メリッサ・クインビー先生による “Nurturing
Lifelong Readers(自ら読み続ける人を育てる)”は、読解スキルやテスト対策よりも、「自ら読み続ける人(lifelong reader)」を育てる教え方について整理したエッセイです。著者のクインビー先生は、自身の読書体験や教室での実践をもとに、子どもたちが「読むことを好きになる環境」をどうつくるかを紹介してくれています。
クインビー先生は、子どもが一生読み続ける読み手になるためには、読解スキルの指導だけでは不十分で、
- 本との豊かな出会い
- 読書を楽しむ時間
- 本について語り合う経験
- 自分で本を選ぶ自由
が欠かせないと考えています。
1. Classroom Library(教室文庫)が重要
クインビー先生は教室文庫を単なる本棚ではなく、「読者を育てる土壌」として捉えています。子どもたちが
- 気軽に本に手を伸ばせる
- 興味に合う本を見つけられる
- 新しいジャンルに出会える
環境づくりが大切だと述べています。
2. Passion Conferences(情熱を引き出すカンファレンス)
特に興味深いのは、クインビー先生が重視する読み手の情熱を引き出すカンファランス(生徒との一対一の話し合い)です。教師が子どもに
- 今どんな本を読んでいるのか
- 何に興味をもっているのか
- どんな本が好きなのか
を尋ねます。これは評価のためではなく、「その子を読者として理解する」ための会話です。これは、長年日本でも「見取りは大切」と言われながら、その具体的な方法は示されてきていませんでしたが、最も効果的な方法の一つと言えます。
3. Read-Aloud(読み聞かせ)は年齢が上がっても有効
クインビー先生は読み聞かせを低学年の子ども向けの活動とは考えていません。教師が魅力的な本を紹介し、読書の喜びを共有することで、
- 新しい本との出会い
- 読書のコミュニティーづくり
- 読書への意欲向上
につながると考えています。★
4. Independent Reading(ひたすら一人で読む時間)の確保
子どもが読み手になるには、読むことについて学ぶだけでなく、実際に読む時間が必要です。そのため、毎日の読書時間の確保はもちろんですが、自由選択による読書と読書への没頭を重視しています。
クインビー先生は、最後に彼女の4年生のクラスを羽ばたいていった生徒たちの様子を紹介してくれています。
ここ数年、かつての教え子たちから、夏休みの手紙や思いがけないメールが届くことが増えました。ある子は、私が夏に読んでいる本のリストを教えてほしいと連絡してきました。別の子は、これから4年生になるいとこのために、おすすめの本を知りたいと言ってきました。また最近では、「Meet
Someone New Monday」や「First Chapter Friday」★★が懐かしいと伝えてくれた子もいました。そして、本が発売される何か月も前から予約していて、その本がようやく届くことになったと、わくわくした様子で知らせてくれた男の子もいます。
こうした話を聞くたびに、子どもたちの読書生活が豊かになり、その楽しさが教室の外まで広がっていることを感じて、とてもうれしくなります。私が受け持った4年生たちは成長し、連絡を取り合う機会も少なくなりました。それでも私は、彼らが今も本を読み続けているだろうと思っています。そして、教室にいた頃と同じような読書への情熱を胸に抱きながら、それぞれの人生を歩んでいるのではないかと想像しています。
このエッセイは、リーディング・ワークショップの教え方をよく表しています。特に、
- 教える側の論理ではなく学ぶ(読む側)の論理
- 一斉指導より一人ひとりの読書生活
- 評価より対話
- 作品について教えるより読者を育てる
などの点に注目してください。
これら4つの具体的な方法については、『読書家の時間』と『リーディング・ワークショップ』を、特に、カンファランスについては、ナンシー・アトウェルの『イン・ザ・ミドル』やピーター・ジョンストンの『言葉を選ぶ、授業が変わる!』などをご覧ください。
あなたが、上の4つ以外に大切にしていることは何ですか?
紹介者が付け加えたいと思ったのは、「効果的な読み方で子どもが身につけていないものは教える」です。効果的な読み方については、『「読む力」はこうしてつける』とエリン・キーンの『理解するってどういうこと?』を参照ください。
出典・https://choiceliteracy.com/article/nurturing-lifelong-readers/
メリッサ・クインビー先生は、マサチューセッツ州で4年生を教えている教師です。子どもたちが書く力を伸ばし、よりよい書き手になれるよう支援することに情熱を注いでいます。また、これから読みたい本のリストには、いつも中学年向けの児童文学(ミドルグレード小説)がたくさん並んでいます。自身のウェブサイト「QUIMBYnotRamona」で情報を発信しています。
★これらの目的を達成するための読み聞かせは、日本でよく行われている典型的な(学齢期前の子どもたちを対象にした)読み聞かせとはやり方が違います。多様な目的やニーズに合わせた読み聞かせの方法については、『読み聞かせは魔法!』を参照ください。
★★「Meet Someone New Monday」は、「新しい人と出会う月曜日」という意味で、人物伝絵本(picture-book biographies)や伝記の読み聞かせを通して新しい人物に出会う活動のことです。「First Chapter Friday」は、「金曜日の第1章読み聞かせ」という意味で、本の第1章だけを教師が読み聞かせて、続きを読みたくなるようにすることです。
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