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2020年10月23日金曜日

書く指導にとても役立つ『名著から学ぶ創作入門』

先週、ロイ・ピーター・クラークの『名著から学ぶ創作入門』(越前敏弥・国広喜代美訳、フィルムアート社、2020年)を山元さんが読みの専門家として「読む指導」にどう活かせるかを書いてくれていたので、今週は「書く指導」にどう活かせるかを紹介したいと思います。(本のタイトルの通り、それがそもそも目的で書かれた本ですから。実際、書き方を教える現存するプロ中のプロが書くことに関しての名著を紹介しながら書いた本なので、「書き方を教える」際のヒントが満載です!)

名著を紹介している部分は、どれもとてもいいのですが、圧巻は、その後についているエクササイズというかレッスンです。たとえば、

 「『ゼロ稿』を書いてみよう。まず探りを入れる作業なので、完全な文章ではなくていい。ゼロ稿は、自分が何をつかんでいるか、何を知らなければいけないかを教えてくれる」(128ページ)もその一つ。下書きをドンドン書くことを奨励しています。

 「原稿の質を自分では判断できない地点にいずれ達するだろう。そのときには助けを求めよう。ただち、慎重におこなわなくてはならない。励ましてくれる人か、批判してくれる人か、知識のある人に助けを請うように。必要なときに必要な人を選ぶべきだ」(129ページ)は、ピア・カンファランスを奨励しています。しかし、誰でもいいわけではなくて、読むときに選書が一番大事なのと同じように、人選でフィードバックの質も、その結果の文章の質も決まってしまいます。

 この調子で、書き手が大切にすべきアドバイスが満載ですから、ぜひご一読を! 本の値段も300ページを超える内容なのに、2000円+税と、とてもリーズナブルですし、巻末の「ブックリスト」もありがたいです。(それに対して、著者が紹介している40冊以上の本で、訳されている本の少なさに驚きます! と同時に、日本人が書いた本で、この本に類するものを書くことは可能なのだろうかとも考えました。できるとしたら、どんな本があるかどなたか教えてください。)

 もう少し、私が気に入った箇所を紹介します。

・自分の好きなことを書こう。それはすばらしいことだ。その感覚を楽しもう。ただし、推敲中はきびしく自分に問うこと。その華麗な一節や如才ない考えは、本旨に沿うものだろうか。ちがうと思ったら、その表現は取り除こう・・・また別の機会の別の話のためにとっておけばよい。(22ページ) ~ それを可能にしてくれる媒体が「作家ノート」です!

・①この本の適当なページを開く。筆記具と持って、節や章の趣旨とは関係ないと思われる単語やフレーズにしるしをつけよう。

 ②別のページを開く。練習のために、10%を削除しなくてはならないと想定する。削除できそうな部分にしるしをつけよう。

 ③刊行された自分の作品にこのプロセスをあてはめる。それから基準をきびしくして、20%を削除しよう。

 ④最後に、今の自分が書いている原稿の雑然としているところ、弱いところを見つける。だれかに手伝ってもらって、削除した箇所をチェックし、意見が合うかどうかをたしかめよう。(35ページ) ~ これは、このブログでも紹介したウィリアム・ジンサー(William Zinsser)https://wwletter.blogspot.com/search?q=Zinsser をベースにしたエクササイズです。

・文の長さを変えて、心地よりリズムを作ろう。(69ページ)

・目で見える形で考えたり計画したりするのは、ことばを使う人々にとって必要な手段であり、特にプロジェクトの最初には役に立つ。執筆を先に進めるために、作り上げたいものの絵や図を描いてみよう。画家のように描かなくても、棒人間、簡単な図形、矢印、螺旋で事足りる。(88ページ)

・デジタル時代の書き手に特に必要なのは、柔軟性だ。さまざまなメディア・プラットフォームにまたがって、さまざまなマルチメディアの形で、長いものも短いものも含めてさまざまな記事や物語を、速く書いたりゆっくり書いたりする練習をしよう。(96ページ)

 といった具合で、まだ5分の1も紹介できていません(含められなかった中には、このブログで度々紹介してきたドナルド・マレー(https://wwletter.blogspot.com/search?q=Murray)や、https://sites.google.com/site/writingworkshopjp/teachers/osusume に含まれているナタリー・ゴールドバーグの本とそれらからの教訓/エクササイズも含まれています。ぜひ、『名著から学ぶ創作入門』を書く指導のいかしてください。

 なお、最初の(128十129ページの)引用は、アン・ラモットの『ひとつずつ・ひとつずつ―書くことで人は癒される』(パンローリング)からのエクササイズです。

 

2011年6月3日金曜日

いい文章を書くには

 前回とのつながりで、「いい文章を書く」というか「上手に書く」とはどういうことかを、そのままのタイトルの本を使って紹介します。William Zinsserが1976年に書いたOn Writing Wellです。私がもっているのは2006年に出た30周年記念の改定第7版ですが、すでにその時点で100万部以上が売れています。サブタイトルには、The Classic Guide to Writing Nonfictionとありますから、対象はノンフィクション限定です。★この本の内容に相当する本がすでに日本語でありましたら、ぜひ教えてください。

 まずは、パート1の「原則」から。(私が読みながら取ったメモを起こしていますから、必ずしも要約とは言えないかもしれません。左の数字は、本のページ数です。斜字は、私のコメントです。)

xii&4 書くことのエッセンスは、修正すること。
xiii    IT時代でも書くことがベース → 増えこそすれ、減らない!!

5 最終的に書き手が提示しているのは、中身よりもその人本人。
  書き手の意気込みが伝わってくるか? 文章を通じて、humanity, warmth, aliveness(人間性、温かさ、イキイキさ)が。 → これらが伝われば、読んでくれる。
  文章自体は、clarityとstrength(明快さと説得力)が大事。

6 いい文章の秘訣は、最小限に切り詰めること。
8 読み手は、30秒ぐらいしか時間をくれない。

16 最初の下書きは、何の問題もなく半分にすることができる。
   短くすることを、心がける。

19 読み手は、書き手に誠実であること/本当にその人であることを望む。そのために、書き手はリラックスすることと自信を持つことの両方を同時に実現しなければならない。
21 「私」という言葉を使わなくても、書き手の主張(Voice)は伝えられる。
   Style is tied to the psyche.(書き手のスタイルは、その人の心を表している。)

24 自分自身のために書く。自分が楽しめれば、他の人も楽しめる。
   書くときは、自分であれ!! 偽らない!

34 メンター・テキストから学ぶ/真似る。
Learn to use words with originality and care. (言葉は、大事にしかも自分なりのオリジナリティをもって使えるように練習する。)

2011年6月17日金曜日

いい文章を書くには 3

 William ZinsserのOn Writing Wellの最終回は、パート3と4の書く「種類」と「姿勢」についてです。(左の数字は、ページ数です。)

種類

99 ほとんどの人にとって書くということは、ノンフィクションを意味する。
   それは、自分が知っていること、観察できること、調べることができることだから。子どもたちにとって、このことは特に当てはまる。 → 詩や俳句を含めて、フィクションは作り出す/生み出す/イメージすることとは大分違う! それとも変わりない?

    人、場所、出来事が中心。

100 人なら、聞けば話してくれる。
101 インタビューの大切さ。
105 それには、準備が大切。質問のリストを作っていく。
107 テープを使っても(補助的に使い)、メインは自分のノートにする。
   → やり取りを楽しむことの大切さ。願わくは、宮本常一のレベルで!!

   人と同じレベルで、読み手の場所への関心も大きい。
   人、場所、出来事以外は、思い出、科学技術、ビジネス。スポーツ、批評など。

195 批評/書評は評価することよりもレポートすることが目的。4つの条件は、①対象(の作品)が好きである、②内容を明かしすぎない、③具体的な例を使う、④大げさに書かない。+ ユーモアと真面目さは、表裏一体。ウーディー・アレンのように。

姿勢

233 読者が聞きたい「声」を見つけることは、書き手の好みが左右する。
    女性の着る服のセンスに似ている。
235 好きな作家を真似することを恐れない! 自分のものにしてしまう。

245 自分自身が楽しむことの大切さ。楽しく学び続けることがカギ。
256 何に焦点を絞るかがポイント。

261 大きな判断は、作品のshape, structure, compression/focus/intention(形、構成、切り詰め/焦点/目的)
262 書き始めの大切さ
    文章を2つ、3つに分ける!
302 書くということは、自分の書いたことと自分自身を信じるということ。リスクを犯すということ、他の人との違いを際立たせること、成長し続けること。

2011年6月10日金曜日

いい文章を書くには 2

 前回に引き続きWilliam ZinsserのOn Writing Wellの紹介です。今回は、パート2の「方法」。(左の数字は、ページ数です。)

50 書くことを学ぶには、書くしかない! ひんぱんに書く。
   たとえば、記者は新聞社で毎日2~3の記事を載るか載らないかは別にして、書いていれば半年で自然にうまくなる。 → 教訓: 毎日たくさん書く。

   書くことは、問題解決。
   どこから情報を得るのか、それらをどう構成するのか等。
   書く姿勢, トーン(調子), スタイル(文体)をどう決めるのか。

51 3つの大きな選択:
    ・ 一人称か三人称か
    ・ 現在形か過去形か
    ・ ムードや調子

52 書き始める前に問うべき質問:
    ・ どのような立場で書くのか?
    ・ 人称と時制?
    ・ どのようなスタイル?
    ・ 書く姿勢は?(たとえば、のめり込んで?切り離なして?批判的?皮肉的?おもしろがって?)
    ・ どのくらいの量で書くのか?
    ・ 自分が言いたいことは何か?
 最後の2つが特に大事。切り落とすこと!!

 読み手は、こちらの意気込みをすぐに読み取ってしまう。
 それを自分が失わないレベルに押さえることが大切。

 2つでも、5つでもなく、1つだけ言いたいことが伝わればそれでいい。

53 計画/構想の奴隷になってはダメ!
   ムードやスタイルが一貫しているように修正する。

54 記事で一番大切なのは、書き出しの文章。
55 「これを読むことで何が得られるのか?」に答えてあげないと。
   その際、ユーモアや驚きは、大切な要素。
58 通常考えつかないような情報源を活用する(常に広く情報収集する)
63 書き終わりは、書きはじめと同じレベルで大切。

   はじめ ~ 中 ~ 終わり にこだわらないことの大切さ!!

66 驚きこそが、ノンフィクションで一番大切。

79 パラグラフは短く。作品はビジュアルに。見てくれが大切。読みたくなるように見えないといけない。

83 読み直しがすべて!
84 書くことがプロセスと思えないうちは、よく書けないということ。
   修正は、変形する(順番を変えたり、強弱をつけたり)、切り詰める、洗練する、の3つで構成されている。
86 声を出して読む。響きが大切。

91 読み手にも参加してもらうために、書きすぎない/説明しすぎない。
   自分の情熱/感動に従えばいい。必ず伝播する。

2011年8月5日金曜日

夏休みの間にメンター・テキストを増やそう!!

 とにかくたくさんの本(特に、絵本★)を夏休みの間に読んで、WW(作家)の時間にメンター・テキストとして使える本を探してください。

 まずは、自分がおもしろいと思える本、子どもたちに紹介したいと思える本を探してください。それらはすべて、読み聞かせ用の本として最低限使えます。さらには、RW(読書家)の時間をしている方は、そのメンター・テキストとして使える可能性大です。

 おもしろい/紹介したいと思った本は、いい文章の要素や3回連続で紹介したWilliam Zinsserの「いい文章を書くには」などの視点(要するに、「作家の視点」)で見てみると、どういうとき(ミニ・レッスン)に使えるかが浮かんできます。身近においておくと、カンファランスでも使えます。

 いい本は、ぜひ教えてください。WWサイトに載せますので。


★ 特に絵本をお薦めするのは、短時間で読めたり、紹介できたりするだけでなく、いい文章の要素が凝縮される形で詰まっているからです。