2015年2月28日土曜日

教師の役割は引渡し・引継ぎ


フェイスブック1周年記念号!(前回のRWWW便り)の書き込みを何度も読みました。RWとWWにおけるカンファランスの大切さだけでなく、常に観察して、批判的に見続けていくことの大切さも突き付けられた思いです。

 

前回、提示された「3つの異なる教え方のアプローチ」の表に、もし「教師の役割」という欄を付け加えるとどうなるのかと考えました。

 

RWとWWにおける教師の役割で、すぐ頭に浮かんだのは、今読んでいる本の中にでてきた「引渡し・引継ぎ」★(英語はhandover)という概念です。

 

過去30年にわたり、RWとWWの優れた実践者であり続けているナンシー・アトウエルさんは、「引き渡し・引継ぎ」を以下のように説明しています。

 

― 自分の娘が5歳のときに「靴の紐を結びたい」と言った。それを教えたときの経験が、この「引渡し・引継ぎ」の比喩として使われている。親が(靴の紐を結ぶことを)やってみせて、必要なサポートをして、子どもが自分でできるようにする(14~15ページ)。

 

― 教師が分かっていること、できることを、子どもが自分のものにしていくプロセス(15ページ)。

 
― 最初実践を始めた頃は、子どもが自立できるように「○○をしてはいけない」というルールを自分でいくつも決めていた。たとえば「書き手に次に何をすべきか教えてはいけない、そうしてしまうと教師に頼って自立できないから」等々。でも実践を続ける中で、そういうルールのマイナス面に気付く(14ページ)。 

― 教師は先輩の読み手であり書き手である。どのように行うのかを示す、役にたつ助言をする、自分が説明していることをよく理解している。教師が子どもの代わりにすべてを決めるのではないが、問題を解決するのに役立つ、子どもが行ったことがないことをトライする助けになる、よりよい作品になる、と思った考えや方法や選択肢を教えていく。それを子どもが自分のものにして、教師から自立していけるようにする(16ページ)。

 

― 毎日のRW/WWの中で、教師が教えることと子どもの自主性のバランスが大切(16ページ)。
 
 


★ Nancie Atwell, In the Middle: A Lifetime of Learning About Writing, Reading and Adolescents (Heinemann, 2015) の14~24ページに詳しく説明されています。

 

 

 


 



 

 



 

2015年2月25日水曜日

フェイスブック1周年記念号!!



と、書きました。

「入れ込み」ようは、相当のものでした!


多数の教育委員会や教育センターからも呼ばれて、ワークショップで研修もさせてもらいました。なにしろ「参加・体験型」ですから、大好評でした。
しかし、数年続けてやっていると気づいてしまいました。
同じことの繰り返しだ、と。
また、勘の鋭い指導主事が、「一種の洗脳ですね」と私に言いました。
「そういう言い方もあり得るな」と納得しました。
なんといっても、こちらはすでに最初から最後までシナリオを描いて、参加者にはそのレールの上をつつがなくこなしてもらっているだけですから。脱線をすることはほとんどありません。ある意味では、講師が講義しているのと、さほど変わりないとさえ言えます。
単に、講師が話す変わりに、そのプロセスに参加者を巻き込んで、講師が言うべきことを参加者に楽しく言わせているだけ、とも言えるわけです。
そして、これをいつまでもやっていても、「主体的かつ自立した学び手/考え手」を育てることにはつながらないな~、ということでした。

そこで、1995年から「主体的かつ自立的な学び手/考え手」を育てられる方法はないのかと探し始めて、見つけたものの一つがリーディングとライティング・ワークショップ(RW&WW)でした。
同じ、「ワークショップ」という言葉を使っていますが、上記のファシリテーション型(アクティビティ型、参加・体験型)のワークショップとは大分違います。まったく違う、と言った方がいいかもしれません。
最大の違いが、教師によるカンファランス/コーチングのありなしなわけです。

私も、体験をすることのインパクトは、とても大きいと思っていました(思っています)。そして、体験のサイクルを回すことも。
たとえば、子どもたちが「じゃがいもと友だちになろう」(そのバリエーションの「にんにくと友だちになろう」)をやって、教室でのいじめがしばらくは影を潜めることはあるのですが、しょせんはイベント的(一時的)なのです。
教師が、アクティビティ(活動)を供給し続けなければ、その効果も維持されない構造があるわけです。子どもたちは主体性をもてないからです。
研修で、先生たちに体験してもらう時も同じです。その時は、すごいインパクトなのですが、それが長く続くことは期待できません。次々にアクティビティを(それも新しいアクティビティを)提供することでしか、関心も維持できないのです。しかし、通常の教員研修の枠の中では、それは無理です。ブツギリになっていますから。研修をプロセスと捉えていませんから。

それに対して、カンファランス/コーチングを中心に据えているRW&WWは、何よりも継続性が前提であり、一人ひとりの生徒と接するたびにも違うので、飽きることがないというか、常に学びと発見が維持されます。


★ フェイスブックの内容は、こちらと同じです。

★★ この3つについては、すでに『効果10倍の教える技術』2006年の58ページで紹介しました。(この出典は、その後に訳された『理解をもたらすカリキュラム設計~「逆向き設計」の理論と方法』2012年です。)

★★★ これは、今流に言えば、「アクティブ・ラーニング」や「インタラクティブ・ティーチング」と同じです。これが、文科省の名の下に普及されるのかと思うと嬉しくもありますが、同時に20~30年前に一生懸命普及していて、その限界にも気づいてしまった者としては複雑です。すでに、結果が見えてしまっていますから。
  以下の表が、その違いをわかりやすく示しています。


2015年2月21日土曜日

教師と生徒の一対一のカンファランスも多様にある



出典は、Let's Talk: Managing One-on-One, Peer, and Small-Group Conferences, by Mark Overmeyer 「第2章 一対一のカンファランス」です。

22 生徒が反応・行動を起こせないフィードバックは価値がない! ~RWの場合は、 読まれない本、読まれない文字と同じ。読まれた上で、かつアクションを起こしてもらってはじめて価値が生まれるのがフィードバック。
 20年もカンファランスをしているが、まだ改善中、としか言えない。 ~ それほど、奥が深く、面白いもの!!

25~26 カンファランスのときに投げかける言葉のリスト

26~27 何を教えたらいいかを、どう決めるのか?

27 全員にカンファランスする時間をどうやって確保するのか?

○多様なカンファランスの仕方:
28 ・チェックイン・カンファランス ~ミニ・レッスンのフォローアップのチェック
29 ・事前に文章を読んでおき、何を話したいのか事前に見当を付けておく ~準備に時間がかかる
   ・子どもにカンファランスを主導させる ~ 長期的には、これが一番
   ・クラスの真ん中でカンファランスをする ~ カンファランス自体に他の生徒を教える効果をもたせる
   ・子どもたちとのふれあいすべてをカンファランスと捉える

30 作家ノートから見えてくること。話し始める前に、かなりその子のことを知れる。それもベースにしながら、話していく。

31~33 一人の生徒を通じて、カンファランス中にしていること・考えていることを明らかにしてくれているので、わかりやすい。 ~ こういうやり取りを示してくれるとわかりやすい!!

34 一対一のカンファランスの進め方 ~ 『リーディング・ワークショップ』に詳しく書いてありますので、参照してください。
    ・いい点を見つけて、指摘する
    ・教えることを探す
    ・実際に教える

37 記録を残すことの大切さ
41       ・いい点の記録 ~ プロセスとプロダクトの両面で
    ・教えられること~ プロセスとプロダクトの両面で
              ・カンファランス後に取り組めること

2015年2月13日金曜日

カンファランスという教え方




教え方として、teaching=講義形式、facilitation=ワークショップ型、そしてconference=カンファランス形式と、大きくは3つあると思います。
私も当然、講義形式から始まりました。それしか知りませんでしたから。体験したことがありませんでしたから。
80年代の初頭にワークショップに出会って、90年代の半ばぐらいまでは、それに入れ込んでいました。
しかし、それでは自立した学び手は育てられないことがわかってしまって、いろいろ探し求めていた中で出会ったのが、リーディングとライティング・ワークショップ(RW&WW)でした。これらは、最初から自立した読み手と書き手(学び手)を育てるための教え方だったのです。★
それが、私がRW&WWに魅かれる一番の理由です。

そのカンファランスの核にあるのが、今回のテーマのフィードバックです。
Let's Talk:  Managing One-on-One, Peer, and Small-Group Conferences,  by Mark Overmeyerの第1章。左側の数字は、本の中のページ数です。)

講義形式にも、ファシリテーション型(アクティビティ型、参加型)のワークショップにも弱い/ほとんど欠けているのが、このフィードバックです。それも、各人単位の。

12 マイナス思考で教師がいたら、それは生徒たちに伝染していく!
  プラス思考も、伝染していく。教師には、選択がある。後者を選ぶ。
  「昨夜みんなが書いたのを読んでいたら、とても楽しかったです」で始まる。
  書くことも、書かれたものを読むことも、「とても元気になり、かつ楽しい」ことを知らせ続ける。モデルで示し続ける。

効果的なフィードバックの3段階は、

(1)どこに行くのか? ~目標
 授業やユニットの目標が明確なら、それに焦点を合わせることができる。
 生徒が意味を感じられるレベルでの目標であることが大切。たとえば、大きすぎても、小さすぎてもダメ(後者は、日本の国語でよく起こっていること?)

(2)どうやってそこに行くのか?
・目標に照らし合わせた
・アクションに移せる内容
・いいタイミング
16 1.一つか二つに絞る ~ 教師主導のアプローチ
   2.情報収集 ~ 生徒に委ねるアプローチ
   3.気がついたことは何でもアプローチ ~ 最悪の方法。
 教師には常に選択がある。それに気づくことがまずは大切。よりいい選択をする努力。
・継続的★★
・書かれたフィードバック ~ 面と向かった対話だけがフィードバックではない。

 子どもがstronger, more enthusiastic, more effective writer(より上手で、夢中に取り組む書き手★★★)になるのに寄与していれば、価値はある。 

(3)次はどこか? 次のステップは何か?

19 教育で大切なフィードバックをうまくなるにはどうしたらいいのか? 練習
 自分のフィードバックの効果を知り、改善し続ける努力の大切さ


★ だからと言って、講義形式や、ファシリテーション型(アクティビティ型、参加型)のワークショップは、ダメということはありません。目的やタイミングを選びさえすれば、それぞれ効果的な方法です(単に、それらが「万能ではない」ということだと思います。)WWRWの中ですら、これら2つはうまく使っています。ミニ・レッスンは講義形式で行われますし、共有の時間はファシリテーション型で行われます。

★★ 要するに、1回や2回のアドバイス/フィードバックで、人はなかなか変われない、ということだと思います。そのプロセスに伴奏できるのがカンファランス(=RWWW)で、講義形式やファシリテーション型のワークショップではなかなか難しい、あるいは不可能だということです。

★★★ この中には、作家の技を使いこなすとか、そのために本やクラスメイトの作品をよく読むとか、いろいろジャンルに挑戦するとかが含まれると思います。

2015年2月6日金曜日

自己評価シート~評価についてのメモ(その2)


 
 「評価をすることで子どもが成長する」、そんな評価が行われているのをヒシヒシと感じるのが、1月26日のRWWW便りで紹介した本(Nancie Atwell著のIn the Middle 3版、Heinemannより2015年に出版)の中の評価の章です。

 

 この本で紹介されている学校では、学期ごとに評価の週があり、「評価ポートフォリオ」もあります(282-283ページ)。

 今日は評価ポートフォリオの中に含まれるWWとRWのそれぞれの自己評価シートを見ていて思ったことを、メモ書きで書きます。

 特に今回、いいなと思ったのは以下の2点です。


  1. 子どもに自分の行ったことを観察させ、それを自己評価シートで言語化することで、自分のものにさせていること(284ページ)。
  2. RWについての自己評価の中でも、好きな本や詩などについて挙げさせるだけでなく、その本や詩のなかで、著者や詩人がしている技(つまり、優れた書き手がしている効果的な方法)に目を向けさせていること。(290293ページ)   (★ → この2点目は、好きだった本や詩を、自己評価シートで、批評家の目で見直させていることがいいと思いますし、自分で言語化することのもつ力も感じますし、かつ、読み書きのつながりも感じます。)

では以下、もう少しメモを紹介します。

 

● 学期の終わりには評価の週を取るのですが、自己評価シートを書くときの先生の説明がいいです。だいたい以下のような感じです(295ページより、抜粋してそれをざっと訳)。

 

「自己評価は、リサーチ・プロジェクトとして取り組むこと。リサーチの対象は自分--自分の成長と達成したこと。リサーチャーはデータを検証します。(注:ここに例えば「書き途中の作品ファイル」「完成作品ファイル」等々、それぞれが検証すべき材料が提示されています。)それらを検証しながら、次の3つの質問を考えてください。

「この学期に、何を達成したか? 何を学んだか? 次に何を達成したいか?」

 

● 自己評価シートは、RWとWWが1枚ずつ。それぞれ余分を1枚ずつ渡して、それにメモをとれるようにする。(295ページ)

 

● 自己評価シートの設問は毎学期登場するものと、その学期に学んだことに関わるものと両方ある。毎回登場するものとしては以下がある。

 

<ライティング>(284286ページ)

1.この学期に完成した作品の数は?

その作品の(主な)ジャンルは?(6つ程度書けるようになっている。)

 

2.うまく書けたと思う作品を二つ挙げてください。 その理由は? その二つの作品それぞれに、作家としてどんな工夫をしたのか(つまりどんな作家の技を使ったのか)を箇条書きにしなさい。

 

★ ここで子どもが、自分の書いてきたものを見直し、自分の使った作家の技を観察して、箇条書きで言語化することで、自分のものにしていける(284ページ)

 

このあとの質問は、その学期に学んだ項目を中心に構成されています。ここもかなり充実しています。

 

● 最後は、次の学期の目標設定で終わる。目標設定は<ペース・量、綴り、言語事項、作家の技>などに分かれている。(286、290ページ)

 

<リーディング>(290293ページ)

  1. この学期に読んだ冊数とそのジャンル(9つ程度かけるようになっている)
  2. その中でベストの本は? その本がベストである理由を、著者がどのようなことをしたからなのかを箇条書きしなさい
  3. この学期で読んだ詩からベストを2つ。そしてその詩人が行っていること(つまり詩人の技)をそれぞれ箇条書きしなさい。
  4. この学期における読み手としての成長
 そのあと、ライティングの自己評価シートと同じように、この学期に学んだことに関わる質問が続きます。

 

● 最後は来学期に向けての目標設定。<量・ペース、選書、著者やジャンル、レター・エッセイ(手紙形式で本についてノートに書く)、詩についての話し合いへの参加、本の紹介等>などに分かれています。(292、294ページ)

 
*****

  ★この本は、実際の子どもの書いた自己評価シートもありますし、随所に現場の教員向けの工夫がなされています。前の第2版も、何度読み返したかわかりませんが、この第3版も、きっと何度も読み返すことになりそうな気がします。

2015年1月30日金曜日

カンファランスの新たな可能性 (その1)



先週、Let's Talk:  Managing One-on-One, Peer, and Small-Group Conferences,  by Mark Overmeyer を読みました。作家の時間の中でのカンファランスをテーマにした本です。こういう本が続々出続けているのが、アメリカのWWRWの世界です。(刺激され続けてもう16年になります!)

ご存知のように、WWRWの中でカンファランスが占めるウェートは極めて大きいです。
ミニ・レッスンでも、共有の時間でも、教師はしっかり教えますが、何といっても大半の時間はひたすら書くないし読むに設定してありますから、教師が力点を置くべきもカンファランスです。

それについて、もう一度見直し、そして新たな可能性を模索しようというのが、この本(今回の連載)です。左側の数字は、本のページ数です。

6 話すこと(=カンファランス)のメリットには、どんなものがあるか? ~ 読み手に置き換えられる??
1.生徒の書き手としての興味・関心、こだわり、歴史などが出される。
2.自分の書いていることについて降り返させる。 フィードバックは自分にも戻ってくる!! 誰の作品にも(書き手にも)影響を及ぼす。
3.書き手のコミュニティをつくるのに役立つ。教師だけでなく、クラスメイトからアドバイス、肯定・確認、サポートが得られる。
4.話し合いを通じて言葉、作家の技、言語事項等を教える。

7 でも個別カンファランスに固執する限りは、負け戦です。罪悪感をもつだけの人も?!(なかなか一人ひとりに対応できませんから!)中には、最初から踏み込めない教師も。

 もしカンファランスの目的が、書き手のことを学び、書き手をガイドし、そして自立した書き手として前進させること(to learn about and guide writers, and move writers in powerful ways)なら個別カンファランス以外の方法が考えられる。具体的には、教師と複数の生徒たちや、生徒同士のピア・カンファランス ~ RWにもそのまま当てはまる?

8 この本で紹介するのは、
     伝統的な、教師と生徒の一対一のカンファランス
     教師がリードするグループ・カンファランス
     教師がリードするクラス全体のカンファランス
     2人の子どもが行うピア・カンファランス
     複数の子どもたちが参加するレヴュー・カンファランスで批評しあう

 多様な方法を提供することで、多様なニーズに応えることができる。子どもたちが選べるようにすること、主体的に取り組めるようにすること、最終的にはよりよい書き手(自立した書き手)になるために、方法を活かせることが大切。 読みの場合も同じ?!

 なお以上の中に、教師が事前にシナリオを描く「指導案」や「活動」という発想は一切ありません。すべて、子どもたちのニーズに応じて行われます★。「指導案」や「活動」ありきの授業をしている限りは、子どもたちが教師の顔色を伺う「授業ごっこ」「学校ごっこ」が続くだけです。何とか早くこれから脱しないと、子どもたちのイキイキした学びをつくり出すことができません。


★ 英語では、これにresponsive teachingという名称があります。日本語ではありますか? おそらく概念自体(つまり、子どもたちや学生のニーズに応じて教えること)がないので、存在しないのではないでしょうか?

2015年1月23日金曜日

評価についてのメモ(その1)


 「評価」--あまりに重要なトピックのために、私には逆にアプローチしにくいと感じる時もあります。教えることの根本に関わるトピックなので、「自分のクラスにすぐに、気楽に?使える手法」という感覚になれないから、かもしれません。

 

だから逆に気になるトピックでもあります。今日は、今読んでいる本の「評価」の章から、自分のメモと自分が感じたことを、3点ほど紹介します。またいつか引き続き紹介していきたいので、今日のRWWW便りは「メモその1」です。


 

 「評価」の章を読んだのは、RWやWWの分野をリードし続けている優れた実践者、ナンシー・アトウエル(Nancie Atwell)氏の『In the Middle』の第3版です。

 余談ですが、1998年出版の第2版から2014年出版の第3版に向けて、内容の80%が新しくなったということです。第3版の第1章のタイトルが「どのように教えるのかを学ぶ」で、ここから、著者のWWやRWとの出合い、従来型との葛藤などがよく分かり、『読書家の時間』(プロジェクト・ワークショップ編、新評論、2014年)の第10章「教師の変容」を思い出します。そして、内容の80%が新しくなったというものの、原点は同じで、そこから常に実践しながらより良いものを考え続けていることを感じます。またこの教え方の原則を、書くこと(WW)から読むこと(RW)へ、そして数学や歴史といった他教科へも応用されているのを感じます。

 

 さてこの本の第8章「評価」を読みつつの、自分のメモに戻ります。

 

(1)以前、記号による評価(A~D)をつけなればいけない小学校で教えていたときのことも少し書いてあります(308311ページ)。

 

そのときのチャレンジは、評価が子どもたちに行うように言ってきたことの反映であること


→ それぞれの子どもが、読み手、書き手として設定した目標に向けてどの程度進んだのかを、A~Dの評価を決める土台にした。

 

(↑ 目標設定や自己評価の大切さ、それをどのように、よりよく教えていくのかというところは、多くの教室に共通しているのではないかと思いました。ここからは応用可能なことがありそう。。。)

 

2)どんな学校で教えるにせよ、WWで提出される一つひとつの作品に個別に成績をつけることはしない。その理由は書き手としての成長には時間がかかるし、その成長過程は多岐に渡り、一つのパターンでまっすぐに進むわけでもないから。(300ページ)

(↑ そのためには子どもが作品を書き続けることが必要。WWの「時間の確保」が、評価とも関わると思った。評価から見えてくる、「時間の確保」の大切さ。)

 

3)アトウエル氏は、現在は自分が創立した学校で教えていることもあり、評価方法は、子どもの自己評価と目標設定に対して、教師の分析と目標設定を併せたもので、記号(A,B、C等)による評価はない(308ページ)。

(↑ こうなると、このままの方法をそのまま応用できないと感じてしまいます。とはいえ、この章を読んでいると、子どもの成長にも、教師の教え方にも、そして保護者との連携にも、この評価は素晴らしく機能しているので、またいつかじっくり紹介したいです。評価は子どもと先生の共同作業であることも感じます。)