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2017年2月24日金曜日

カンファランス雑考 ~ピア・カンファランスにおける関係性は?

 生徒同士のカンファランス、つまり、ピア・カンファランスについて、私にはイメージしにくい部分があります。

 特に、現時点では、二つのことが疑問です。

1)ピア・カンファランスの関係性は、何に例えると分かりやすいのか?

2)ピア・カンファランスの多くの事例が、ライティングであり、リーディングで少ない印象があるのはどうしてなのか? 

 2)に関しては、ライティングの推敲や校正の段階であれば、ピア・カンファランスは、特に一斉に行うには取り組みやすい、という点があるようには思います。

 もっとも、カンファランス自体は、書くこと・読むことの様々な過程で使われることを考えると、「今日までに下書きを仕上げる、今日は一斉にピア・カンファランスを行う」という使い方だけでは、何か違う、というか、なんだか勿体ない印象を受けます。

  2)についても、考え続けたいと思っていますが、今日は1点目、「ピア・カンファランスは、何に例えると分かりやすいのか?」を考えます。

 ピア・カンファランスではなくて、教師によるカンファランスの場合、例えば、「医者と患者」や「親と子」の比喩が使われることがあります。

 たとえば、 『読書家の時間』(新評論、2014年)の「評価」の章(161ページ)には、以下のような記述がありますが、それがカンファランスにも生きていると言えます。

 「このような評価の考え方は、医師のカルテに似ています。医師は患者を一同に集めて、一斉に同じ治療を施すことはありません。一人ひとりの症状を確認し、どのように回復したいのかを聞いてから、その患者にあう助言や治療法を提案していきます。そして、その一連のやりとりをカルテに書き込んでいきます」

 中学校レベルの優れた実践者、ナンシー・アトウェル氏は、自分の子どもが5歳の時に「靴ひもの結べるようになりたい」、と言ってきた時のことから、「引き渡すこと、手渡し、譲り渡すこと」という意味のある handover という単語を使って、知識やスキルを生徒に教えて、できるようにすることを説明しています。★

 医師にしろ、親にしろ、はっきりしているのは、教える人と教えられる人との間にある、知識やスキルの差です。

 一方、ピア・カンファランスではどうなのでしょうか? 人数の多い日本の教室ではピア・カンファランスが大切!と考えている『作家の時間』(新評論、2008年)では、ピア・カンファランスというセクションを設けて6ページにわたってその様子を述べており(68~73ページ)、その中には次のような文もあります。

 「そして、ピア・カンファランスの最大のメリットは、お互いに読み合うことによって、子どもたちの間に一緒に高め合っているという学び合いの気持ちが生まれることです」(68ページ)

 このような学びは何に例えればいいのでしょうか? 「ライバル同士の切磋琢磨」でもないし、「仲良しグループ」でもないし、複数で一つの目標に向かう「チームワーク」でもないし。。。

 ピア・カンファランスにおける関係性を例える、よい例や比喩がさっと思い浮かばないのは、自分を振り返るとき、それぞれにピア・カンファランス的に、学び合い、高め合うという関係性が少ないからかもしれません。どうしても、知識やスキルに差(「多様性」というよりは、埋めるべき「差」です)があるところでの学びが多いのです。

 逆に言うと、学ぶ人同士の、知識やスキルの差を、一方的に埋めるためではない関係性を、子ども時代に体験できることは、とても大きいのかもしれません。

 また、先生は学びのいいモデル、と考えると、先生自身がピア・カンファランス的な学び合いを経験することも大切なはずです。

*****

 そこで教師がピア・カンファランス的な関係性の学びを経験できる方法は?と考えてみることにしたところ、とりあえず、二つ、頭に浮かびました。

1)上下関係がなく、気持ちよく共有やコメントが出しあえるような、授業研究やライティングのグループ。できれば、コメントされる人とコメントする人とに分かれるのではなくて、それぞれが両方の立場を経験できるようだと、さらにいいと思います。

⇒ 一つの試みとして、 ここ何年か、数名の先生と「閉じたブログ」(メンバーしか見れないブログ)」で、お互いの実践を振り返ったり、情報を交換したりしています。いいフィードバックができているのか等、まだまだ課題はありますが、でも、この関係は、うまく運用できると、よいピア・カンファランスの関係性に近いのかも?と思います。

2)ブッククラブ体験

 ピア・カンファランスの関係性の例えとして、「医師と患者」でも「親と子」でも、また「ライバル同士の切磋琢磨」でも、「仲良しグループ」でも、「チームワーク」でも ないと思うと、「ブッククラブの参加者」が近いように思いました。
 
 それは、ブッククラブでは、「知識とスキル」の明らかの差を、一方的に埋める時間ではなく、違う視点が提供され、みんながその学びに集中しているからです。もちろん、自分の必要(自分の尋ねたいこと)をはっきり述べて、助言を求めることもあります。

*****

 ピア・カンファランスをより深く理解するためには、まずは自分自身がピア・カンファランス的な学びの成功体験を増やしていくなかで、新たに見えてくるものもありそうに思っています。

*****
★ handover ですが、Nancie Atwell著のIn the Middle: A Lifetime of Learning about Writing, Reading, and Adolescents, (Heinemann, 2015) の 14-15ページ。それ以外の箇所でもこの概念はでてきています。

2010年6月18日金曜日

ピア・カンファランス

☆ 低学年のピア・カンファランス

 Katie Wood RayさんのAbout the Authors: Writing Workshop with Our Youngest Writers (Heinemann, 2004) という本があります。幼稚園から小学校2年生ぐらいを対象としたWWについての、実践例豊富な、とてもいい本です。

 こんな年代の子どもたちでも、ピア・カンファランスをしています(pp. 188-191)

 この本によると、一つの方法として、ピア・カンファランスが必要なとき、ということでいくつかの項目を挙げています。

 例えば、どんな時にピア・カンファランスをするといいかというと、「誰かに尋ねたいことがあるとき」、「自分の書いたものにある意図があるので、それが読み手にちゃんと伝わるかテストをしたいとき」、「今、書いていることを、もっと膨らませたいから、誰かに自分に質問をしてほしい(これについて、何が知りたいかを自分に言ってほしい)とき」等々です。

 年代的な特徴を踏まえているのかもしれませんが、子どもに「こういう必要があるときに、他の人に助けを求めるといいよ」ということを、はっきりさせることで、ピア・カンファランスをしやすくしているように思いました。

 そして先生が、それぞれのカンファランスについて、説明をしたあとに、みんなの前でロールプレイなどをつかって、どんなカンファランスかをはっきりと教えていきます。

 また、こんなカンファランスがあるよ、と説明するときに、できる限り、子どもたちの書き手としての経験に照らしあわせて、子どもたちにつながるように教えているのも、よく分かります。


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☆ 以下は、先週の金曜日に貼り付けたのですが、設定がうまくいかなくて、再度、貼り付けましたが、うまくいきませんでした。それで、今日、再度、貼り付けます。もしかすると、ほぼ同じものが、すでに2回、メールで流れたかもしれません。もし、そうでしたら、すみません。

 人数が多い日本の教室では、ピア・カンファランスはけっこう大切な気がします(←たしか、このことは『作家の時間』でも言われていたと思います)。

 ピア・カンファランスをうまく行うためには、いろいろな方法があるようです。

 Nancie Atwellさんの In the Middle  (2nd ed.)  (Boynton/Cook 1998 )という本があります。私の大好きな本の1冊です。

 彼女は中学生を教えています。クラスでピア・カンファランスをすることもあると思いますが、彼女の場合は面白い方法を使っています。それはミニ・レッスンを使って、良いカンファランス(助けになるカンファランス)と悪いカンファランス『助けにならないカンファランス)の例を見せるということです(pp.  158-159)。

 子どもに協力してもらって、ピア・カンファランスの「いい例」と「悪い例」のロールプレイをして、子どもたちはそれを観察するというものです。同じ作品でいい例、悪い例の両方を行うとはっきりするようですね。

*****

 Carl Anderson というカンファランスのカリスマ?とも言われている?人が、WWのカンファランスについて書いたhow’s it going?  (Heinemann, 2000)という本があります。

 彼も、同様に「金魚鉢」(何人かが金魚になり、その行っていることを他の人が金魚鉢の外側から観察するというので「金魚鉢」と言われる方法)を使っています。 

 先生は、子どものやっていることを言語化してはっきりさせたり、ときには中に入り「今、先生が何をしたか分かった?」みたいに問いかけたりもしています(p. 146)

→ 私が思うには、どちらにおいても、そのポイントの一つは、他のカンファランスに応用できるような形で子どもが理解できるように、先生が言い換えたり、サポートしたりすることかなと思いました。 

 例えば「何について助けてほしいかを伝える・(あるいは)尋ねる」などは、次回のカンファランスにもすぐ応用できそうです。

2010年8月6日金曜日

デザイン(設計)・カンファランス

 こんにちは。今日は書き手とは選択していくものだ、なので、選択することを教えていくのもカンファランスの大切な要素の一つだ、そんな観点から、デザイン・カンファランスについて書きます。

 皆さんは今までどんなカンファランスをされてきましたか? 

 私も、うまくいかないときも多々ありますが、いろいろなカンファランスをしました。題材さがし/書く内容を決めるためのカンファランス、書きたいことが決まったときに、じゃあ、それをどういう形で書く?(例えば、詩にする? 一人称それとも三人称で書く?など)、書いている途中の作品を見ながら、よく書けているところをほめたり、ユーモアのところで思わずくすっと笑ったり、分かりにくいところを質問したり、どうやって終わるの?とか終わりかたは決まっているの?と尋ねたり、超大作になりそうなときは3部作もありだと提案してみたり、いろいろなツールや参考文献の使い方や調べ方を教えたり、もちろん言語事項に関わるカンファランスもたくさんしました。
 
 そんなことを考えながら The Art of Teaching Writing (New Edition)(Lucy McCormick Calkins著、 Heinemann, 1994) を読んでいました。

 ★ 彼女の書く本は、生き生きと読み書きに取り組む子どもたちの様子があちらこちらに出てくる本が多く、書かれていることも具体的なので、得るものが多いです。

 上の本の14章では、「書いている内容についてのカンファランス」、「デザイン・カンファランス」、「プロセス・カンファランス」、「評価のカンファランス」についていろいろと説明されています。

 自分のカンファランスを振り返るときに、自分のカンファランスも、自分なりの分類ができるのだと思いましたし、自分で自分のカンファランスを振り返って、分類してみるのも必要な気がしました。私も少しずつ自分なりの分類をつくっていきたいなと思っています。

 私はこの本のデザイン・カンファランスが、(238−241ページ)を読みつつ、これは自分が時々行うカンファランスの一つなので、これを一つの分類として使おうと思いました。

 デザイン・カンファランスとは、その作品のデザイン(設計)についてのカンファランスです。あたりまえのことですが、このカンファランスには、いろいろな段階があるなあと思いました。

 この本の(238−241ページ)によると、例えば、幼い書き手の場合、起こったことの順番がめちゃくちゃでわかりにくかったり、例えば自分の好きなこと(恐竜とか)について書く場合、恐竜の食べるもの、化石、また食べるもの、等々、カテゴリーにきちんと分類されていなかったりということはよくあるそうです。

 前者の場合は時系列でということを学ぶ必要があり、後者の場合だと、もちろん、はさみで切って情報を分類することも可能ですが、ごちゃごちゃになっている下書きを使って、そこから「見出し」をつくって分けていく、そんなこともできます。

 そのうちに、起こったことを時系列で書く必要がない(山登りの1日を書くときに、最後のシーンから始めてフラッシュバックで書くことも可能)ことも学んでいきます。

 また、あることについて書くときに1〜20まで書こうということがあれば、それを全部書かずに、例えば、1〜20のうち、9〜12に焦点を定めて、それについて書こうというようなことも、学んでいきます。

 また、書く形式ーー詩なのか、回想録なのか、絵本にするのか、手紙形式にするのかーーという選択肢もあります。

 私はこの箇所を読みながら、「書き手のもっている多くの選択、そして書き手がしていかなければいけない選択」ということも考えました。 

 『ライティング・ワークショップ』(ラルフ・フレッチャー & ジョアン・ポータルピ著、新評論、2007年)の「1日目を切り抜ける」(53ページ)に以下のような文があります。

 「『作家には決断が必要です。どうやって書き始めようか、どの単語を使おうか、読者は誰にしようか、どのくらいの長さにしようかと、作家には決めなければいけないことがたくさんあります...<略>』
 教師はここで語った「作家には決断が必要」というテーマを、その後のワークショップでも何度も繰り返して取り上げます」

 デザイン・カンファランスでは、書き手がよりよい「選択をできる」ように助けていくことが大切では?思いました。

 (もちろん、選択肢のレパートリーを持っているかどうかも問われてくるのですが。)

2017年5月26日金曜日

カンファランスの大切さ(再考)


作家の時間と読書家の時間の核は、子どもたちがひたすら書いたり、読んだりしている時間=教師はカンファランスをしている時間です。

When Writers Drive the Workshopの「第1章 カンファランス ~ 子どもたちが運転席に座る」で、カンファランスについて大切なことが盛りだくさん紹介されていたので、その一部をここで紹介します。すでに実践している方は、再確認用に、まだ実践されていない方は、早速導入するための動機づけにしてください。(数字は、本のページ数です。カッコ内の青字/斜体は、私のコメントです。)

11  機械的に、褒め言葉から始めちゃ、ダメ!
 正直な感想/反応こそ、書き手が求めているもの。

  カンファランスを「子どもの言うことを聴いて、褒めて、教えて、次のステップを確認して、記録を残して」というふうに機械的に捉えていては、教師主導の授業にしかならない。大切なのは「子ども(書き手)」。 子どもが書いている作品ですらない! 子どもが求めていること/書いたことに真剣に向き合ったら、やれることは自ずと違う。

◆ カンファランスをする際の指針
1. 生徒の話を聞くことは、教えることが好きだからできること!
2. 教師が話すことよりも問いかけることが大事
3. 書き手(子ども)が話し合う内容を決める ~ しっかり振り返るために。教師の役割はそれのサポート。
4. 書き手は本音の反応を欲しがっている ~ それによって、読み手とつながれるかを把握できるのだから、極めて重要!

  以前の私(著者)は、子どもたちが書いている時間は、教師が次にすることを準備したり、他にすることを考えたりする時間と捉えていた。これほどの間違いはなかった!! カンファランスは、創造を助けるきわめて大事な時間なのに!
 それは、自分が書くということもしていなかったし、書き手の目で読むということもしていなかったから。

14  自分が教えるときは、一緒にそれらのジャンルを書くようにし始めた。 ~ 「自分がしていないことを教えることはできない」と言ったのは、ライティング・ワークショップ(=作家の時間)の生みの親のドナルド・グレイヴス。
 自分が書くことで、子どもたちと同じレベルで(教え込まないといけない教師としてではなく)話せるようになった。(教科書で教えられると思うことは、大きな錯覚!)

カンファランスは、話し合いを楽しむことにつきる。一昔前まで各家の食卓で起こっていたこと。共に、笑い、泣き、論争し、心配し、喜び合い、躾をし、夢を見た!(残念ながら、このようなやり取りは失われつつある。食卓以外でやれているかな?)

   子どもたちを表面的なレベルで知っているだけではダメで、深いレベルで知らないと、教育という営みは不可能。カンファランスがそれを可能にしてくれる。(他に方法はありますか?)

○カンファランスが可能にしてくれること:
・     つながりを築いてくれる
・     目標を設定させてくれる
・     正当性を確認する
・     励ます
・     教える
・     評価する
(他には・・・
・     共感する
・     受け入れる
・     tame手なずける → 星の王子さま
  これらが達成できるだけでも、大きな価値がある!! もし、これらのほとんどなしで授業が展開する場合、学びはどれだけ起こるかな?? カンファランス以外の関わり方で、これらのほとんどが押さえられている方法は?)

 カンファランスは、書き手を振り返れるようにすると同時に自立した学び手にすることを助ける。

16  カンファランスは柔軟に: 決まったやり方などない!! ~ 公式、非公式、短い、長い、個人対象、グループ対象は問題でない。

○カンファランスは、質問の仕方をモデルで示し続けること。ゆくゆくは自問自答できるように!
  究極的な目的は、カンファランスも、教師も必要なくなること。生徒が自問自答して解決してしまえるようにすること。(通常の授業は、これを念頭において取り組まれているでしょうか? これを頭に入れて実践するのとしないのでは、すべてが違ってくる!)

誰が読者? 目的は何? → なぜ書いているのか?
18  教師のため、成績のため(学校ごっこ)じゃない方法を模索する。本当の理由を。
何を助けてほしい?(どうやって助けられる?) ~ 子どもたちこそが主役。彼らが変化に担い手。私たちにできることは、その過程をサポートすること。

どんなカンファランスをもちたい?
21 多様なカンファランスの種類(目的別):
              ・目標設定
              ・プロセス(題材探し/構成、下書き、修正など)
              ・ジャンル
              ・スキル(作家の技)
              ・出版
              ・ポートフォリオ

  使い勝手のある疑問形: who, what, when, where, why, how 要するに、5W1H

記録の取ることの大切さ
 これによって、記憶にとどめることも、積み上げることも可能になる。ないと、どこかに消えてなくなるだけ!!

26 著者のカンファランスブックにふくまれているもの
 全体
  メンターテキストのコピー
  子どもが書いたメンターテキストのコピー
  ミニ・レッスン
  カンファランス用の質問
  月ごとのチェックリスト
 個別の生徒用のページ
  各人の目標シート
  各人のカンファランス用シート
  評価のデータ

27  パターンを記録から読み取る/引き出す
 2週間おきに見直して、パターンを読み取る → より深い分析を1か月おきに。

 その時に使う質問:
・     この書き手の強みは何か?
・     この書き手に欠けていることは何か?
・     次すべきことは何か?
・     この書き手からクラスの他の子たちが学べることは何か?

30  テストや成績よりも、カンファランスの記録の方が、子どものことを明らかにできる。

Q&A
Q・多人数のクラスで、どうやって子どもたち全員とカンファランスしたらいいのか?
A・1週間に全員と話せるのがいい。20人プラスの生徒で毎日やっていれば。
  週に2~3回で、30人前後の生徒がいるなら、2週間が限界!

34 カンファランスの結論は、書き手が私から学ぶよりも、私が書くことについて、人生について、そして書き手(=こども)についてはるかに多く学び続ける!


 以上は、書く指導だけでなく、読むことを含めて、すべての教科で応用できます。そして、しないことによって逃してしまう学びの量は甚大です。もちろん、上に書いてあることを最初からすべてする必要はありません。やれるところから(ということは、一つか二つから)確実に自分のものにしていってください。カンファランスのよさを味わえたら、後戻りはできなくなります。理由は、他の方法では34ページに書いてあることがないからです。


出典: When Writers Drive the Workshop:  Honoring Young Voices and Bold Choices,  by Brian Kissei 

なお、「まえがき」は、http://wwletter.blogspot.jp/2017/03/blog-post.html


2026年7月10日金曜日

生徒一人当たり5分間のカンファランスのパワー!

書くことを教える教師は、生徒がたくさん書き、しかも意味のあるコメントを受け取ることで書く力が伸びることを知っています★。また、読んでコメントを付けなければならない大量の生徒の文章に埋もれるあの感覚もよく知っています。こうした負担に対処する方法はいくつもあるとはいえ、この紙の山はやはり生徒と向き合う仕事の中で大きな重荷です。

書面でコメントを書く量を減らすために、授業中に生徒一人ひとりとカンファランスの時間をもつことを最初に考えたとき、時間がどれほどかかるのか不安でした。しかし、すでに自分の教室でそれをしていた同僚の助けもあり、思い切って生徒と書くカンファランスを実施したところ、教室のあり方にも生徒の学びにも大きな変化が生まれたので、無理なく効果的に進める方法と、予想していなかったプラスの変化を紹介します。

 

カンファランスの前にすること

 生徒とカンファランスを行う前に、私はまず生徒の作文をざっと読み、個々の生徒の作品には一切書き込みをせず、自分のメモに三つの点だけを記録しました。すなわち、その作文に使っている評価基準での点数、生徒が今回の課題でうまくできていた点、生徒がこれから取り組む必要のある点です。

この作業をしながら、クラス全体に向けて後で短い授業として扱うために、共通して見られた強みや伸ばすべき点についてもメモを取りました。

私は、生徒の作文に何も書き込みをしていない状態のまま返却し、クラス全体として見られた強みと伸ばすべき点について簡単に説明しました。

次に、生徒には配布したプリントの問い★★に沿って自分の作文を振り返ってもらいました。自分の作文に点数を付けるだけでなく、私とのカンファランスで「自分が伸ばしたい点」をいくつかの候補の中から一つ選んでもらいました。この焦点の絞り込みが、カンファランスの時間を効率的かつ効果的にするうえで重要でした。

私は、生徒に対してカンファランスの際の期待事項を説明しました。カンファランスをしている生徒と、順番を待ちながら自分で作業している生徒の双方に向けてです。生徒たちはひたすら書く活動の目的を理解し、すでに自立的な作業時間の基本的な約束事ができていたこともあり、この時間を有意義に使う準備ができていました。

 

カンファランス中にすること

生徒が週の終わりに提出する数日かけて取り組む作文の課題をしている間、私は一人ひとりと5分ずつ個別にカンファランスを行いました。

生徒は作文と振り返り用紙を持って私の隣に座ります。私は事前に作文を読んだときのメモを手元に置き、携帯電話で5分のタイマーをセットしました。

まず、生徒が自分の作文がどの点数に値するのか、そしてその理由を評価基準の言葉を使って説明します。その後、私が付けた点数を示します。多くの場合、点数は近いのですが、もし一致しないときは、生徒が評価基準の理解を深める必要があることがわかります。

次に、生徒は自分の作品の中で、今回のカンファランスで取り組みたい一点を伝えます。作文を参照しながら、生徒が改善できる点について話し合い、生徒はその内容をメモします。タイマーが鳴る前に話が終わらなかった場合は、最後の話題をまとめて終え、必要であれば授業時間外にも来てよいことを伝えました。

 

カンファランスの後にすること

 私は、生徒に修正を加えた作文の提出期限を伝え、クラス全体でカンファランスの進め方について振り返りをしました。生徒は、5分間自分の書くことについて話し合ったほうが、私が作文に書き込んでいたコメントよりもはるかに多くの学びがあったとはっきり述べました。

これまで私は、授業時間外でも書くことについて話したい生徒にはいつでも対応すると伝えていましたが、それを実際に活用する生徒はほとんどいませんでした。ところが、授業内でカンファランスを経験したあとでは、私の申し出を利用する生徒が大幅に増えたのです。生徒は、カンファランスの効果を自分で体験したことで、その後は自分の時間を割いてでも私と話そうとする意欲をもつようになったわけです。

 

授業時間にカンファランスをする価値がある理由

私の授業は平均して30人ほどの生徒がいるため、カンファランスにはかなりの時間が必要です。生徒一人ひとりとカンファランスを行うために、55分の授業を三回まるごと使い、私自身もかなり集中したエネルギーを注ぎました。それでも、その効果は十分に時間をかける価値がありました。

個別に焦点を絞った教え方をすることで、生徒はカンファランスで学んだ内容に注意を向け、実際に書くことに活かそうとする姿勢が強まりました。その結果は、初稿と修正後の作文の点数の差にすぐ表れました。

私は、生徒の作文にこれまで書いてきた短くて読みにくいコメントよりも、はるかに明確にフィードバックを伝えることができました。

生徒は、クラス全体の前では聞けなかった、あるいは聞こうとしなかった書くことに関する質問をすることができました。そのおかげで、私自身も書くことの教え方をどう改善すべきかをより深く理解できました。

生徒とのカンファランスには、思いがけない結果として、クラスの文化が大きく変わるという効果もありました。今振り返れば、生徒一人ひとりと話し、それぞれの必要に耳を傾けることが互いの関係性を良くするのは当然のことですが、教師が日々直面する多くの仕事の中では、数分間のつながりがもつ大きな価値を忘れてしまいがちです。

 

出典・https://www.edutopia.org/article/5-minute-writing-conferences

(この記事の執筆者Jori Krulder先生は20年の経験をもつ高校英語教師で、他の教師との交流を通じて授業への意欲を新たにしてきました。サンディエゴの都市部で4年間英語と読むことを教えた後、北カリフォルニアの農村部の高校に移り、チコ州立大学で教育学の修士号を取得しました。彼女の生徒たちは、よく読み、よく書き、よく話し合います。最終的な目標は、生徒が自立して「理解し」「理解してもらえる」力を身につけることです。

詩や文学、生徒の学び、教師の成長を支えることへの強い関心から、EdutopiaやTeaching Channelなどに記事を書き、文学教育の書籍にも章を寄稿しています。)

 

★欧米では、書くことを教える教師(writing teacher)と読むことを教える教師(reading teacher)が別々に存在する場合があります。いずれも、生徒がたくさん書いたり、読んだり、そして書いたり読んだりしていることに的確なコメントを受け取ることで書く力と読む力が伸びる最大の要因であることを理解しているので、ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップを実践している教師が多いです。日本では授業時間内に、生徒たちがひたすら書いたり、読んだりする時間を確保しているでしょうか?

 

★★「作文の振り返りとカンファランスへの準備」のプリントに含まれている質問:

・評価基準で最高点を取るために必要な作文の要素は何ですか。自分の言葉で書いてください。

・自分の作文にどんな点数を付けますか。その点数を選んだ理由を、評価基準の言葉を使って説明してください。

・作文を改善したい点を挙げてください。

・作文の中で、あなたが最も誇りに思う部分はどこですか。理由も書いてください。

・作文の中で、教師に手伝ってほしい重要な改善点を一つ挙げてください。

・修正のための計画は何ですか。(これはカンファランスが終わるまで書かなくていいです)

2015年2月21日土曜日

教師と生徒の一対一のカンファランスも多様にある



出典は、Let's Talk: Managing One-on-One, Peer, and Small-Group Conferences, by Mark Overmeyer の 「第2章 一対一のカンファランス」です。

22 生徒が反応・行動を起こせないフィードバックは価値がない! ~RWの場合は、 読まれない本、読まれない文字と同じ。読まれた上で、かつアクションを起こしてもらってはじめて価値が生まれるのがフィードバック。
 20年もカンファランスをしているが、まだ改善中、としか言えない。 ~ それほど、奥が深く、面白いもの!!

25~26 カンファランスのときに投げかける言葉のリスト

26~27 何を教えたらいいかを、どう決めるのか?

27 全員にカンファランスする時間をどうやって確保するのか?

○多様なカンファランスの仕方:
28 ・チェックイン・カンファランス ~ミニ・レッスンのフォローアップのチェック
29 ・事前に文章を読んでおき、何を話したいのか事前に見当を付けておく ~準備に時間がかかる
   ・子どもにカンファランスを主導させる ~ 長期的には、これが一番
   ・クラスの真ん中でカンファランスをする ~ カンファランス自体に他の生徒を教える効果をもたせる
   ・子どもたちとのふれあいすべてをカンファランスと捉える

30 作家ノートから見えてくること。話し始める前に、かなりその子のことを知れる。それもベースにしながら、話していく。

31~33 一人の生徒を通じて、カンファランス中にしていること・考えていることを明らかにしてくれているので、わかりやすい。 ~ こういうやり取りを示してくれるとわかりやすい!!

34 一対一のカンファランスの進め方 ~ 『リーディング・ワークショップ』に詳しく書いてありますので、参照してください。
    ・いい点を見つけて、指摘する
    ・教えることを探す
    ・実際に教える

37 記録を残すことの大切さ
41       ・いい点の記録 ~ プロセスとプロダクトの両面で
    ・教えられること~ プロセスとプロダクトの両面で
              ・カンファランス後に取り組めること

2012年5月11日金曜日

カンファランス


今年度も1ヶ月が過ぎ、WW&RWの実践は順調に進んでいますか?
その核となるのは、なんといってもカンファランス。

以下、2010年8月29日に実施したWW研修会で甲斐崎博史さんが担当したカンファランスのワークショップから、その「極意」を紹介します。

まず、カンファランスは「子ども自身の感想を聞いたり、寄り添ってその作品についておしゃべりする」ことと捉えることです。
 そのために、
  1.いい読み手になる
  2.寄り添う 
  3.共に考える
の3つを押さえます。カンファランスの技術はもちろん大事ですが、その前段としてこれら3つのスタンスを押さえるだけでカンファランスの効果はかなり上がります。
 これらによって、以下のような環境や関係が築けます。
・       子どもたちは安心でき、
・       クリエイティブな環境ができ、
・       子どもたちは相談できる/悩みを聞いてくれる相手だと思ってくれる。

カンファランスの具体的な進め方★としては、上記のスタンスを押さえながら
1)いいところは具体的にほめる (よく読めば必ず一つや二つはあるはず!)
2)わからないところ/もっと知りたいことは質問する。
 3 )  改善する必要があるところは、(1)質問するか、(2)選択肢を提供するか、(3)提案する(否定したり、命令することは避ける)

カンファランスをする際の視点としては、
  ・カンファランスの前にしたミニ・レッスン
  ・指導要領、評価規準
  ・その子の抱える課題
  ・どんな書き手を目指すのか
  ・勇気づけ、意欲づけ、動機づけ
  ・作家のサイクル、表記、構成、題材、文章表現
などです。

 なお、個別のカンファランスでは、必ず(無理に)改善点を質問の形で提示する必要はないことや、さらに上記の1)や2)もなしに「見守る、観察する、待つ」という接し方も「あり」であることも紹介されました。「見守る、待つ」は、教師にとっても生徒にとっても極めて能動的な接し方と捉えることができるからです。

 以上は、WWのカンファランスについて書いてきましたが、RWの場合も、スタンス、作り出す環境や関係、進め方、視点など、ほとんど変わりません。詳しくは、『リーディング・ワークショップ』の第6章をご覧ください。


★ ここでは「大切な友だち」のアプローチ(『作家の時間』の69~73ページ)も、そのまま使えます。小学校中学年以上なら「大切な友だち」を練習して身につけることで、教師によるカンファランスと引けを取らないぐらいに効果的なピア・カンファランスができてしまいます。
  「極意」の最後は、生徒たちを「カンファランスの対象」としてだけでなく、「カンファランスし合える人」と捉える方が、生徒にとっても、教師にとっても、そして社会にとってもプラスということです。

2015年1月30日金曜日

カンファランスの新たな可能性 (その1)



先週、Let's Talk:  Managing One-on-One, Peer, and Small-Group Conferences,  by Mark Overmeyer を読みました。作家の時間の中でのカンファランスをテーマにした本です。こういう本が続々出続けているのが、アメリカのWWとRWの世界です。(刺激され続けてもう16年になります!)

ご存知のように、WWとRWの中でカンファランスが占めるウェートは極めて大きいです。
ミニ・レッスンでも、共有の時間でも、教師はしっかり教えますが、何といっても大半の時間はひたすら書くないし読むに設定してありますから、教師が力点を置くべきもカンファランスです。

それについて、もう一度見直し、そして新たな可能性を模索しようというのが、この本(今回の連載)です。左側の数字は、本のページ数です。

6 話すこと(=カンファランス)のメリットには、どんなものがあるか? ~ 読み手に置き換えられる??
1.生徒の書き手としての興味・関心、こだわり、歴史などが出される。
2.自分の書いていることについて降り返させる。 フィードバックは自分にも戻ってくる!! 誰の作品にも(書き手にも)影響を及ぼす。
3.書き手のコミュニティをつくるのに役立つ。教師だけでなく、クラスメイトからアドバイス、肯定・確認、サポートが得られる。
4.話し合いを通じて言葉、作家の技、言語事項等を教える。

7 でも個別カンファランスに固執する限りは、負け戦です。罪悪感をもつだけの人も?!(なかなか一人ひとりに対応できませんから!)中には、最初から踏み込めない教師も。

 もしカンファランスの目的が、書き手のことを学び、書き手をガイドし、そして自立した書き手として前進させること(to learn about and guide writers, and move writers in powerful ways)なら個別カンファランス以外の方法が考えられる。具体的には、教師と複数の生徒たちや、生徒同士のピア・カンファランス ~ RWにもそのまま当てはまる?

8 この本で紹介するのは、
①     伝統的な、教師と生徒の一対一のカンファランス
②     教師がリードするグループ・カンファランス
③     教師がリードするクラス全体のカンファランス
④     2人の子どもが行うピア・カンファランス
⑤     複数の子どもたちが参加するレヴュー・カンファランスで批評しあう

 多様な方法を提供することで、多様なニーズに応えることができる。子どもたちが選べるようにすること、主体的に取り組めるようにすること、最終的にはよりよい書き手(自立した書き手)になるために、方法を活かせることが大切。 読みの場合も同じ?!

 なお以上の中に、教師が事前にシナリオを描く「指導案」や「活動」という発想は一切ありません。すべて、子どもたちのニーズに応じて行われます★。「指導案」や「活動」ありきの授業をしている限りは、子どもたちが教師の顔色を伺う「授業ごっこ」「学校ごっこ」が続くだけです。何とか早くこれから脱しないと、子どもたちのイキイキした学びをつくり出すことができません。


★ 英語では、これにresponsive teachingという名称があります。日本語ではありますか? おそらく概念自体(つまり、子どもたちや学生のニーズに応じて教えること)がないので、存在しないのではないでしょうか?

2010年8月20日金曜日

低学年へのカンファランスの方法

 コロンビア大学のティーチャーズ・カレッジの読み書きプロジェクトを率いるルーシー・カルキンズ氏は、ドナルド・マレー氏の15分間のカンファランスを受けるために、月に一度、片道3時間30分も車を走らせていた、という有名な話があります。その年には、合計で10回ぐらいのカンファランスを受けたようですが、その10回のカンファランスが、書き手になる、ということを教えてくれたと言っています(The Conferring Handbook、IVページ)(Lucy Calkins, Amanda Hartmen, Zoё White, and The Unit of Study Coauthors、Heinemann, 2003)。

 (★ドナルド・マレー氏は、ピュッリツアー賞も受賞した優れた書き手ですし、ライティング・ワークショップのような教え方に多大なる貢献をした人です)。

 15分のために、片道3時間30分も運転したというこのエピソードを語ることで、それだけカンファランスが大切だということを言いたかったのだと思います。

 このエピソードが書いてある上の本では、前回のブログで紹介した(1)観察して、(2)教えることを決めて、(3)教える、というカンファランスの要素にのっとってーーそしてこの3つの最後に(4)つなげる、という要素もいれてーー、カンファランスの具体例が数多く書かれている本です。カンファランスの具体例の本と言ってもいいと思います。対象の子どもは、主に低学年です。

 上の4つのカンファランスの要素は、どのカンファランスでも必要だと思いますが、教え方にはいくつかの方法があるようです。この本のカンファランス例を見ていると、カンファランスの内容や方法が、いくつかの大きく分類され、それが、それぞれのカンファランス例に、それぞれ明記されていることに気付きました。

 カンファランスの方法については、4つぐらいに分類しています。その4つの方法は、ミニ・レッスンにも使えると述べ、以下のようにまとめています(VII - VIIIページ)ので、そのメモを共有します。

(1)低学年で使う頻度が高いのは「先生が導きつつの練習」

教師が教えたいことを伝え、子どもがそれをしてみるようにする。そのときに、その子がそれをできるように(あるいはより上手にできるように)一歩一歩導いて行く(簡単な助言をしたり、足場/土台をつくっていくような感じで)。できるようになるにつれ、先生の導きを減らす。そして終われば、今したことに名前をつけて、今後も使っていくように言う。

(2)「先生がやって見せる」

 教師が教えたいことを伝え、それをやって見せ、子どもに観察させる。それから子どもにバトンを渡す(子どもの番とする)。(このときに上記の「先生が導きつつの練習」も使うこともある)。そして終われば、今したことに名前をつけて、今後も使っていくように言う。

(3)「やることをはっきりと分かるように伝え、その例を示す」

 とてもとても短い講義のように、教えることを説明して、それについての例を示す。例えば、「書き手は写真家のようなもので、牧草地すべての写真を取る代わりに、焦点を決めて写真をとる」、そんな感じです。そのあとに、例えば、大きなトピックに取り組む中で、その中にある点に焦点を絞って書くことにしたクラスの子の例などを示す。

(4)(低学年ではあまり使われないが)「調べる/探求する」
 あることについて調べて/探求してみて、そこから学べる原則を推定する。





 

2010年7月9日金曜日

カンファランスのための情報を集める ~ (難しい?)カンファランスの記録

 7月2日のWW便り「ごくごく短時間でできるカンファランス」について、以下のようなコメントをいただきました。

これなら簡単にやれそうですね。
あるいは、たまにはこういうのをやって、2日ぐらいで全員のをチェックするというのもいいかもしれません。
とにかく、一つの方法だけに固執するのではなく、いろいろ試してみる中で、自分にとって(というよりも、子どもたちにとって)ベストの方法(それも複数あっていい)を見つけ出していくことのような気がします。

→ このコメントを読んでいて、5分でクラス全員の状況を把握する、という方法があるのを思い出しました。ナンシー・アトウエルは出席の確認をするときに、その返事とともに子どもたちがその日に取り組む予定を伝えるという、5分できる「クラスの学習状況確認」をすると書かれています(『ライティング・ワークショップ』 ラルフ・フレッチャー、ジョアン・ポータルピ著、新評論、2007、125~126ページ)。

 『作家の時間』(プロジェクト・ワークショッップ編、新評論、2008年)の97ページには、「クラスの作家たちの進行表」の写真があります。これを使って、子どもたちは自分で、現時点で何をしているかを先生にもクラスメイトにも伝えることができます。

 「クラスの学習状況確認」も「クラスの作家たちの進行表」も、どちらもが、カンファランスをする前の情報にもなります。

*****

 効果的なカンファランスをするための、かなり大切な情報として、「今までのカンファランスの記録」や「教師が書き手として個々の子どもについて知っていること」があると思います。

 しかし、私自身は、実はずっとカンファランスの記録には苦戦中です。

 WWやRW関係の本を見ていると、カンファランスの記録の様々な方法が載っていて(カンファランスに特化したいい本もけっこう出ていますので、またいつか紹介できればと思います)、「これもよさそう」、「あれもよさそう」と思うのですが、いざ、自分がとなると、なかなかうまく「続かない」のです。

 自分にとってしっくりくる記録の方法を見つけるまでには、ある程度、試行錯誤が必要みたいなのですが、私はまだなかなかうまくいきません。

 そこで、多くの本に共通している記録のポイント(と思える点)から、最低限のことを二つ、自分に言い聞かせたいと思います。

★ 誰に、いつカンファランスをしたかが分かるようにすること。

→ 先生は、平等にカンファランスしているつもりでも、記録してみると、けっこう偏りがあるのが分かることが多いです。

★ 誰に何を教えたかを記録しておくこと。

→ 最近、これは教師のために必要ではないかと、思うようになってきました。つまり、何を教えたかという記録を見ることで、教師が「書き手を育てているようなカンファランス」をしているのか、それとも「今書いている作品だけをよくするようなカンファランス」をしているのかが、分かると思うからです。

 もちろん、今書いている作品をよくするための対話を必要だとは思います。しかし、教えたことが、今、取り組み中の作品にをよくすること「だけ」だと、これで書き手が育つのか? と考えてみる必要がありそうです。

2010年8月13日金曜日

(1)カンファランスは問題解決ではない と (2)カンファランスの4つの要素

 こんにちは。今日のWW便りは、見出しに書いた2つのトピックを簡単に書きます。

(1)カンファランスは問題解決ではない

 自分でも「あ、違う」と感じつつも、リーディング・ワークショプ中に、学習者が分からないところの問題を、私が必死でなんとか解決しようとしたことがあります。これでは読み手を育てていない、私が解決するのではなくて、学習者が自分で解決できるような術を教えなくては。。。と思いました。

 もちろん、ライティング・ワークショップも、今書いている作品をよくするだけでなくて、書き手を育てることを目指すので、上と同様のことをしないように注意しなくては、と思います。

 そんな私ですので、「カンファランスとは、教えることであって、問題解決をすることではない」という言葉を見て、ドキっとしましたし、まさにその通りだと思いました。

 これが出てきたのは、Writing Workshop: Working Through the Hard Parts (And They're All Hard Parts) という本 (National Council of Teachers of English, 2001) の157ページで、157-158ページにそのことが説明されています。この本は、Katie Wood Ray という人が書いています。この人も、教室の情景がはっきり分かる具体的ないい本を何冊も書いています。

 157-158ページによると、カンファランスの目的は今ある問題を助けることではないし、教師の助けに生徒が頼ってしまうようになってはだめだということです。学期の初め頃には、よく問題を教師に解決してもらおうと、もってくる生徒がいるそうですが、「それは自分で解決できない? だって、自分で解決できるようになることは必要なんだよ」とまず言うようです。

「どうしても、本当に、教師の助けが必要」な生徒が、「カンファランスを希望する人の名前」を書く紙に自分で名前を書き込めるようにしている教室もあるそうです。しかし、このようなカンファランスをする場合、生徒が教師に依存してしまわないように注意する必要がありますし、そのようなカンファランスの数はごく限られたものにしておくことも必要なようです。

(2)カンファランスの4つの要素

 上の本の160-169ページには、カンファランスの4つの要素が書かれています。

 この4つの部分の最初の3つは、(1)観察して、(2)教えることを決めて、(3)教える、です。この3つは、ルーシー・カルキンズの書いた、書くことの教え方についての本、The Art of Teaching Writing を基にしています。

 ルーシー・カルキンズの書いた、読むことを教えることについての本『リーディング・ワークショップ』(新評論、2010年)で、95−106ページにこの3つの要素の「読むこと版」が詳しく書かれていますので、これを読むとイメージしやすいと思います。

 この3つに加えて、Katie Wood Ray は、4つめに「カンファランスの記録を取る」ことを挙げ、記録を取ることがいかに大切かを力説しています。

 多くの人が言っているように、Katie Wood Ray も、それぞれの教師が自分にとって使いやすい記録の取り方をつくることが必要、でないと結局記録しなくなるから、と言っています。

 Katie Wood Ray の場合は、ほとんどのカンファランスの終わりに、「じゃあ、○○○○のことを書いておくね」と言って、カンファランスで教えたことをまとめるとともに、記録しているようです。

 なお、一人一人の子どもの記録が通して見やすようにしておくというのも大切だと言っています。
 

2017年10月13日金曜日

書き手を育てるピア・カンファランス


教師によるカンファランスと、子どもたち同士が行うピア・カンファランスは、あまりに効果的なので、これまでも繰り返しこのテーマについては扱ってきました。
(http://wwletter.blogspot.jp/ の左上の検索欄に「ピア・カンファランス」を入力して🔍をクリックしてください。)

ピア・カンファランス(およびカンファランス)のいい点は、フィードバックを受け取る側はもちろん、提供する側にも学びがあることです。

http://wwletter.blogspot.jp/2010/05/ww.html のような環境が整っていますから、子どもたちは極めて主体的に学び、書き手(や読み手)に成長していきます。

今回は、フィードバックを提供することに焦点を当てた情報提供です。

受け入れられるフィードバックをするには、それなりのスキルが必要です。(自分が言いたいことだけを言っていては、受け取る側はいい気持ちがしませんし、そのほとんどを受け取ってくれない可能性も大です!)
その意味では、教師が子どもたちに対してカンファランスする際に使うスキルがすべて必要であることを意味します。★そのポイントについては、『リーディング・ワークショップ』(ルーシー・カルキンズ著)の第6章に詳しく書いてありますが、このプログで紹介した

ピア・カンファランスを通して、フィードバックを提供する側が身につけるスキルには(ライティング・ワークショップの場合)、
・読み手として、作品や書き手を意識する。
  ・効果的な書き方にはどんな特徴があるかを意識する。
  ・書くときに使う言葉を使いこなせるようになっていく。
  ・編集者としての目を、自分が書くときに応用できるようになっていく。
   (書くときに自分の中の編集者と、自問自答ができるようになる!)

だからと言って、子どもたちみんながすぐにいいフィードバックが提供できるわけではありません。練習が必要です。(教師ががんばって教え続けるよりも、子どもたちががんばって練習できる機会をできるだけたくさん提供することの方が、授業としてははるかに価値があり★★、これこそがアクティブ・ラーニングと言えるものです!)

それでは、具体的に、どのようにその練習の機会とサポートをしたらいいのでしょうか?

○ チェックリストを提供する ~ リストの数や内容等は、対象年齢等で柔軟に対応する。(特に小学校低中学年は、少なくとも初期のうちは不可欠と捉えた方がいいでしょう。)

○ 「好きなこと、~ならよかったと思うこと、疑問に思うこと」 ~ 作品にフィードバックを提供する際は、以上の項目を一つずつ提供することを念頭に入れて読むと、「間違い探し」にならなくて済みます。(その意味では、教師こそが使える方法です!!)★★★
ちなみに、この方法は、「大切な友だち」=カンファランスのアプローチにとても近いです。

○ 小学校高学年以上の生徒には、フィードバックをする際に大切にしたい点をリストアップさせてから、やってもらいます ~ リストには、テーマ、構成、文の構造/滑らかさ、言語規則などが含まれます。
 どの段階でピア・カンファランスをするかによって、力点は違ってきます。まだ下書き段階なら、内容やテーマが中心になります。かなり修正を加えた段階なら、構成や文の構造や滑らかさに力点が移ります。清書段階のものは、言語規則ー=校正が中心です。その意味では、フィードバックを提供する側よりも、受ける側のニーズこそを重視する必要があると言えます!

○ 建設的な話し方とは・・・ ~ 「ピア・カンファランスをするときにしていいことと悪いこと」
 まずは、フィードバックをする側が言ったり、したりしてはいけないことからリストアップします。「これ、最悪!」「この書き始めじゃ、続けて読むは気しないよ」など。
 次に、望まれる言い方をリストアップしていきます。「この点についてとても興味を持ちました。もう少し詳しく教えてもらえませんか」「書き始めはとても惹かれますが、他のよりいい方法はないかなとも思いました」など。

○ 具体的に指摘する ~ 読み終わってから、「とてもよかったです」では、何がよかったのか、さらに何をよくできる可能性があるのか、さっぱり分かりません。ピア・カンファランスを通じて、具体的なポイントを指摘できる目を養うことは、イコール自分が書いているときに、それらの点を意識することを意味します。

子どもたちは、自分の作品よりも、他者の作品に対しての方がクリティカル★★★に見られるものです。

私自身が、ピア・カンファランスを普及する段階で学んだことを最後に紹介します。もう10年以上前のことですが、ピア・カンファランスのやり方として、「批判的な友だち」という方法を紹介しました。しかし、その言葉のまずさによって、子どもたちはあまりやりたがりませんでした。いくら、「批判的なんだけれども、建設的・前向きに接してフィードバックをしてください」と言ってもダメでした。そこで、criticalという言葉には、「大切な/重要な」という意味もあることを思い出し、名称を「大切な友だち」に変更したところ、子どもたちはすぐに受け入れてくれました。誰も、批判的には接したくないようです。いい点や改善点に焦点を当てた方が、積極的に取り組めるのです。誰もが褒めてもらいたいし、さらに良くなりないのですから。ということで、使う言葉が大事であることを思い知らされました!



★ 教師は自分だけがカンファランスをするのだとがんばっていては、極めて重要な学びの機会を子どもたちから奪い去っていることにもなりかねない、ということです。

★★ だからこそ、ライティング・ワークショップやリーディング・ワークショップは極めて効果的な教え方なわけですが、学びを最大化するために教師の責任(役割)と子どもの責任(役割)を見直すのに役立つ「責任の移行モデル」を紹介する『「学びの責任」は誰にあるのか』(ダグラス・フィッシャー&ナンシー・フレイ/吉田新一郎訳、新評論)が来月出版されますので、参考にしてください。

★★★ ピア・カンファランスをしながら、クリティカルな思考力も身につけられるというお得な方法です!! ここでの「クリティカル」は、単に「批判(的)」ではありません。まずいところも、いいところも両方です。