2020年11月13日金曜日

あなたの授業に、生徒たちは退屈していませんか?

 授業中に生徒が退屈する理由として、以下の四つがあると言われています。

  今やっている学習が無意味に感じられる。

  活動が抽象的で分かりにくく、同じことの繰り返しである。

  生徒が、今の環境に縛られていると感じている。

  生徒自身が主導権をもっていない。 (『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』の10ページ)

 これらの一つでも当てはまってしまうと、「からだはそこにあっても、心はどこか別のところ」の状態になってしまいます★。

 『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』の著者は、750名を超える高校の卒業生を調査しました。

「教師が新しい指導方法を採用することで、退屈な授業を面白いものにできる」という設問に賛成した生徒が九〇パーセント、授業がより面白ければ「かなり」あるいは「ある程度」やる気が出ると思うと答えた生徒が八〇パーセントであった。

ある研究者たちの調査によれば、六九パーセントの教員が、「生徒が興味を失っていること」が学校の問題であると答えている。しかし、別の研究者は、生徒が夢中になって学んでいない原因が退屈にあると考える教員は少ない、と指摘している。生徒が授業に退屈している原因は、怠けや不安、絶望といった生徒側の感情による、と多くの教師が考えているのだ。

私たちは、教え方が生徒の学びに強烈なインパクトを与えることを認識しなければならない。私たちが教えたいことではなく、生徒が今経験していることや、生徒にとってのニーズを考える必要があるということだ。(『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』の37ページ)

 アメリカ国内を周り、熱中して深い学びを実現している教室の調査をしたハーバード大学大学院生のサーラ・ファインは、1980年代、90年代、2000年代初期における教育改革の前もほとんどの教室が同じ状況だったし、繰り返し実施された教育改革の後も何も変わっていない、と述べ、その理由を次のように考察しています。(同、11ページ)


~ 日本も常に教育改革が叫ばれていますが、何も変わらないのと同じですね!!

 

 また、この本には次のような刺激的な(=きわめて常識的な?)表も掲載されています。


 あなたの授業は、すべてのタイプの生徒が☆ないし◎で学べる教え方ですか?

 それとも、対象となる生徒によって、△や×になってしまう教え方ですか?

 もし、◯や△や×と自己診断された方には、『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』は特におすすめです。(下の①~⑤をあまり聞いたことがないという方にも、おすすめです。)

 残念ながら、この本では一切ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップは紹介されていませんが、①ストーリーテリング、②PBL(プロブレム学習★★)、③シミュレーション(ロールプレイ)、④コンテスト、⑤本物の課題 の、まだ日本ではほとんど知られていない方法を授業でどう使うかが詳しく紹介されています。(原書には、もう一つ話し合い/ディベートが紹介されていましたが、ページ数が多くなりすぎる=本の値段が高くなってしまうことと、来年の夏前には、そのテーマだけで1冊の本を出す計画がありますので、含めませんでした。)


◆本ブログ読者への割引情報◆

  http://projectbetterschool.blogspot.com/2020/11/blog-post.html

 

★教科書をカバーする授業は、かなりの部分退屈を生徒たちに約束することがわかります。教科書をカバーする授業ないし指導案どおりの授業で、4つを乗り越えることは極めて難しいですから。(なにせ、教師すら主導権をもっていないのですから、生徒がもてるわけがありません! そこにいくと、各自が自分の読む本を選ぶリーディング・ワークショップ(読書家の時間)は、これら4つを解放してくれるだけでなく、楽しめるというか、打ち込める時間を提供してくれることが理解していただけると思います。) 教科書からの脱皮を図りたい方は、『教科書をハックする』や『教育のプロがすすめる選択する学び』を参考にしてください。

★★PBLには、プロブレム学習とプロジェクト学習の2つがあります。前者については、『PBL ― 学びの可能性をひらく授業づくり』があります。後者については、『プロジェクト学習の教え方(仮題)』を現在翻訳中です。

 

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