「自分にぴったりの本の選ぶことを子どもたちに教えるのに最もよい方法は、図書コーナーをよく考えて組織することである。」
フランキー・スィベーソン達のStill
Learning to Read(まだ読むのを学んでいる)p12にこうありました。
今回は、本棚もすでに使っているのですが、ミニ・レッスンなどで教えることとの関連も含めて、カゴを使った図書コーナーのあり方をご紹介します。
図書コーナーの目的の一つは選書を助けることです。だから本のカゴへの分類の仕方は、選書をどんなふうに助けたいかによって決まります。
例えば小学校3年生でシリーズの本を選べるようになることを目的とした場合は、シリーズ別にカゴを用意して本を整理します。フランキー達が小学校3年生を教える時には、シリーズ別にカゴを分類することに専念するそうです。なぜなら、小学校3年生の子たちはシリーズに興味をよくもつようになるからだそうです。
また作家で本を選ぶことを教えたいという目的の場合は、作家別にカゴを用意します。
他にもフランキー達は次のような項目で本をカゴで分類・整理しています。
● ノンフィクションのトピック ~ 「ペット」「冬の動物」など。
● 新しく教室に到着した本
● 一緒に読んだ本 ~ ミニ・レッスンなどで扱った本のカゴ。
● クラスメイトからの一押し ~ 自分が読んだ本の中から、クラスのほかの友だちにも読んでほしい、楽しんでほしいと思った本を入れるカゴ。
● 読み聞かせの本とその関連本 ~ 読み聞かせした本に関連する本を入れるカゴ。例えばラヴィのシリーズの本を読み聞かせすると、そのシリーズの他の本を入れたり、同じ作家ラヴィのそのシリーズとは関係ない本も入れたりするそうです。だから新しい本のカゴと一緒で一年通してカゴの中身は変わります。
● 人気の登場人物 ~ 人気の登場人物、キャラクター別のカゴ。
● 手紙/日記
● ○○が好きな君へ ~ もしあなたが○○を好きなら、◇◇が好きかもしれないという使い方をします。例えば「もしあなたがハリーポッターを好きなら」というラベルにカゴを分類したら、ハリーポッターを好きそうな人が、好みそうな他のファンタジーの本をカゴに入れます
● 賞に選ばれた本 ~ ニューベリー賞など、賞をとった本を入れるカゴ。
● 新聞・雑誌
● 友達と一緒に読もう ~ ペア読書など友だちと読めるように同じタイトルの本を複数用意するカゴ。
ジェニファー・アレンのBecoming
a Literacy Leaderを読むと、書き出しやタイトルなど作家の技でもメンターテキストをカゴに入れて本を分類しています。
今年度、私は小学校3年生の担任をしています。
次に、カゴを使って図書コーナーの一部を組織してみたのをご紹介します。
シリーズの選書を教えたかったのでシリーズ別のカゴを作ってみました。他にも、マジックツリーハウスシリーズや杉山亮の名探偵シリーズなど、シリーズの読書をどっぷり楽しむ姿がよく見られた一学期だったと思います。
また読書記録のジャンルの項目やライティング・ワークショップの書くことに繋げるために、ジャンル別にもカゴを用意してみました。こうやってカゴで分類して教えると、読む時にも書く時にも、子どもたちの中にジャンルの意識が育っていくのを実感しました。
ライティング・ワークショップの文集では間違って、ノンフィクションの作品をフィクションとして掲載してしまいました。その時には「先生、これノンフィクションだよー。」と本人に間違いを正されました。その子には申し訳なかったのですが、ジャンルに対する意識が育っていることを実感できました。
前年度、4年生の担任の時には、ノンフィクションを「スポーツ」「動物」「その他」などより細かく分類してカゴを用意していました。サッカーや野球が好きな子や動物が好きな子がとても多いクラスだったからです。スポーツと動物の本は大人気でした。
あとやってみて分かったことです。上の写真にある茶色のカゴはA3サイズです。このカゴにはハードカバーサイズの本を2列にしてぴったり入れることができます。写真にありませんが、B4サイズのカゴには、文庫サイズの本を2列にして入れることができます。
最後にカゴと本棚の違いについて、気付いたことをご報告します。クラスではカゴと本棚をバラバラに併用しています。わたしは、それぞれ一長一短あるので、教室環境などを考えて使い分けるのがいいと思います。
◆カゴのいいところ
・ 「フィクション」「詩集」などラベルをつけて、本を細かく分類・整理しやすい。
・ カゴにあるラベルが前を向いているので見やすい。
・ 本の分類がしやすい分、ジャンルやシリーズなど教えたいことにより繋げやすい。他 にも、いろいろな意図で本を分類・整理して、子どもたちの読むことや書くことを助けられる。
・ レコード屋さんでレコードのジャケットを見る時のように、表紙が外を向いているので表紙を見て選書をしやすい。背表紙よりも表紙の方が子どもたちの興味を引き起こすだろう。その点は子どもたちの選書をより助けられると考えられる。
・ 本が入っていても移動がしやすい。位置のデザインがしやすい。
◆棚のいいところ
・ 背表紙で本棚にある本を一望できる。何の本があるのか一目で分かる。
・ 文庫用など用途にあった本棚を選べば空間を無駄なく使える。より多くの本を置くことができる。
・ 本棚を置く時に必要な面積が、カゴを並べて置くよりも小さいことがある。
フランキー達の教室を写真で見ると、カゴで本を分類・整理するために2段の棚を用意しています。そして棚の中や上にカゴを並べて置いて本の分類・整理に使っているのが分かります。カゴで本を分類・整理するためにちょうどいい大きさの棚をまだ用意できていないので、わたしは同じことができていませんが、このように棚の中にカゴを置くようにすれば、カゴを使ってもより多くの本を入れることができます。
出典:
Franki Sibberson & Karen
Szymusiak, Still Learning To Read,
Stenhouse Publishers, 2003 , p12-p22
Jennifer Allen, Becoming a Literacy Leader, Stenhouse
Publishers, 2006, p13
3年生の教室から直送の、役にたつ情報満載のRWWW便りをありがとうございました!
返信削除今日のRWWW便りの冒頭の文、「自分にぴったりの本を選ぶことを子どもたちに教えるのに最もよい方法は、図書 コーナーをよく考えて組織することである」は、本当にそうだと思います。
以前、多くの学習者にとってRWの初期に手にとるのに適していない本を、手に取りやすいところにおいてしまって、失敗したことを思い出しました。
「書き出しやタイトル など作家の技でもメンター・テキストをカゴに入れて本を分類しています」も、とてもいいアイディアだと思いました。
メンター・テキストは、ついつい、蓄積しようと思って、そのままになってしまい、結局、もたもたさがして時間を無駄にしてしまうので、トライしてみたいです。
カゴや本棚の一長一短も整理してくださり、ありがとうございます。納得です。カゴはいろいろなサイズのものが使えるのも、いいですよね。私は大きさがバラバラな絵本が多いので、透明のファイルボックス(15センチぐらいの幅でA4サイズ)を重宝しています。
grahyさん
返信削除コメントありがとうございます!
ファイルボックスもいいですね!より細かく分類できそうです。
その分類によって本の数が変わってきたり、大きさがバラバラだったりするので、
それに対応していくことは大切だと思います。
僕もカゴがいろいろなサイズがあるところがいいところだと思います。細かく調整ができますね。
今回のRWWW便りを書かせていただいて、
カゴを使うことにどんな意味があるのかや、
自分の教室の図書コーナーの課題がはっきりしてきました。
図書コーナーをさらに改善して子どもたちの読み書きをより助けられると思います。