2013年5月31日金曜日

ファンタジーの大切さ

 影絵画家として有名な藤城清治さんの存在を意識して(いままでも、絵本などでは見ていたのですが、素通りしていました★)、何冊か借りてきて読みました。その一冊『お母さんが読んで聞かせるお話 お見舞いにきたぞうさん』の「あとがき」の引用です。ちなみに、タイトルが「お母さん」になっているのは、本が雑誌の「暮らしの手帖」の連載を編まれて出されたものだからです。別に、藤城さんがお父さんが読んで聞かせなくてもいいとは考えていません。

 早いスピードで変革してゆく今の時代で、人間が一番忘れかけているのがファンタジーではないだろうか。
 世の中がどんどん現実的なってゆくなかで、人間にとってもっとも大切なファンタジーや夢や、やさしい心は、逆に失われていっているような気がする。いくら経済が成長し、暮らしが豊かになっていっても、心のファンタジーがともなわなければ、ほんとうの豊かさは生まれこないだろう。
 ファンタジーは子どもに大切なことはもちろんだけれど、大人にとっても大切なものだと思う。むしろ、大人にこそ、今の時代にファンタジーが必要なのだと思う。
 子どもに夢をという前に、お母さん(+お父さん+先生たち)があまりに現実的になって、夢を失ってしまっていることが多いのではないだろうか。お母さん(+お父さん+先生たち)が、よりゆたかなファンタジーを心にもたなければ、子どもの心にも美しいファンタジーは育たないだろう。子どもに夢をという前にお母さんに夢をお父さん(+先生たち)に夢をというのが、ぼくの切なる願いだ。だから僕は影絵をつくるとき、子ども向きとかいうことは考えたことはない。すべての人の心に通じるファンタジーをつくりたいと思っている。 (青字は吉田の付け足し)


★ 意識できたきっかけは、たまたま聞いていたラジオに登場して、福島原発事故の絵を線量が高い中わざわざ描きに行ったことを語っていたからです。

★★ 上の引用を取り上げた背景には、生活綴り方のことを意識していたからかもしれません。そのうちの一つは、ジャンルを特定することへの抵抗感です。

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