2015年7月25日土曜日

早く読める本

 『おばあちゃんのきおく』(講談社)、『ポスおばあちゃんのまほう』(朔北社)などの絵本の著者でもあるメム・フォックス(Mem Fox)氏は、読み聞かせの名手としても知られています。(インターネットでは彼女自身が自分の本を読み聞かせる(英語)のを聞くこともできます。さすがに上手です。http://memfox.com/for-everyone-current-read-alouds/ ★)

 ここしばらく、フォックス氏の読むことについての本『Reading Magic』★★を読んでいて、今日は、そこから、面白いと思ったことを一つ紹介します。

 それは、「早く読めれば読めるほど、読むのが楽になる、というのは、そこまでに読んだ部分が記憶に載っているし、その情報を使って、続きも推測できる」(115ページ)ことです。つまり、「読むことが苦手な子どもの場合、一語一語に苦労して、一語一語を考えながら読んでいると、読んだ内容も忘れてしまうので、益々理解できない」(115~116ページ)とも言えます。

→ なるほど、と思いました。


 RWでは選書が大切にされていますし、『読書家の時間』でも「選書のミニ・レッスン」がいくつか紹介されています。(例えば第1章、「最初の10時間」、5年生の6時間目「こうやって本を選んでみよう」、1年生の2時間目「題名を見て、それから中をパラパラと見て選書する」、9時間目「自分にぴったりの本をさがすには」等々)

 選書については、私は、「難易度レベル」、「興味」、「同じ著者」、そして「友達(が読んでいるので同じ本について話せる)」等をよく考えます。

 上のフォックス氏の本を読んでいて、「早く読める」という観点も大切!と思いました。


 つまり、難易度レベルが低い本であっても、子どもが一語一語読むことから抜けられない場合、時間がかかることで、一語一語に目が行っている間に、内容も頭から消えていって、結局、理解が難しくなる、ということです。どこかで、「一語一語」単位から、まとまりで読む、不必要なところは飛ばし読みする、という読み方を体験できるのは、大きい気がします。


  (大人でもそうですよね。一語一句読んでいると、全体像はつかみにくいので、よく読めている人は、ある程度、まとまりで読んでいる気がします。)

 フォックス氏は、子どもが、飛ばし読みができるようなものを読むことで、読むことへの自信ができてくること、そのためにも、繰り返しも多くて、予測も簡単な本でその感じをつかむことを、書いています(113ページ)。
 

 こういう本のストックが何冊かあれば、子どもの必要に応じて、カンファランスでお薦めするのもいいかもしれません。

 夏休みに普段読めないいろいろな本を読むときに、「子どもが、一語一句でなくて、早く読める本」というカテゴリーを、意識に隅っこに置いておいてもいいように思いました。 


*****
 
★  メム・フォックス氏のホームページでは、本人自身による絵本の読み聞かせも、英語ですが聞くことができます。http://memfox.com/for-everyone-current-read-alouds/

★★ Mem Fox, Reading Magic: Why Reading Aloud to Our Children Will Change Their Lives Forever, updated and revised edition, Harcourt, 2008


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