2012年3月2日金曜日

ひとりでできる?ブッククラブ ~作家や背景について知ることを通して本 をさら に味わう~

 今日のRWWW便りは、ここ2回で取り上げられた「テーマ別の引き出し」を考え
ていたときに、その関連で作家ノートにメモしたことから書いています。

 「テーマ別の引き出し」について書いたときに、「死別」というテーマについても
少し本を紹介しました。

 このテーマでよく取り上げられる絵本の1冊、『悲しい本』★は、最初、読んだと
きには、「著者の子どものエディ君との死別があって書かれた絵本」ぐらいのことし
か、知りませんでした。

 ただ、実話がもとになっているということで、とても気にもなっていました。それ
で、『悲しい本』に出合ったあと、この著者の本を何冊か読むようになりました。

 そして、同じ著者の書いた他の本の中の1冊で★★、著者が、エディ君の死と『悲
しい本』を書いたいきさつについて語っているページに遭遇しました。思わず、引き
込まれてそのページを読んでしまいました。

 そのページを読んだおかげで、『悲しい本』を、今までとは違う角度で味わうこと
ができました。

 それ以来、クラスで誰かが『悲しい本』を読んでいると、著者がエディ君の死と
『悲しい本』を書いたいきさつについて語っているページに付箋をつけて、「ここも
読んでごらん」と渡すことが多いです。

*****

 ブッククラブでは、読んだ本について話し合うことで、理解が深まったり、今まで
気づかなかった面に気づくことが多いです。他の人と、ある本について対話すること
は、私にはとても楽しいですし、多くの発見があります。

 ある作家や、ある作家のある作品の背景について知ることは、私には「ひとりでで
きるブッククラブ」みたいなものです。

 それは、『悲しい本』についても、その他の本についても、背景や作家を知ること
で、その本を、以前とは違う角度で、違う味わいを楽しめることが多いからです。

 著者が自分の作品について書いた本を読めば、著者と対話しながらのブッククラブ
をしているように思えます。

 そして、著者について書かれた本を読めば、その著者をよく知っている人と対話し
ながらのブッククラブをしているように思えます。

*****

 今年度も残すところあと少しです。今年度、気になった本や作家についての本を読
んでみる(あるいは調べてみる)、こんな読み方を子どもたちに紹介して、春休みに
「ひとりブッククラブ」を楽しむのも、いいかもしれません。また春休みのリーディン
グ・プロジェクトとしても面白いかもしれません。


出典:


★ 2月17日のRWWWでも紹介しましたが、『悲しい本』 は、マイケル・ローゼ
ン 作  クェンティン・ブレイク 絵  谷川俊太郎 訳 あかね書房 2004年です。

★★ 『悲しい本』 の著者、マイケル・ローゼンは多くの本を書いていますが、そ
の中の以下の本の42~43ページで、『悲しい本』を書いたときのことを、かなり
詳しく述べています。

Michael Rosen,
All About Me, Collins, 2009. イラストはTim Archbold

0 件のコメント:

コメントを投稿