2011年11月4日金曜日

たかが図表、されど図表

私たちが読んだり書いたりするもののほとんどは、ノンフィクションです。それも情報を提供したり、得たりすることが目的のものです。
 自分が実際に読んだり書いたりしたものすべての記録を1日取ってみると明らかになるはずです。(状況は、子どもたちも変わりないと思います。)

 小説は、最初から最後まで読まないと意味がないですが、情報を得るために読む方法は目的に応じて多様にあります。
 最近は、紙媒体のものと同じか、それ以上にインターネットでウェブ・ページを見る人が増えていますから、その方法は顕著に表れます。(なんと、「読む」とは言わずに「見る」と言うぐらいです。一昔前までは、新聞や雑誌でしたが、それらはまだ「読む」でした。)
そうした情報を得るときに多く出てくるのが、図表(やイラスト・写真・動画)です。それらを読みこなすことは、リサーチ・スキルとしてはもちろんのこと、ライフ・スキルとしても欠かせません。

 それほど日常的なものなのですが、読み・書き(RWとWWや他教科)を教える時に、図表等を扱ったことがある方は、どれぐらいいるでしょうか?
一般的には、言葉を補う媒体と見られがちですが、視角に訴えかける分、記憶に残るという点では文章よりもインパクトがあります。

 ジャンルによっては、どれだけいい文章を書けるかと同じウェートで、どれだけ効果的な図表等のビジュアルを使えるかで、読み手に伝わるメッセージ(そもそも読んでくれるか、も含めて)が決まります。もはや、わかりやすい文章だけでは不十分と言ってもいいぐらいです。(I See What You Mean, by Steve Moline 26ページ)
たとえば、「パンのつくり方」をインターネットで検索すると、多様なつくり方の方法を使って紹介していることがわかります。たとえば、文章で。写真を使って。ビデオで。フローチャートで、など。(パンづくりを解説した本も、文章以外の方法を効果的に使っているはずです。)

 これだけ文章以外の媒体に子どもたちが日常的に接していると扱わないわけにはいきません。たとえば、①本を読みながら/人の話を聞きながら、②メモをとり、③それを使って自分の文章を書くということは普通に行われてきましたが、最近は、②のメモを取る代わりに、マインドマップを描く方法も普及しています。視覚的に記録したり、考えたりした方がいい人がたくさんいることを示しています。

 図表等を使う際には、「伝えたい情報が読み手にしっかり伝わるためにはどんな方法を使うのがもっとも効果的か?」を問う必要があります。(I See What You Mean, by Steve Moline 23ページ)
 たとえば、私が2つの本を比較した時の例を紹介します。ジョン・バーニンガムの『おじいちゃん』とアリキの『おじいちゃんといっしょに』の内容の比較をするときに、可能性としては、文章で書く、表に表すなどもありましたが、私が結果的に選んだのは下の図でした。(『「読む力」はこうしてつける』90ページ)一番読み手にとって、わかりやすい/伝わりやすいと判断したからです。

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