み聞かせの方法を取り入れたり、自分が好きな作家の本を選んでくれたりします。子どものことを考えて、行事や季節、学習内容、など様々な視点で工夫を凝らした選書を行ってくれ、保護者も楽しみつつも、学んでいるそうです。
次第に帰りの会でも、「本を僕も持ってきたので、ほかの人もお家にある本を持ってきてください」と、子どもたちが、自分たちでお願いしあう姿もみられるようになりました。
『どうぞのいす』の読み聞かせをきっかけに、「どうぞの本」を飾ることにもなり、「○○のどうぞの本」という形で教室にはいろいろな絵本が集まるようになりました。
その一例として、12月には、読み聞かせに来てくれた保護者がクリスマスの本を置いていってくれたおかげで、クリスマスの本「どうぞ」をするブームになり、こんなにクリスマスの絵本があるなら、クリスマスの話が作れそう!と絵を描いたり、ストーリーを考えたりする子どもまで出てきたそうです。
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この先生の実践を見ていると、読書家の時間は、保護者にも開かれた時間であり、だからこそ、協力や対話が生まれていくのだなと思います。
なお、余談ですが、私はこの先生の読み聞かせを聞いたことがありますが、あまりの上手さにビックリしました。教室がうまくいっている先生と、読み聞かせの上手さ・読み聞かせの本の選択の上手さは、深い関係があるように感じています。
★『読書家の時間』(プロジェクト・ワークショップ編、新評論、2014年)の2章「読書環境をつくろうーー読書家の時間をサポートする環境づくり」の中に、「保護者や大人との関わりを活かすーー教室のソフト面」というセクションがあります。48-49ページに「保護者との読み聞かせ交換ノート」について具体的に紹介されています。
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