2011年3月18日金曜日

いろいろな言葉があること、そして選択

巨大地震・大津波から1週間が過ぎようとしています。

 被災地の状況、甚大な被害が明らかになっていくなかで、短期でできること、
長期でできることを考え、行動に移していかなければと思います。

そんな中で、言葉のもっている意味と選択ということについて、いくつか考え
ました。

○ 状況は全く違いますが、「困難な中にいるときにも人は言葉を持っている」
ということを考えていて、ある詩集のことを思い出しました。

 This Place I Know: Poems of Comfort という詩集です。題を直訳すると
「私の知っているこの場所~安らぎ、癒しの詩」という感じでしょうか。

 アマゾンに載っている説明によると、もともとは、2001年9月、同時多発テロ
が起こったあとに、安らぎ・癒し、希望をニューヨークの子どもたちに与えよう
として、19世紀から現代の詩人まで、いろいろと集めたようです。

 このような詩は、年代や場所を超えて、多くの人に語ってくれるものがあると
いうことで、それぞれの詩に絵を描くアーティストたちも参加し、そして、18
の詩とそれに合う絵がついたこの絵本のような感じの
詩集がつくられたそうです。

 WWは、書き手が書き手を教えていく授業と言ってもよいと思いますし、読み書
きのつながりも大切にされています。

 言葉の持つ力を知っている人たちがいるから、この詩集ができたのだなと
思いました。

 また一つの詩でなくて、いろいろな詩が集められているのもいいなと思いまし
た。子どもそれぞれに反応も思いも違うだろうと思うからです。

○ そんなことを考えていて『綱渡りの男』という絵本も思い出しました。同時
多発テロが起こらなければ、この絵本をつくられなかったのではないかとすら思
えます(アマゾンには、「とりわけ感動的なのは、本書の最後を飾る絵――
フィリップと彼の渡り綱によってつながれた、今や『
記憶の中』の存在となった
ツインタワーのイメージ」と書かれています)。

 書くということ一つをとっても、それぞれに、詩、絵本と、いろいろな表現方法があるとも思
いましたし、その選択を子どもたちが持っていることも大切だと思います。

 そして子どもたちにとっても、いろいろなメンター・テキストになりうるもの(メン
ター・テキストも一人一人違うと思います)に触れることも大切だと思います。

 WWの中で の「選択がある」ということは、書く題材だけでなくて、書き方(ジャンル)もメンター・テキストの選択においても、そうである、と改めて思います。

 (メンター・テキストについては 2010年9月17日と10月1日のブログをご参照ください)。

○ ここ何回かのWW便りに紹介したドナルド・マレー氏の書いた、直訳すると
「ひとりの書き手が書くことを教える」(原題:
A Writer Teaches Writing)と
いうような題になる本を最近読んでいました。

 その中に、以下のような文がありました。ざっと訳の拙訳で申し訳ありません
が、2カ所、紹介します。

 「どのクラスも、いろいろな生徒がいて、その多様性がチャレンジでもあり喜
びでもある」

 「書くことは、世界を理解する一つの方法であり、私たちの多様な理解を共有
することによって、私たちが匿名性と孤立から抜け出す一つの方法である」



出典など:

This Place I Know: Poems of Comfort という詩集の説明は、以下のアマゾン
のサイトで、(上で説明したよりも)もう少し詳しく書かれています。
http://www.amazon.com/This-Place-Know-Poems-Comfort/dp/0763628751/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1300430778&sr=8-1


『綱渡りの男』(モーディカイ・ガースティン著、川本 三郎訳、小峰書店
2005年)の説明は以下で見れます。

http://www.amazon.co.jp/綱渡りの男-YOU-絵本コレクション「Y-」-モーディカ
イ・ガースティン/dp/4338202041/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1300431832&sr=1-1-
catcorr

(→ もし、実話をもとにしたすぐれた絵本を生涯10冊選べと言われると、私の
場合、この絵本は入るように思います)

マレー氏の本情報は以下です。

Donald M. Murray, A Writer Teaches Writing (revised second edition)
Thomson, Heinle, 2004.


上の言葉が載っていたのは、それぞれ、245-246ページ、246ページです。

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