検索キーワード「PBL」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「PBL」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2021年6月6日日曜日

プロジェクト/探究学習のなかの国語の役割

 『プロジェクト学習とは』の訳者の池田匡史さん(兵庫教育大学大学院)が、以下の紹介文を書いてくれました。

 *****


 教科横断的な学びの必要性が訴えられたり、実際に展開されたりしている際、国語科を専門にする立場から不安になることがあります。それは、「生徒が言語活動の経験をしているから、国語科の要素が入っているだろう」という認識が広がってしまわないかということです。これはたとえば、学校全体の取り組みのなかで、なにかを追究するというとき、「プレゼンテーションをしているから国語科の要素がある」というような認識のことを意味しています。プレゼンテーションの場が設定されること自体はよいことです。しかし、その言語行為そのものを教える場や、うまく行うための支援の機会や場が担保されていることは重要なことです。このことを考慮に入れないと、過去(このばあい、とくに戦後初期)の過ちを繰り返すだけの営みとなってしまいます。現代における教科横断的な学びといえる『プロジェクト学習(以下、PBL)』でも、それは考慮しなければならない事柄です。ただ、この問題は意外に難しい面もあります。

 たとえば「○○の歴史」といった学習テーマの追究をしようとするPBLを想定してみましょう。生徒が、その歴史を明らかにすることに集中している過程において、読み書きそのものを教えようとすることは、生徒の思考過程をずらしてしまう恐れがあることは否めません。せっかく、生徒が歴史を解き明かすことに集中しているときに、別のことに目を向けさせることになるのですから、無理もないでしょう。その一方で、読み書きそのものを教える機会を担保することも、また重要です。このバランスをいかにとるのかということが、重要になってきます。

 本書で紹介されている事例では、その工夫も垣間見えます。プロジェクトの初期段階で、読み手としての能力が異なる生徒たちが一緒に読み聞かせをし合ったり、先生がすぐれた読み手のモデルとして音読をしたりする場面を組み込んでいることが窺えます。

 また、同じ学習テーマを扱いつつも、その教材として難易度別にアレンジされた文章を生徒に応じて用いるという手立ても採用されています。これは生徒一人ひとりをいかす教材選択であり、支援ということができるでしょう。難易度別になっているため別々の教材を用いているものの、ある学習テーマを追究するというめあてはクラスで共通しているため、PBLの活動として、誰一人学習のめあてから逸れてしまうということがないのです。このような教材選択が可能となるのは、学習テーマがはっきりとしているPBLという学習方法だからこそといえるでしょう。(PBL特有ということではなく、PBLを念頭にしない場でも学習テーマを設定することの価値が見えてきますね。)

 PBLという枠組みのなかに、国語科の要素がどのように捉えられているのか、また自分だったら何をどう組み込んでいくのか。本書をそのような目で見ることで、読み書きを教えるということへの自らの思考を活性化させてくれます。


*****


 世の中は、教科でブツ切りになっていません。教科で区切られているのは学校の中だけです。教えやすさではなく、学びやすさの観点から考えたら、教科横断/プロジェクト(探究)学習の方がはるかに身につく学びが実現します。(教科ベースでは、暗記と覚えたことを忘れる悪循環が繰り返されるだけかも!? 「学校ごっこ」=「正解あてっこゲーム」をやり続けるだけですから。)

 その意味でも、早くRWWWへの移行(まさに、国語科の中でのプロジェクト/探究学習といえます)や、『教科書をハックする』に書かれている「テキストセット」「学ぶために読む」「学ぶために書く」や、生徒一人ひとりをいかす教え方(『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』で紹介されている)や、『あなたの授業が子どもと世界を変える』で紹介されている実践を日本でもはやく実現したいです。(それらが実現できずに、教科書をカバーする授業が続くことは、学びの質と量が極めて低調な状態が続くことを意味しますから!)


◆本ブログ読者への割引情報◆

1冊(書店およびネット価格)2970円のところ、

WW&RW便り割引だと   1冊=2700円(送料・税込み)です。

5冊以上の注文は     1冊=2600円(送料・税込み)です。


ご希望の方は、①書名と冊数、②名前、③住所(〒)、④電話番号を 

pro.workshop@gmail.com  にお知らせください。


※ なお、送料を抑えるために割安宅配便を使っているため、到着に若干の遅れが出ることがありますので、予めご理解ください。また、本が届いたら、代金が記載してある郵便振替用紙で振り込んでください。

2020年11月13日金曜日

あなたの授業に、生徒たちは退屈していませんか?

 授業中に生徒が退屈する理由として、以下の四つがあると言われています。

  今やっている学習が無意味に感じられる。

  活動が抽象的で分かりにくく、同じことの繰り返しである。

  生徒が、今の環境に縛られていると感じている。

  生徒自身が主導権をもっていない。 (『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』の10ページ)

 これらの一つでも当てはまってしまうと、「からだはそこにあっても、心はどこか別のところ」の状態になってしまいます★。

 『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』の著者は、750名を超える高校の卒業生を調査しました。

「教師が新しい指導方法を採用することで、退屈な授業を面白いものにできる」という設問に賛成した生徒が九〇パーセント、授業がより面白ければ「かなり」あるいは「ある程度」やる気が出ると思うと答えた生徒が八〇パーセントであった。

ある研究者たちの調査によれば、六九パーセントの教員が、「生徒が興味を失っていること」が学校の問題であると答えている。しかし、別の研究者は、生徒が夢中になって学んでいない原因が退屈にあると考える教員は少ない、と指摘している。生徒が授業に退屈している原因は、怠けや不安、絶望といった生徒側の感情による、と多くの教師が考えているのだ。

私たちは、教え方が生徒の学びに強烈なインパクトを与えることを認識しなければならない。私たちが教えたいことではなく、生徒が今経験していることや、生徒にとってのニーズを考える必要があるということだ。(『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』の37ページ)

 アメリカ国内を周り、熱中して深い学びを実現している教室の調査をしたハーバード大学大学院生のサーラ・ファインは、1980年代、90年代、2000年代初期における教育改革の前もほとんどの教室が同じ状況だったし、繰り返し実施された教育改革の後も何も変わっていない、と述べ、その理由を次のように考察しています。(同、11ページ)


~ 日本も常に教育改革が叫ばれていますが、何も変わらないのと同じですね!!

 

 また、この本には次のような刺激的な(=きわめて常識的な?)表も掲載されています。


 あなたの授業は、すべてのタイプの生徒が☆ないし◎で学べる教え方ですか?

 それとも、対象となる生徒によって、△や×になってしまう教え方ですか?

 もし、◯や△や×と自己診断された方には、『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』は特におすすめです。(下の①~⑤をあまり聞いたことがないという方にも、おすすめです。)

 残念ながら、この本では一切ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップは紹介されていませんが、①ストーリーテリング、②PBL(プロブレム学習★★)、③シミュレーション(ロールプレイ)、④コンテスト、⑤本物の課題 の、まだ日本ではほとんど知られていない方法を授業でどう使うかが詳しく紹介されています。(原書には、もう一つ話し合い/ディベートが紹介されていましたが、ページ数が多くなりすぎる=本の値段が高くなってしまうことと、来年の夏前には、そのテーマだけで1冊の本を出す計画がありますので、含めませんでした。)


◆本ブログ読者への割引情報◆

  http://projectbetterschool.blogspot.com/2020/11/blog-post.html

 

★教科書をカバーする授業は、かなりの部分退屈を生徒たちに約束することがわかります。教科書をカバーする授業ないし指導案どおりの授業で、4つを乗り越えることは極めて難しいですから。(なにせ、教師すら主導権をもっていないのですから、生徒がもてるわけがありません! そこにいくと、各自が自分の読む本を選ぶリーディング・ワークショップ(読書家の時間)は、これら4つを解放してくれるだけでなく、楽しめるというか、打ち込める時間を提供してくれることが理解していただけると思います。) 教科書からの脱皮を図りたい方は、『教科書をハックする』や『教育のプロがすすめる選択する学び』を参考にしてください。

★★PBLには、プロブレム学習とプロジェクト学習の2つがあります。前者については、『PBL ― 学びの可能性をひらく授業づくり』があります。後者については、『プロジェクト学習の教え方(仮題)』を現在翻訳中です。

 

2021年8月13日金曜日

WWとRWは、「プロジェクト学習」そのもの!?

 『プロジェクト学習とは』のなかから二つの引用を紹介することによって、ライティングとリーディング・ワークショップ(WWRW)は究極の「プロジェクト学習」であることを示します。

1.

生徒には、各教科内容の知識やスキル★に加えて、①協働すること、②(口頭や書面という言語的な面と、映像などの非言語的な面での)コミュニケーション、③クリティカルな思考と④問題解決、⑤プロジェクトの管理と自己管理、⑥創造性と⑦イノベーション(革新性)、そして、⑦人生と世界の課題に取り組むためのエンパワーメントの感覚などといった「成功のためのスキル」★★★が必要とされています。本書で紹介されているプロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL=プロジェクト学習)を経験している生徒たちは、これらのスキルや性質を身につけているということができます」(『プロジェクト学習とは』のiiページより)

★従来の国語の教科書をカバーする一斉授業で、知識とスキルはどの程度子どもたちに定着する形で身についているでしょうか? かなりの部分は、教師が「自分はカバーしました」と言えるだけの教え方にとどまっています。

一般的には「批判的思考」と訳されますが、それが占める割合は四分の一からせいぜい三分の一です。より重要なのは「大切なものとそうでないものを見極める力」です。

★★★あるいは「21世紀スキル」と言われているものです。これらは近年、教科内容の知識やスキルと同じレベルか、それ以上に重要だと言われるようになっています。それらがないと、21世紀を生き抜くことが難しいとされているからです。①~⑦の中で、従来の授業によって、身につけられているスキルや性質はどれでしょうか? (そのいくつかには挑戦できていても、それを評価するところまではいっていないのではないでしょうか? 本書では、それを評価する方法も詳しく紹介されています!http://projectbetterschool.blogspot.com/2021/08/blog-post_8.html

 WWRWは、国語の知識とスキルをほとんどの子どもたちが身につけることはもちろんですが、①~⑦も重視して、常に練習し続けています。

 

2.

プロジェクトが高い質をもつと判断されるために、ある程度当てはまらなければならない「プロジェクト学習」の6つの枠組みに関する基準をご紹介します。

知的な挑戦と成果

 生徒は深く学び、クリティカルに考え、優れたものを目指しています。生徒は、

 ・挑戦的な問いや疑問に対して、長期間にわたって向きあうことができますか?

 ・教科領域や知的分野の中心となる概念、知識、スキルに焦点を当てることができますか?

 ・学習とプロジェクトが成功するために必要な、研究に基づいた指導とサポートを受けることできますか?

 ・最高の質をもっていると言えるような作品を完成させることに全力を尽くすことができますか?

 

本物を扱う

 生徒は、自分たちの文化、生活、将来に関連している、意味のあるプロジェクトに取り組みます。生徒は、

 ・学校外の世界や、個人的な興味・関心につながるような活動ができていますか?

 ・学校外の世界で使われているツール、科学技術、デジタル技術を使うことができますか?

 ・プロジェクトのテーマ、活動、成果物について、選択する権利をもっていますか?

 

成果物を公にする

 生徒の成果物は公開され、議論の対象となり、批評されることになります。生徒は、

 ・自分の成果物を展示できる場があり、教室を超えて、仲間や見てくれる人に対して学習内容を発表できていますか?

 ・成果物を見てくれる人からフィードバックを受けたり、直接対話に参加したりしていますか?

 

協働すること

 生徒は、対面またはオンラインでほかの生徒と協力したり、大人のメンターや専門家からアドバイスを受けたりします。生徒は、

 ・複雑な課題を完了するために、チームで活動をしていますか?

 ・効果的なチームのメンバーやリーダーになるための学びを行っていますか?

 ・大人のメンター、専門家、地域の住民や企業や組織との連携方法について学んでいますか?

 

プロジェクト・マネジメント

 生徒は、プロジェクトの開始から完了まで、効果的に進めるためのプロセスに則っています。生徒は、

 ・多段階のプロジェクトを通して、自分自身とチームを効率的かつ効果的にコントロールすることができますか?

 ・プロジェクトをコントロールするプロセス、ツール、方法を使用することを学んでいますか?

 ・デザイン思考★の視点とプロセスを適切に使用していますか?

授業でデザイン思考がどう活用できるかについては、『あなたの授業が子どもと世界を変える』(とくに第7章)をご覧ください。

 

振り返り

 生徒は、プロジェクトを通して自分の成果物と学習を振り返ることになります。生徒は、

 ・自分自身やほかの生徒の成果物を評価し、改善点を提案することを学べていますか?

 ・学んでいる教科領域の知識、概念、成功するためのスキルについて考えたり、書いたり、話し合ったりしていますか?

 ・自分自身の主体性を高めるためのツールとして、振り返りを行うことを位置づけ、それを使うことができていますか? (以上、『プロジェクト学習とは』のviiixiページより)


〇以上の「6つの枠組み」★★とそれらを可能にするために生徒が実際にしているかを問う質問を読んで、どのような感想をもたれましたか?

〇あなたの授業で、どのくらいが満たせていますか?

〇すでにWWRWに取り組んでいる方は、どのくらい満たせていますか?

 

 ある程度WWRWに精通した教師なら、これらの質問はほぼすべて満たせています。

 まだ実践に踏み切れていない方は、この本(『プロジェクト学習とは』)やhttps://sites.google.com/site/writingworkshopjp/teachers/osusume から興味をもった本を読んでいただき、9月からぜひ実践をスタートさせてください。

今回紹介したことは、同僚や管理職を説得する際の材料として使えるのではないでしょうか。

 

★★この「6つの枠組み」はプロジェクト学習用に考え出されましたが、WWRWはプロジェクト学習として開発されたわけではありませんから、「いい授業がもっている6つの枠組み」としても使えそうです。

 

 

2017年12月29日金曜日

新しい年を言葉に意識した年にする!


今年も残すところ少なくなりました。
あなたにとっての2017年は、どういう年でしたか?

3月には『言葉を選ぶ、授業が変わる』(ピーター・ジョンストン、ミネルヴァ書房)★が出る予定なので、それに関連したテーマで新しい年をはじめていただければ、と思って上記のテーマを選びました。

新しい年がはじまる時は、新しいことにチャレンジするのを決心するのに最適なタイミングです。(しかし、それは良くて数週間、悪いと数日しかもたないことも往々にしてあります。3月に、このテーマでフォローアップできるということが確約されていることも、今回のテーマを選んだ理由です!)

そこで、「新しい年を言葉に意識した年にする!」という提案です。

やる気や実際に注ぎ込むエネルギーは、私たちの思いや見方の結果とも言えます。
そこに言葉がどう関係するのか?

大いに関係します。
思いや、物事の見方を変える力がありますから、それが行動にも表れます。

詳しくは、あと2か月半ほど『言葉を選ぶ、授業が変わる』の出版まで待っていただくこととして、今回は新しい年を迎えるにあたって、その「予告編」のようなものです。

エネルギーを生む言葉遣い

その1: 「まだ」

私たちは、以下のようによく言います。
・教室の図書コーナーを整理する時間がない。
・まいった! 子どもたちはしっかり聞いて(順番に)話すことができない。
・前にはけたようにズボンをはくことができない。(太ってしまった、ということ!)

これらの文章に、「まだ」を加えるだけです。
まだ、教室の図書コーナーを整理する時間がない。
・まいった! まだ、子どもたちはしっかり聞いて(順番に)話すことができない。
まだ、前にはけたようにズボンをはくことができない。

前の3つは、変更が不可能な印象を自分自身受けてしまう(あるいは、お手上げ状態をにおわせている!)のに対して、後の3つは、私たちには状態を変える可能性ないし選択肢をもっていることが明白です。いまは理想の状態にはないのですが、努力次第でそこに到達できると思わせてくれます。

以下の文章は、どうでしょうか?
・(その効果に疑問をもちつつも)学期末には成績をつけ続けている。
・(その効果に疑問にもちつつも)教科書をカバーする授業をやり続けている。
・(その方が平等との思いから★★)すべての生徒に一斉授業形式で教えている。

「まだ」を入れたら少しは可能性が開けるでしょうか?

その2: 作業をする  遊ぶ

やらされることが前者で、やりたいからすることが後者です。
大人にとっては仕事であり、子どもにとっては勉強がやらされることです。
それは楽しくないものであり、やらなければならないものであり、多分に苦役です。選択の余地がないものです。
それに対して、遊びは楽しいから、やりたいからするものです。やめたいなら、いつでもやめられるものです。
 同じことをするのでも、勉強として捉えるのと、遊びとして捉えるのでは、出来も違うし、残りぐらいも違います。創造的/想像的になれる度合いさえ違います。さらには、遊びと捉えられるか否かが、学ぶことを好きにも嫌いにもしますし、誰に言われなくてもやり続けるか否かの境目にもなります。★★★
 指導案を書かされたり、指導案の検討をしたりして、大量の時間とエネルギーを割いたところで、授業改善が期待できないことは、それが誰にとっても苦役だからです。それに対して、『PBL ~ 学びの可能性をひらく授業づくり』が提唱しているのは、アイディア、授業、カリキュラムで「遊ぶ」アプローチ(68~69ページ)です。

その3: ~をしなければならない、~をする必要がある  ~を始める、~に取り掛かる、~に着手する、~できる機会[チャンス]を得る

これは、②と似ていますが、前者は負の感情を呼び起こしたり、エネルギーを吸い取られたりします。やりたくないのに、仕方なくやる場合に使われますから。
 「保護者会の準備をしなければならない」の代わりに、「保護者会の準備を始める/に取り掛かる」や「保護者会を開くチャンスを得る」というふうに言ってみるのです。
それだけで、負担感、不満、不安、心配、恐れが、感謝や喜びに転換し、思わぬ出会いや発見の機会にワクワクさせてくれませんか?

 ぜひ、言葉にこだわる一年にしてみてください。
 あなたにとって、2018年がよりベターな年になりますように!


★ 一言でこの本を説明すると、「教師がどのようにコミュニケーションを図れば(どのような発言をしたり、反応をしたりすれば)、子どもたちに考えさせ/学ばせ、同時に学びのコミュニティも築けるかのヒントが盛りだくさんの本」です。
 著者は実践者ではなく研究者なので、以下のような方法で本の中で分析/紹介している教師たちを選んだそうです。「教師の選定にあたっては、指導後の生徒が国語のテストでよい成果を収めている人や、その教師をよく知っている人によって推薦され、その教師のようになりたいと思われたり、自分の子どもも教えてほしい、と言われたりしている人を選びました。どの教師も自分なりに得意な方法があるだけでなく、私たちと同じように弱みももっていました。私はこれら優れた教師たちの効果的で巧みな言葉の使い方に興味を持ち、その重要性を調べ始めました」
ちなみに、それらのほとんど(ないし全員)は結果的にライティング・ワークショップ(WW)およびリーディング・ワークショップ(RW)の実践者たちでした。この最後の点については、本/著者はまったく触れても、分析もしていませんが、あなたはなぜだと思いますか? なお、『「考える力」はこうしてつける』の著者の一人のウィン・ジャンさんもWWRWの実践者ですが、そのことについては本の中で一切触れられていません。66ページの彼女の時間割に何げなく書かれている以外は。(何もそのことに触れない方が、触れることよりも、スゴイことだということを気づかせてくれた2つの例でした!)

★★ それは、錯覚に過ぎないのですが・・・詳しくは『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』および http://projectbetterschool.blogspot.jp/2017/09/blog-post_17.html

★★★ 遊びの効用について考えさせてくれる本が、今年前半には翻訳出版される予定です。タイトルが決まっていないので書けないのが残念ですが、原書のタイトルは、Free to Learn: Why Unleashing the Instinct to Play Will Make Our Children Happier, More Self-Reliant, and Better Students for Life(直訳すると、「学ぶ自由 ~ 遊ぶことへの本能を解き放つことが、なぜ子どもたちをより幸せに、より自立的に、そして生涯にわたるよりよい学び手にするのか」です。でも、これでは日本語のタイトルとしては???です。)著者はピーター・グレイで、築地書館から出ます。たくさんの事例と研究成果を踏まえながら、説得力を持って遊びと学びについて、いろいろなことを考えさせてくれる本です(アクションも呼び起こすと思います! 本の特徴としては、『算数・数学はアートだ!』に似ています。これらの本は両方とも、読み・書き教育は直接的に扱っていませんが、構造的にはまったく同じであることに気づかせてくれます)。




2023年2月10日金曜日

とても相性がいいライティング&リーディング・ワークショップとSEL

 以下は、あるライティングとリーディング・ワークショップ(WW/RW)の実践者が書いた文章です(少し読みづらいかもしれませんが、挿入されている数字は無視して読んでください。この文章を図の後に解説する際に必要なので、番号が付けてあります)。

教師として、私は書き手や読み手だけでなく、全人的に育てることにコミットしています。私は、子どもたちが、人間関係や経験を人道的にナビゲートできる、責任感があり思いやりのある大人に成長⑤&⑥してほしいと願っています。望むだけではいけません。私たちは目的と情熱をもって育てなければなりません③&④。(中略)ライティング・ワークショップでは、生徒は自分が書くものを選び、書くプロセスとペースをナビゲートし、自分で選んだ仲間と話し、自分の声と言葉で世界に影響を与える方法を決定します

 この実践をSELの観点から見るとどうなのかを説明したいと思います。使うのは、新刊の『学びは、すべてSEL』で紹介されている切り口(図を参照)です。上記の文章のなかに表示されている数字は、この本のなかの5本の柱が紹介されている章の数字です。

 残念ながら、日本の国語教育には、まだ「書き手や読み手を育てる」こと自体が視野に入っていませんが、これはライティングとリーディング・ワークショップ(作家の時間と読書家の時間)をする際の最大の目標です。これは、図(本)のなかのアイデンティティーとエイジェンシー(第2章)のすべてを最低限扱っているので②を付けましたが、③と④も扱っています(そして⑤と⑥も。すでに2010年にhttps://sites.google.com/site/writingworkshopjp/qa/ww%E3%81%AE%E6%80%9D%E3%82%8F%E3%81%AC%E5%81%89%E5%A4%A7%E3%81%AA%E3%81%8A%E3%81%BE%E3%81%91%E3%81%A8%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB を書いているぐらいですから)。

しかし、この文章を書いた実践者は、それだけにとどまらず「全人的に育てる」と言い切っているのです。それは、従来の知識やスキルを重視した(アイデンティティーとエイジェンシーの項目のほとんどは態度ですが!)ものではなく、感情・社会性・人間性までを含めたトータルな人間を育てると宣言しているので、②~⑥のすべてを含んでいますから⓪と表示しました。

 その後の「人間関係や経験を人道的にナビゲートできる」もすべてなので⓪にしていますが、あなたならどの番号を付けますか?

 「責任感があり思いやりのある大人に成長」は、⑤と⑥が中心です。

 次の「私たちは目的と情熱をもって育てなければなりません」は、生徒たち対象のSELではなく、教師が実践していなければできない項目としての③と④という意味です。

 ライティング・ワークショップ(およびリーディング・ワークショップ)を実践している教師なら、誰もが「生徒は自分が書くものを選び、書くプロセスとペースをナビゲートし、自分で選んだ仲間と話し合う」実践はすでに展開されている(というかふんだんに子どもたちが練習する機会は提供している)ことと思います。

 しかし最後の、「自分の声と言葉で世界に影響を与える方法を決定します」まで取り組まれている方は、ライティングやリーディング・ワークショップの実践者でもまだほとんどいないと思います。ここでは、を付けましたが、②~⑤も使うので、⓪とした方がよかったかもしれません。

 図の②~⑥の内容は、ひたすら教科書をカバーする従来の国語をしていては、残念ながらほとんど扱うことができません。冒頭の文章にあるように、教師自身が何を目的にその教科を教えるのかによって、扱う内容(知識)、スキル、そして態度が大きく違ってしまうのです。

 『学びは、すべてSEL』では、この図に示されているSELの5本の柱(各章)の項目ごとに、各教科の例を紹介しながらそれぞれの内容が詳細に解説されています。

追記・なお、冒頭の文章を、国語以外の他教科に書き換えることは容易ですし、またそうすることが求められています。ぜひ挑戦してみてください★。

◆本ブログ読者への割引情報◆

1冊(書店およびネット価格)2750円のところ、

WW&RW便り割引だと  1冊=2500円(送料・税込み)です。

3冊以上/1冊あたり         2200円(定価の20%引き+消費税・送料サービス)


ご希望の方は、①書名と冊数、②名前、③住所(〒)、④電話番号を 

pro.workshop@gmail.com  にお知らせください。

※ なお、送料を抑えるために割安宅配便を使っているため、到着に若干の遅れが出ることがありますので、予めご理解ください。また、本が届いたら、代金が記載してある郵便振替用紙で振り込んでください。

★国語で、冒頭の文章が押さえられている実践例として、幼~小3対象の実践として『国語の未来は「本づくり」』、中学校対象では『イン・ザ・ミドル』、高校では『一人ひとりを大切にする学校』があります。理科では、『だれもが科学者になれる!』がおすすめです。社会科では、『プロジェクト学習とは』と『歴史をする』が、算数・数学では『教科書では学べない数学的思考』が近づく努力をしているかな、という感じです。

追記・上記のおすすめの本以外に、

・『プロジェクト学習』
・『PBL~学びの可能性をひらく授業づくり』
・『一斉授業をハックする』
・『教育のプロがすすめるイノベーション』
・『教育のプロがすすめる選択する学び』
・『「考える力」はこうしてつける』

などはSELを目的に掲げた本ではありませんが、参考になる部分が多いと思います。