2017年5月5日金曜日

書くスタミナ(読むスタミナ)をつけるには


 先週扱ったテーマとは逆さまの内容です。
スタミナを辞書で調べると、「体力、持久力、耐久力 気力、根気」という漢字が並びます。どれを使ったらいいか、かなり悩みましたが、カタカナでいくことにしました。理由は、どれか一つというよりも、すべてを含んでいる気がするからです。

作家の時間=WW(や読書家の時間=RW)を実践し始めて、特に書き慣れていない子や書くのが好きではない子(読み慣れていない子や読むのが好きでない子)にとって、ある一定の時間を書くこと(読むこと)に集中するのは容易ではありません。それは当然です。好きではないことややったこともないことをやらされるのは、苦痛でこそあれ、進んでやりたいはずがありません。(それは、朝の読書や図書の時間などでも、観察していれば明らかではないでしょうか? なんとか時間をやり過ごそうとしているのが見え見えです!)

しかし、自立した書き手(読み手)になってもらうために、このスタミナは欠かせません。単に、子どもたちにWWRW)のサイクルや1時間の授業の流れを伝えたり、子どもたちへの期待を語ったりしたところで、実現できるものではありません。
徐々に、時間を延ばしていくことが最も効果的です。最初から理想の時間は無理ですから。学年にもよりますが、最初は、5分ぐらいから、徐々に延ばしていくのがいいでしょう(それも、2、3分刻みで)。★
そして、この「スタミナ」をミニ・レッスンで扱うのに今ほど適した時期はありません。

具体的には、自分が好きなことを徐々に時間を延ばして取り組んでいることを伝えることができます。例としては、ジョギング、ハイキングや山登りなどが考えられます。
最初から、フルマラソンやハーフマラソンを走れる人は(ほとんど)いませんが、徐々に走る距離を増やせることを話すのです。
私の場合は、働き始めてからしばらく昼休みに走っていたことがあるのですが、同じ距離を走るのに徐々に時間を短くすることに生きがいを感じていたことは話せます。(スタミナとはちょっと違いますが、同じ時間で走るなら、距離は確実に延ばせていたことを意味します。)
このような具体例でイメージをつかんでもらえた後は(次の時間以降の何回かのミニ・レッスンで)、スタミナを得るための方法を紹介していきます。

●行き詰まり状態を打開する方法
 まず、書けない/書き進めない理由をあげると、以下のようなものが考えられます。
     ・テーマ
     ・不安/恐れ
     ・完璧でないといけないという思い込み

 問題を出しきった後で、それらの問題を乗り越える方法を、練習もしながら紹介していきます。
     ・描いてみる
     ・文章ではなく、書けそうなことのリストを作ってみる
     ・書く場所を変えてみる
     ・音楽をかけてみる
     ・しばらくそれを脇に置き、他のテーマで書いてみる
     ・フリー・ライティング★★をする。

 最後のフリー・ライティングは、頭ではなくて、筆に書かせる方法です。たとえば、「何を書いていいのかわからない。さっぱりわからない。まったくわからない。こんなに長い時間書くようにしないでほしい。鉛筆をもっている手はいたくなるし、もう考えられない! おじいちゃんについて何か書けるかな? 先週末、二人でハイキングに行ったことなら書けるかも」という感じです。

●困った時の「きっかけ集」
 上の「行き詰まり状態を打開する方法」で、かなりの前進は見られますが、すべての問題が解消されるわけではありません。
 次の段階では、困った時の助けになる掲示物を、子どもたちといっしょに作ります。実際に書けるようにするための「きっかけ集」です。

書けない時には、
◆見る
 ・好きな作家やメンター・テキスト
 ・作家ノート
 ・問題を乗り越える方法を全部試したかの確認
◆聞く
 ・先生が他の子とカンファランスをしているのを
 ・他の子たちがピア・カンファランスしているのを
◆行動する
 ・自分が書いているものへのフィードバックを友だちからもらう
 ・それでもダメなら、先生の助けを借りる
◆振り返る
 ・書き手として、この問題を乗り越えるために自分がしたことは何か?
 ・その中で何は助けにならなかったのか?
 ・先生とはどう話し合うと効果的か(カンファランスのもち方は)?

 書くことも、読むことも、教師ががんばって教えることに大きな価値はありません。何よりも大切なことは、子どもたちが自立した書き手や読み手になることですから。(以上で紹介したのは、書くこと=WWでの事例でしたが、読むこと=RWではどのようなことが可能だと思いますか? 他の教科では?)

 自立した書き手や読み手に求められることは、教科書をカバーする授業よりも何倍もハードルが高いです。それを実現するためには、様々な形のサポートが必要です。WWRWでしていることは、単に書くことや読むことで活かせるだけではありません。他の教科や様々な人生の局面でも使えることばかりです!(←当然のことながら、国語をはじめ現在行われている教科指導ではほとんど無視されていることですから、これもWWRWを実践する大きな魅力です。生きていく上で役に立たないものを学校で時間を掛けてすることにいったい何の価値があるでしょうか?)


★ 確実に成功体験を積み上げていくことが大切です!
★★ フリー・ライティングについては、http://www.geocities.jp/deepbreathinghp/freewriting.htm


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