前回に引き続き、『読書家の時間』の出版に至る過程での裏話シリーズです。
今回は、終わりに近い段階での裏話で、「新刊案内」と「あとがき」です。
(1)「新刊案内」裏話
この「新刊案内」裏話は、実は、他の執筆メンバーも知らなかったのではないかと思います。
『読書家の時間』の修正を重ねている段階では、その章を象徴的に表すような子どもの声や短文が、章の冒頭に書かれた原稿が出てくるときがありました。インパクトも強くて、いいなあと思いました。
私は、すべての章の冒頭が、象徴的な子どもの言葉、もしくは、象徴的なフレーズで始められないかと思い始めました。それで、原稿を読みながら、そんな言葉候補を集めて、執筆メンバーに提案しようと、密かに?候補の言葉を集めた表を作り始めていました。
最終的には、上記のような提案をするには至りませんでしたので、「幻の表」となりました。
しかし新刊案内の原稿をみんなで読みあうなかで、私はその表に残った言葉やその言葉から得たアイディアなどから、ほんの少しだけですが提案しました。新刊案内の中には「幻の表」の中に候補としてあった言葉がいくつか入っています。
(2)「あとがき」裏話
「あとがき」に何を書くのか?というブレイン・ストーミングを、メール上でしていたときに、一人の執筆メンバーが、「あとがきには、これからの夢や希望を語りたい」と言ってくれました。
「これからの夢や希望」というコンセプトが、「あとがき」のスタートになった気がします。
この言葉を聞いて、思い出した本が、ピーター・レイノルズの『ほしをめざして』です。
正確に言うと、『ほしをめざして』の本自体というよりは、他の執筆メンバーが、何年も前にこの本に貼ってくれた付箋に書いてくれたコメントを思い出したのでした。
「終わりは始まり、まさに自分にぴったりの本」、そんなコメントだったと思います。
このコメントを思い出したおかげで、『ほしをめざして』を「あとがき」に使え
ないかと考えはじめました。そして、この本の引用を「あとがき」にいれることを提案しました。
「夢や希望」というコンセプトで、次に思い出したのが、第2章の「読書環境」や「Q&A」など、いろいろな章の意見交換をしていたときに、執筆メンバーが、それぞれに語っていたことでした。
たとえば「読書環境」の章にもっと詳しく書きたかったお互いが尊重される教室
の様子、「実践をつづけていくと、自分の教室限定の閉じた実践では続かないし、
この教え方が広まらないことがわかる」や「本好きの●●さんだからできる実践
(つまり、本好きの●●さんしかできない実践)と言われて終わりにしてほしくな
い」という言葉、また大人のブッククラブを主催しつづけている執筆メンバーの
こと等々が、次々に頭に浮かびました。
そうか、ここに夢や希望があるのだ、と思ったときに、「あとがき」の形が見え
てきました。
そのアイディアを執筆メンバーでのメーリングリストに流して、みんなで修正と
校正をしたのが、『読書家の時間』の「あとがき」で、「あとがき」も、分担執
筆ではなくて、共同執筆でした。
ひとりでは形にならないものが、アイディアを出し合うことで形になる、という
ことを体験することができた「あとがき」でもありました。
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