2011年2月25日金曜日

続・年間計画の立て方

 WW便りの2010年8月4日号で「年間計画の立て方」を扱いましたが、追加情報です。

1) そこに書いてあったように、年度の最後を明確にした上で「逆さまに計画する」というのはとてもいい方法です。ぜひ、試してみてください。

2) 年度の最終ゴールを明確にした後は、指導要領および教科書を眺めて、学年で「書くこと」に関して押さえないといけないことをリストアップします。(それは、教師として最低限、押さえないといけないことだからです。時間的には、10~15分あればできます。)
そのリストにもれていて、教師としてぜひ子どもたちに教えたいこと/提示したいこと/子どもたちと一緒に挑戦してみたいことがあったら、それもぜひ加えてください。
 それでもリストが物足りないと思う場合は(そうなんです、書くことだけでは年間に扱わないといけない項目はそれほどないのです!)、「読む」領域のものをリストアップしてもいいかもしれません。下の4)で出てくるように、読むことと書くことは連動していますから、読むことに重きはおきながらも、それについて書くチャンスを提供することができてしまいます。

3) 3番目は、最終的な到達点に至るまでに、2番目であげた各項目を、どのような順番で並べるのが一番効果的かを考えます。(必ずしも、教科書どおりの配置がいいとは限りません。これまでに、並べられてある単元/題材が何らかの意味があると感じられた方はいらっしゃいますか? あるいは、その順番にやっていると確実に子どもたちの力がつくと思われた方は? 結果的に、すべて押さえるのですから、文科省も、教育委員会も、管理職も、保護者も、文句は言わないでしょう。順番をあえて変えることで、よりよく学べるようにもなるのですから。)

 項目(その多くは、ジャンル)を自分がベストと思える順番に並べると、基本的には年間計画は出来上がりです。簡単だと思われませんか?

4) 次のステップは、それぞれの項目(ジャンルないしユニット)をどう扱ったらいいかというユニット単位の計画(流れ)を考える必要があります。

 基本的には、その項目(ジャンル/ユニット)に浸りきる体験から入るのが、一番効果的です。と同時に、教師が読み聞かせ等で、好きなのを紹介しまくります。これができるためには、実際のユニットが始まる前の2~3週間は、子どもたちが浸りきれるために、そのジャンルの本や資料を集めまくることが必要になります。(読むことと書くことは連動しています。プロの作家たちでさえ、関連する本を読み漁るところから始まる人が少なくありません。)

 いいモデルとなるものがたくさんあると、子どもたちはそれらを真似したり、参考にしたりして書けるようになっていきます。(もちろん、その中の一つとして教科書教材を含めることはできます。それを教師が本当に好きだったり、いいと思えたらですが。嫌いだったり、いいと思えないものは、子どもたちはすぐに見抜いてしまいますから、逆効果です。)

 子どもたちに浸りきってもらうために集めた本や資料の中で特に教師が好きなものやいい作品は、WW便りでも何回か紹介した「メンター・テキスト」としてミニ・レッスンやカンファランスのときに使えます。

 そのジャンル/ユニットが終わるころまでには、そのジャンルの作品を最低でも一つは提出させる義務を課すべきでしょう。

 ユニットを各月あるいは数週間単位で運営している間も、子どもたちには常に書きたいことを書くという選択は提供され続けます。それと並行して、ユニットで扱うジャンルに挑戦してみるということです。子どもたちの多くは、自分がどんなジャンルで花開けるのかわかっていませんから。(大人の多くもですが。)

 こういう流れで、計画を立てることは、楽しいことだと思われませんか?
 基本的には、私が教員対象の研修プログラムを立てるときも同じです。
 以上の流れは、対象に限らず使える方法だと思います。


★ 「逆さまに計画する」ことに忠実ならば、目標を設定した後に、それを証明するための評価の仕方は何かを考え、その後にミニ・レッスンを含めて流れを考えていきます。WWの場合は目標と評価の仕方が特定のジャンルでの作品の提出という形で同じなので楽かもしれません。そしてそれをどう評価するかということで、評価基準表の作成がこの段階に入ってきます。(もちろん、テストで85点以上というような設定の仕方も「あり」です。その際、教え終わってからテストを作るのではなく、この段階で大方を作ってしまうことが大切になります。なお、テストで測れることには限界がありますから、常に他の評価方法と併用することが求められます。逆に言えば、手がかかる割には子ども達の能力を適切に離れる手段とは言い難いテストに、時間をかけるのはもったいないとも言えます。しかし、テストへの信仰は相変わらず教育界を覆いつくしていますから、やらないわけにはいかないというのであれば、5分の1~10分の1のウェート付けしか割り当てないのが、子どもたちにとっても教師にとってもいいと思います。)WWでは、作品を作り出す過程を作家ノートや教師によるカンファランスのメモ等で明らかにできますからとても効果的です。それは、自己評価ができるようになるために。第三者に対して説明をする際にも。

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