2018年8月11日土曜日

紆余曲折? 夏休みの読書計画


 短い夏休み。短いので大切に使おう!と意気込み、かなり真面目に自分の夏の読書計画を立てていました。 


 例えば、「そもそも」ある教え方自体が何を目指しているの?という、「そもそも」に関わる部分を考えられるような本もじっくり読もう等、目標も複数設定し、それなりに自分の向上心?も感じるものになったのですが、いざ、眺めてみるとあまり楽しそうではありません。リストした本に夢中で取り組んでいる自分が想像しにくいのです。


  せっかくの夏休みなのに、なんだか行き詰ってしまい、ふと、『リーディング・ワークショップ』(ルーシー・カルキンズ著、新評論)の中に、「旅行のときに本用のスーツケースを持っていく」みたいなことが書かれていたことを思いだしました。本用のスーツケースを持って旅行に行くことは、私には、「いつか実現してみたい、憧れの夏休み読書」なので、やや逃避的に、その箇所を開いてみました。

 「優れた読書家が、自分の読書について語っている様子を想像してみてください。<中略>旅行に行くときには、衣類用のスーツケースと本用のスーツケースを持っていくので二つのスーツケースが必要になるとか、財布に折りたたまれている書評の切り抜きのこととか、あるいはベッドの横のテーブルに積み上げられた本のことを話してくれるかもしれません」(62ページ)と書かれています。


 この部分は、ほぼ記憶どおりでした。よかったのは、この箇所を思い出したことから、この前後と上の<中略>と書いた部分をじっくり読み直すことになり、そのおかげで、行き詰った自分の読書計画を見直す視点が得られたことです。上の<中略>と書いた箇所や前後も含めて、3段落強、とやや長めですが、以下、引用します。


 私たちも、子どもたちも、それぞれの生活の中で本を読むことについて「メンター」と呼ぶべき人、つまり「よき師匠」として導いてくれるような読書家にはなかなか出会うことがありません。ちょうど、弟子入りした見習い工が熟練者に学ぶように、子どもたちが教師という熟練した読書家に弟子入りして読むことを学ぶとすれば、教師の読むことの教え方も根本的に変っていくと思います。
 優れた読書家が、自分の読書について語っている様子を想像してみてください。その話の中に、私たちが、通常、教室で行っているようなことが出てくるでしょうか? 例えば、教科書を読んで比較対照事項を抜き出すとか、各章の最後の設問に答えるとか、比喩や象徴表現のリストをつくると いったことです。言うまでもなく、読書家たちはそんなことは語らないと思います。
 そうではなくて、本を読むことがどれだけ楽しく熱中させてくれるか、そして、どれだけその人たちの暮らしや生き方に影響を及ぼしているのかを語ってくれるはずです。旅行に行くときには、衣類用のスーツケースと本用のスーツケースを持っていくので二つのスーツケースが必要になるとか、財布に折りたたまれている書評の切り抜きのこととか、あるいはベッドの横のテーブルに積み上げられた本のことを話してくれるかもしれません。
 本を読むことにかかわるこのような話は、単にすぐれた読書家のほほえましいエピソードというだけではなく、読むことで違った生き方ができるということも教えてくれるのです。(62~63ページ)


 ここから思ったのは以下です。
・自分の夏休みの読書にも、先輩の読書家として、学習者に伝えるべきことが含まれている。
・「本を読むことがどれだけ楽しく熱中させてくれるか」は私にはやや微妙な分野です。物語の展開にどんどん引っ張っぱられるようなフィクション系は大好きで、むしろ、「自制心をもって適量読むだけにする」のが難しいです。ただ、今回、当初の読書計画では、この部分を大きく削除したために、読書計画がつまらなくなったのも事実です。「楽しく熱中」の要素も読書計画に残してOKと思い直しました。
・とはいえ、「楽しく熱中」だけだと、やはりケーキだけ食べているような「偏食感」もあり、そういう読書家のイメージは、自分のなりたいメンターとしてはイマイチです。上記に引用した箇所の、「楽しく熱中」の次に書いてある「暮らしや生き方に影響を及ぼしている」や「読むことで違った生き方ができるということ」を、私の場合はもう少し意識する必要がありそうです。
・「暮らしや生き方に影響を及ぼしている」や「読むことで違った生き方ができるということ」を考えると、最初に計画していたような「そもそも」を論じるようなものや、あまり得意でない分野、知らなかった分野を読むことも必要です。ただ、それが単なる苦行ではなくて、しっかり集中することが必要です。ここから「エンゲージメント(Engagement) 」という概念と「読むスタミナ、書くスタミナ」という概念を思い出しました。★
➔ つまり、私の取り組むべき課題は、不得意分野へのエンゲージメント(集中して、取り組むこと)を上げつつ、不得意分野でも、読むスタミナを少しづつ高めることだと、意識ができました。


 なんだか紆余曲折して、結局、元の場所に戻ってきたような気がしますし、もしかすると「苦行」に見えた同じ本を読むことになるかもしれません。でも、「メンターになれるような読書家」を意識すれば、「嫌々の苦行」として取り組もうとは思いません。エンゲージメントし、読むスタミナを高めることができるように工夫し、そのために具体的にできることをやってみることになります。そうすると、このプロセスから、「読むこと」自体についても、学習者に伝えられることも生まれそうです。紆余曲折した読書計画ですが、ようやく「取り組みたい」気持ちになってきました。エンゲージメントするために具体的にできること★なども、今から読み直そうと思います。


★ エンゲージメントについては2015年11月27日のWW/RW便り「読む・書くときのエンゲージメント(Engagement) 」を以下のURLよりご覧ください。
https://wwletter.blogspot.com/2015/11/engagement.html


★ 書く、読むスタミナについては、2017年5月5日WW/RW便り「書くスタミナ(読むスタミナ)をつけるには 」を以下のURLよりご覧くださいhttps://wwletter.blogspot.com/2017/05/blog-post.html

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