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2013年9月13日金曜日

詩を拷問する

   <略>

        しかし読者がしたがるのは
       ロープでイスに詩を縛りつけて
        告白させようと拷問すること

        ホースで詩をたたき
        本当に意味しているものを見つけようとする

 上に引用したのは、ビリー・コリンズ(Billy Collins)という詩人が、「詩とは」という題名の詩で書いている、最後の5行です。★

 上のような読み方は、「詩は難しい」という概念を植え付けてしまう(その結果、詩嫌いを増やしてしまう?)ようにも思います。

 こんな詩を書くビリー・コリンズの詩は、拷問しなくても、すっと感じるものがある詩が多いです。

 英語ですが、彼がインターネット上で自分の詩を読みあげているのを見つけました。
 
http://www.poets.org/viewmedia.php/prmMID/19754

 題名がForgetfulness。題名どおり、どんどん忘れてしまうことがユーモアたっぷりに書かれています。ユーモアで引きつける中でも、考えさせてくれるポイントもあります。
(最初にこの詩の説明を少しして、そのあと詩自体を読み上げて、それら全部で3分弱です。)

 RWやWWに関わる前は、詩とも接点のなかった私なので、まだまだ読んでいる詩はわずかですが、それでも、気になる詩人、もっと読みたい詩人がでてきました。ビリー・コリンズもその一人です。

 もっと読んでみたいと思える詩人が見つかるのもRWに関われる幸せの一つかもしれません。

*****

★「詩とは」という詩全体は『ビリー・コリンズ詩選集 エミリー・ディキンスンの着衣を剥ぐ』(小泉純一訳、国文社、2005年)という本の42-43ページにあります。またこの詩の原題はIntroduction to Poetryで、その全文は以下でで読むことができます。

2011年7月8日金曜日

「人について書く」というユニット 

 前回のWW便りでは、自己紹介という題材について書きました。その拡大版?で、今回は「人につ
いて書く」というユニットについて書きます。

 先日、詩をパラパラ見ていました。その中に小学生向きの詩があ り、もし、我が家
の犬が言葉を話せれば、お父さん、お母さん、自分などに向けて、それぞれに、こう
いうことを言うだろう、という ものがありました。

 これを読んでいて、そうか、「飼い犬の口から家族を語らせる」こ とも可能なんだと
思いました。

 これは自己紹介というよりは家族の紹介です。

 家族だけでなく、他の人を紹介する文を書くということは(たとえば、 新しく赴任
した先生を紹介するなど)、現実生活でも時々必要とな る、ひとつの分野だと思います。

 自己紹介、自分の家族の紹介、他の人の紹介など、「人について 書く」というユニ
ットをWWにつくるのもいいのではないかと思いました。

 その理由は、二つあります。

1)まず一つ目の理由です。いろいろなジャンルやスタイルのメン ター・テキスト
が、さがしやすいので、何かについて書くときに、 いろいろなジャンルやスタイルが
あること提示しやすいというメ リットがあることです。
これを活かして、「書き手と
いうものは、ジャン ルやスタイルを選択することが必要だ」ということを教えるの
に、 いいユニットになると思います。

 私は英語の教師なので、どうしても英語のWWでのメンター・テ キストを考えてし
まいますが、少し考えただけで「人について書 く」ユニットのメンター・テキストと
して、以下のことが浮かびました。

 自分のことを、ある切り口で書いた詩。(これは前回のWW便りをご覧ください)。

 自分の家族のことを、第3者の口(たとえば、家族の飼って いる犬)から語らせる詩。

 自分のあこがれの人、マイケル・ジョーダンについて書いている詩

 歴史上の人物、ハリエット・タブマンについて書いている詩 

 詩は短い時間で紹介できるというメリットがありますが、詩だけ に限っても上のよ
うに、いろいろとあります。

 詩以外で、頭に浮かんだのは、アメリカの大学のホームページの 中で、在学生を何
人かを、かなり詳しく紹介しているページです。(→ 紹介されている人によっ て、
書かれている情報はかなり異なります。)

 また、出版されている本に載っている著者紹介も、長いもの、短 いもの、フレンド
リーな感じのもの、フォーマルな感じのもの、と とりまぜて紹介するのもいいかもし
れません。

 上記のように、少し考えるだけでいろいろなメンター・テキストが浮かびますので、 「作家が行う選択」
というテーマも、教えやすいと思います。

 (「作家とは選択をするもの」ということは、早めの段階で教え ておいてもいいこ
とのように思います。この点については、『ライ ティング・ワークショップ』53-
54ページで、「作家には決断が必要です」ということが書かれています。
この「決断」をジャンルやスタイルという点から教えるのに、このユニットはいいように思います。

2)二つ目の理由は、お互いを知ることの助けになることです。

 自己紹介だけに限定せずに、「人について書く」と範囲を広げることで、自分にあ
った、自分の安心できる自己開示 を自分で選択できる、というのも悪くないのかなと
も思います。 

 誰について、どんな切り口で書こうとも、その生徒自身やその生 徒が関心や関わり
をもっている人について知ることができるので、教師に とってもプラスだと思います。

 一人一人の生徒に対して、理解しようという気持ちは、WWでは大きいと思いま
す。書き手としての生徒を、一人ひとり知ることは、一人ひとりを個人レベルで(あ
るいは同じ課題をもっている生徒を小グループで)教え サポートしていくカンファラ
ンスの土台の一部ともいえます。

*****

* 本日の題に書いたユニットというカタカナですが、「単元」と訳されることもあ
ります。ただ、単元というと、「教科書ベースで、それをカバーする」イメージもあるよう
にも思いますので、カタカナのまま「ユニット」と書きました。

* 本日のWW便りは、前回のブログに対して、以下のコメントをいただいたことがきっ
かけで、書けました。ありがとうございいました。

「自己紹介」をすべてのジャンルをそろえて
学年の早めの段階でやってみるというのは
いい考えかもしれませんね。

生徒たちのことを知れる(生徒相互に知れる)
だけでなく、ジャンルの多様さも提示できます
から。

出典:

○ 自分の家族のことを、第3者の口(たとえば、家族の飼って いる犬)から語らせ
る詩は,
Kirk Mannの書いた If Dogs Could Talk で、Perfect Poema with Strategies
for Building Fluency: Grades 3-4
(Scholastic, 2000)に載っています。


○ 自分のあこがれの人、マイケル・ジョーダンについて書いている詩は Jay Spoon
 が書いた
A Sestina for Michael Jordan で、この詩はNancie Atwell のNaming the World
(Heinemann, 2006)に載っています。

○ 歴史上の人物、ハリエット・タブマンについて書いている詩は、Eloise
Greenfield の書いたHarriet Tubman で、この詩は、Eloise Greenfield のHoney,
I Love and Other Love Poems
(Crowell, 1978)に載っています。

○アメリカの大学のホームページの 中で、在学生を何人かを、かなり詳しく、紹介し
ているページについては、例えば、
http://www.semo.edu/spotlights/students.htm
ご覧ください。

2011年7月1日金曜日

古くて新しい題材: 自己紹介は面白い?

 学期もだいぶ進んできましたが、今頃になって、なぜかWWの題材として「自己紹
介」を書く生徒が何人かでてきました。

 私としては、「なぜ今頃自己紹介なの?」と、少し不思議な気もしました。とはい
え、数名の生徒が自己紹介を書いているので、カンファランスで、自己紹介のいくつ
かの切り口を教えようと思いました。

 詩をつかってWW(やRW)を教えることの魅力にかなりはまっている私は、さっそく、自
己紹介という題材を書くために助けになりそうな、いくつかの詩を思い出しました。

 まずは 『悲しい本』の著者、マイケル・ローゼンが書いた詩集で、Michael
Rosen's Scrapbook
という本の中にある For Naomi という題の詩です。

 この詩では、自分の父親像を描いています。

 「自分は、子どもからすると、一緒にいるところを見られたくない」親であると述
べたあとで、どんな親かという描写をしていきます。

 どんな親かという描写のところは、who のあとに、各行に一つずつ具体例が続いて
いきます。その具体例は、各行、3~5単語ぐらいなので、とても理解しやすいし、こ
んなに短い表現でいろいろと言えてしまうこともよく分かりますので、英語に苦手意
識のある生徒にも、いいと思いました。(例えばいくつか例を挙げると、eats
pizzas in the street とか has long hair などです)。

 この詩の場合は、「父親像」ですが、何か自分の一部に焦点をあてて、その行動を
描写することで自分の一部を紹介する・伝える、という方法を教えるのに、いいメン
ターテキストだと思いました。

 それ以外にも、いろいろな形の自己紹介があるね、という話をカンファランスでし
ました。

 この詩では、自分の行動がずっとリストのように並んでいますが、リストそのもの
を使っての自己紹介もできます。

 リストも、「ほしいものリスト」、「新年の決意リスト」、「自分のいいところリ
スト」、その他、いろいろなリストが可能だと思います(過去にも、リストを使った
作品を書いた生徒も何人かいます)。

 自分の携帯から自分を紹介する、自分のカバンの中身から自分を紹介する、など、
あるものに焦点をあてた自己紹介も可能です。

 そのあともしばらく考えていました。

 また、「もし、私が世界を自分の好きなようにできるなら」、ということで、自分
のしたいことを、いろいろ書いてある詩も思い出しました。

 また、自分の人生を「短く5章」でまとめてしまう詩もあります。

 自分の人生???を、詩の形で上手に表現しているものも思い出しました。


 こういういろいろな方法で、自分を語るのも「あり」だなと思いました。

 いろいろあって楽しいですし、人間がもつ表現力はすごいなと思います。
 
 実は、私は今までは、自己紹介的な題材は、WWでは「つまらない」題材だと思って
いましたし、私から書くことを奨励したこともありませんでした。

 しかし、いろいろな可能性が分かるテキストを提示することで、表現にはいろいろ
な幅があることも学べますし、表現方法は、それぞれに工夫されているので、こうい
う詩を「作家の目」で読むのも、いいなと思います。

 実は自己紹介という題材は、かなり魅力的な題材になりうるように思い始めました。

 また、「他の人を書く」という題材に、発展する可能性もあります。
  
 来学期は3,4回目ぐらいのミニ・レッスンで「自己あるいは誰かの紹介」をいれ
てみようか、と思い始めているぐらいです。
 
出典:

 私が英語を教えていることもあり、今回のWW便りで紹介している詩も、英語のもの
になってしまいました。

○ 上で紹介したマイケル・ローゼン(Michael Rosen)が書いた詩集は、Michael
Rosen's Scrapbook
(Oxford University Press, 2006)です。

 これはかなり面白い詩集です。というのは、なんと著者の「考え聞かせ」がついて
いるからです。それぞれの詩をつくったときの著者の頭の中に浮かんだことや補足の
説明など、著者の頭の中にあることの「考え聞かせ」が、あちこちに書き込んであり
ます。

○ 「もし、私が世界を自分の好きなようにできるなら」ということで紹介したの
は、Judith ViorstのIf I Were in Charge of the World and Other Worries 
(Aladdin Books, 1981) です。

○ 自分の人生を5章で語るというのは、Portia Nelson の Autobiography in
Five Short Chapters で、この詩は複数のアンソロジーなどの中で紹介されていま
す。私はこの詩はRead-Aloud Anthology (Janet Allen and Patrick Daley,
Scholastic 2004)の中で見つけました。

○ 自分の人生???を詩の形で上手に表現していると思い、私が好きなのは
Naomi Shihab Nye の 
A Maze Me (Greenwillow Books, 2005) のカバーを開いたところに書いてある詩です。

2011年4月1日金曜日

詩はアボガドの中に隠れている

 今日のWW便りは、新学期のWWに向けてできることを、「詩」という観点から、2点書きた
いと思います。


1) 詩を読む時間の確保と自分のお気に入り詩を集める

 詩人でもあり、詩の教え方についての教員研修にも携わってきたジョージア・ハー
ド氏は、「他の人には、詩を読みましょうといいながら、自分は教えることや日常の雑
務に追われていて、
なかなか詩を読めない」と言っています。

 詩を読む時間を、毎週、どこかでしっかり取る必要がある、そしていったんそれを
取り始めると、それを続けることは難しくないとも言っています。

 新学期が始まると、忙しさには拍車がかかると思います。今のうちに「木曜日の通
勤時間は詩を読む」などと決めておいてもいいかもしれません。

 また、ハード氏は、自分の好きな詩を集めたノートをつくっているそうです。これ
もいいなと思います。

→ 私も昨日の通勤の帰り道は、詩集を読んでいました。少なくとも、木曜日の通勤
の片道は、詩を読もうかなと思っています。

→ また、新学期に向けて、好きな詩を集めたノートをつくりはじめました。とりあ
えず、いろいろな詩人の、大好きな詩を15、入力して、それを印刷して、ちょうどもらった小さめの
ノートがあったので、そのノートに貼り付けました。「私のお気に入り詩集」です。

 手書きがいいとは思いますが、長い詩も多いので、手書きしようと思っているいると時
間もかかりますから、
あまり形式にはこだわらず、スタートすることにしました。

 作り始めてみると、このノート、愛着が出て、とても大切なものに思えますから、不思議です。

 ちょっといい感じの、お気に入りのノートを使ってみるのもいいかもしれません。

 昨日、読んだ詩集からも、大好きな詩をいくつか見つけたので、さっそくそれら
も、加えたいと思います。ちなみに昨日、読んでいたのは、ラングストン・ヒューズ
The Dream Keeper and Other Poemsです。

 ラングストン・ヒューズのいくつかの詩集は邦訳されているようです。

 もし、社会で公民権や人種差別などのテーマを扱うことがあれば、彼の詩で使える
ものもあるかもしれません。

2) 詩の題材さがしのミニ・レッスンを、少し違った角度で行ってみる。

 詩について、気になっている言葉があります。有名な詩人でもあるウィリアム・
カーロス・ウィリアムズの言葉らしいのですが、このブログでも何度か紹介したアト
ウエル氏も、その著作の中で引用していることもあり、気になっています。

 その言葉は、"Say it, no ideas but in things." です。

 直訳すると、「言いなさい。考えでなくて、物の中で」という感じでしょ
うか。

 「孤独」という考え(?)を書く代わりに、具体的な事象や物(例えば、去っ
ていった人がうっかり残したものなど)を書く、
つまり、具体的な物や事象の中に、詩があるということかもしれません。

 このことは、詩の題材さがしを、少し違った角度で提示するミニ・レッスンでも、
教えられることが、アトウエル氏の著作から分かります。

 (詩を4月の最初に持ってくるのがよいのかどうかは、教室によると思います。た
だ、書けそうなことや書いてみたいいことをさがし、そのリストをつくる、という題材さが
しは、4月に必要なレッスンだと思います)。

 アトウエル氏は、詩についての一つの切り口と して面白いことを言っています。

 それは、自分が詩を書こうとするとき、母親であることについて、結婚について、
年をとっていくことについて、などの大きなトピックや感情を扱わなければいけない
という、誤解をもってしまう、しかし、その誤解に基づいて書くと、つまらない、あ
りふれた、一般的なものなってしまって、うまくいかない、どうも、自分の思いに共鳴してく
れるものにならない、というのです。

 自分の感情をうまく伝えてくれるもの書くためには、そういう大きなトピックや感
情を、実生活の中の小さいひとこま、ひとこまの中に置く必要があり、それは、自分
の思いに共鳴してくれる可能性のある詩につながるような、人、物、時間、場所に注
意を払う必要がある、ということなのです。

 そして、アトウエル氏は、そういう説明を生徒にします。

 それから、自分にとって「詩が隠れていそうな場所」のリストをつ
くり、それを生徒に見せ、生徒もそういうリストを作っています。

 ちなみに生徒のつくったリストの中には、「私の古いランニング・シューズ」とい
うのもありました。たしかに、これは詩が隠れていそうな気がします。

 アトウエル氏のリストも、生徒のリストも多岐に渡るのですが、アトウエル氏のリ
ストの中の一つが「アボガド、アーティチョーク、アスパラガス」という3つの野菜
でした。

 アボガドの中にも、自分の思いに共鳴してくれるような詩が書ける可能性が隠れているよう
です。

出典など:
ジョージア・ハード氏がお気に入りの詩を集めることと、詩を読む時間については、
それぞれ、以下の本の2ページと3ページです。

Georgia Heard, For the Good of the Earth and Sun, Heinemann, 1989.

アトウエル氏の上のミニ・レッスンは、以下の本の、17-19ページに詳しく載っ
ています。

Nancie Atwell, Lessons That Change Writers, Heinemann, 2002.

上で紹介したラングストン・ヒューズの詩集は以下です。
Langston Hughes, The Dream Keeper and Other Poems, illustrated by Brian Pinkney,
Knopf, 1994. (詩自体の最初のコピーライトは1932年のようです)。