RWとWWの中学校レベルの優れた実践者、ナンシー・アトウェル氏が紹介する、ライティングのミニ・レッスンの一つに、「下書きを書く前に、下書きではない他の紙に、メモ書きをする」というのがあります。★
アトウェル氏は、授業で教える内容を決めるときには、書き手が実際に行っていて、かつ生徒に役に立つことを厳選しています。この「メモ書き」という方法も、氏自身が長年使っている、効果的な方法の一つとのことです。
やり方はいたって簡単です。
下書きとは別に、下書きと言うには程遠いようなレベルでいいので、思いついたこと、関連しそうなこと等々、断片的なアイディアでも、何でもメモ書きします。
この方法ですと、白紙を前にして、すくむような思いからも解放されますし、どこから着手したらよいのか分からないものにも、肩肘はらずに、とりあえず、着手することができます。
しかも、着手するのにハードルが高いなと思う、新しい作品に取り組む時「以外」にも使えます。
例えば、下書き書き始めたあと、途中で行き詰ったときの解決方法として、メモ書きをすることもできます。
アトウェル氏の教室で学ぶ一人の生徒は、 行き詰ったときに、その下書きからいったん離れて、メモ書きをする中で、ある会話を再現してみたそうです。そして、最終的には、その会話文が、自分の書いているストーリーのクライマックスとして、使えたそうです。
アトウェル氏の説明を読んでいると、まだ、固まっていない考えやイメージを活用して、言葉の落書き?のようなメモをつくり、それを活用して、その後、下書きを書いていくことにつなげていけるのが、よくわかります。
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実は、「メモ書き」は、気になりつつも、私は使ったことがありませんでした。下書きを書くときには、あくまでも、「下書き」として、わりと限定的に書いていたからです。
突然、「メモ書き」を使ってみよう!と思ったきっかけは、今日のRWWW便りです。
今回のRWWW便りですが、最初、先週のRWWW便りの特別支援級の話を読んでいて、子どもによっていろいろなコミュニケーションがあるという点が印象的な、以下の2冊の絵本を思い出しました。となると、テーマを決めた絵本紹介?もいいかも?と思いました。
『ぼくは ここにいる』(ピーター・レイノルズ/作・絵、さかきたもつ/訳、小峰書店)
『ペンギンさん』 ポリー・ダンバー/作・絵 もとしたいづみ/訳 フレーベル館
また後者の『ペンギンさん』は、4分弱の読み聞かせ(英語)がある★★ので、読み聞かせや絵本の様々な使い方も、書きたくなります。
こんな感じで、断片的なアイディアがあるのですが、断片的な考えだけでは、テーマを決めた「下書きらしい下書き」がスタートできません。これこそ「メモ書き」を使うのにいい状況だ!と思ったわけです。
そこで「メモ書き」で、トピックを限定せずに、上の二つを中心に思ったことを何でも書き散らしてみました。
➡ その結果、実感したのは、メモ書きを使うと、 あるトピックが、一定の時間で形になるかならないかを見極めるのに、とても便利!ということでした。
今回はメモ書きしてみて、「子どもによっていろいろなコミュニケーションの方法やペース、というテーマの絵本」も、「絵本『ペンギンさん』の複数の使い方」も、現段階で形にするのが無理とわかりました。つまり、頑張っても形にならないものの下書きに取り組む時間と手間が省けたのです!
そして気になっていた「メモ書き」ついて、考えることができたので、そのトピックを少しだけ膨らませることができました。
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RWやWW関連の本を読んでいると、今回のように、「いいなと思っていても、使ったことのないミニ・レッスン」に、時折、出合います。そういうミニ・レッスンで教えられているスキルが、自分のスキルのレパートリーに入るのかどうか、今後も積極的に使ってみようとも思いました。*****
★「メモ書き」のミニ・レッスンについては Nancie Atwell著の In the Middle の第3版124~130頁に詳しく載っています。
★★ 『ペンギンさん』の英語の読み聞かせは、4分ぐらいです。https://vimeo.com/58744168 で見れます。ペンギンさんの友達になりたい男の子とペンギンさんのペースやコミュニケーションの取り方の違い、そして途中のびっくり事件も含めて、あっという間の4分です。
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