2021年2月12日金曜日

『私にも言いたいことがあります!』


教育の変化やトレンドについて研究している人たちであれば、「生徒の声こそが効果的な教室の学びの中心である」という考え方を支持するでしょう。実際、現場の教師はご存じのとおり、生徒が学校生活で主体性を発揮できると感じたり、自分の言いたいことを安心して聞いてもらえると感じたりするとき、教室は「生きた学びの場」となるのです。私たち教師が、双方向的で、サポート的で、身近なことにチャレンジできるような授業を確立することができれば、生徒はきっと「私にも言いたいことがあります!」と言い放ってくれることでしょう。

 これは、この本の著者が「まえがき」の最後に書いていることです。

 日本で教育にかかわる多くの人も、これには賛同するのではないでしょうか。しかし、現実には「生徒の声こそが効果的な教室の学びの中心」になっている割合はどのくらいでしょうか? (中心にあり続けているのは、教科書であって、生徒の声はもちろん、教師の声すら活用されることはない、という「声」が聞こえてきそうです!)

 トーク(話す・聞く)活動そのものは教科ではありません★。・・・新しい概念を理解すること、主体的な学び手として他者ときちんとコミュニケーションをとること、多様なものの見方ができること、他者に対する寛容さを育てること、といったさまざまな機能があります。(本書、5~6ページ)

 さらに著者は、トーク活動の価値というか効用について、次のように書いています。

 トーク活動は、生徒の知識を高めるだけでなく、質問することや話し合うこと、振り返ること、情報から意味をつくり出すことといった能力を高めることになります。

 ですから、学校はトーク活動を推奨し、それによって学習へと誘う場であるべきです。熟考に満ちた探究が評価され、探究には対話が必要だと認識されている場所であるべきです。そして、教室でのトーク活動を最大限に活かすためのさまざまな方法とカリキュラムを開発する必要があります。そうすれば、生徒は次のようになります。

 ・言葉や言い方を文脈にあわせて選ぶ。

 ・聞き手、聴衆に対する自分の発言の効果に気づく。

 ・自分の内なる声(意見、考え、思い)に気づき、他者の発言と結びつける。

 ・書く活動を行う前に話し合う。

 ・グループ活動においてより高い理解につながる。

 ・すべての学習において意味をつくり出す際、その中心に話し合いを位置づける。

 ・自らが参加した方法を振り返る。

  これだけの効果があるのですから、ぜひトーク活動を活用してください。そして、考えるため、コミュニケーションを取るため、振り返るため、何よりも学びのコミュニティーの一員であるために、トーク活動を使いこなせる生徒を育てましょう。トーク活動は、アイディアを試し、フィードバックを得て、視点を増やし、協働して知識を構築する機会を生徒に提供するのです。

 本書は、こうしたトーク活動を組み立てる多様な方法を紹介することを目的として書かれています。(12~13ページ)

 実際、「多様な」どころではなく、「膨大な」量の方法と情報を提供してくれています。そして、各章の最後には、極めて効果的なチェックリストも! たとえば、次のような感じです(第1章のごく一部の紹介にとどめます。)

あなたは、学校での勤務経験を通して、トーク活動をどのように変化させてきましたか?

現在、学校で生徒がよく取り組んでいる対話の形を考えてみてください。インタビュー、質問、グループでの問題解決、読み聞かせ、日々の生活の話、調べたことの共有、理科の実験について説明すること、ロールプレイ、読み取ったことのグループ間交流などです。あなたのクラスでは、どのような活動を行い、とくに何を強化していますか? 生徒の学習がどのように活性化しているかについて気づき、学校でのトーク活動にどのような変化をもたらすことができますか?

授業では、自然に話すといった機会が歓迎されていますか? ペア、グループ、クラス全体で話すとき、もっとよい状況を設定することはできないでしょうか? そして、生徒がリアルで重要だと思えるような活動を通して、自然に話す・聴くことの力を成長させることはできないでしょうか?(32ページ)

 これらの問いかけは、WWRWのカンファランス・アプローチと同じです。教師が生徒に「~をしなさい」と指示をしても効果は薄いのと同じで、問いかけアプローチこそがアクションに結びつく可能性は高いからです。

 この本の中で書かれていること(の全部ではなくても、一部)を自分のものにできたら、国語教師としての力量を大幅にアップさせられることは間違いありません。

 

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★それに対して、読むと書くは、アメリカ等では異なる教科になっているところが少なくありません。

 

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