2011年2月25日金曜日

続・年間計画の立て方

 WW便りの2010年8月4日号で「年間計画の立て方」を扱いましたが、追加情報です。

1) そこに書いてあったように、年度の最後を明確にした上で「逆さまに計画する」というのはとてもいい方法です。ぜひ、試してみてください。

2) 年度の最終ゴールを明確にした後は、指導要領および教科書を眺めて、学年で「書くこと」に関して押さえないといけないことをリストアップします。(それは、教師として最低限、押さえないといけないことだからです。時間的には、10~15分あればできます。)
そのリストにもれていて、教師としてぜひ子どもたちに教えたいこと/提示したいこと/子どもたちと一緒に挑戦してみたいことがあったら、それもぜひ加えてください。
 それでもリストが物足りないと思う場合は(そうなんです、書くことだけでは年間に扱わないといけない項目はそれほどないのです!)、「読む」領域のものをリストアップしてもいいかもしれません。下の4)で出てくるように、読むことと書くことは連動していますから、読むことに重きはおきながらも、それについて書くチャンスを提供することができてしまいます。

3) 3番目は、最終的な到達点に至るまでに、2番目であげた各項目を、どのような順番で並べるのが一番効果的かを考えます。(必ずしも、教科書どおりの配置がいいとは限りません。これまでに、並べられてある単元/題材が何らかの意味があると感じられた方はいらっしゃいますか? あるいは、その順番にやっていると確実に子どもたちの力がつくと思われた方は? 結果的に、すべて押さえるのですから、文科省も、教育委員会も、管理職も、保護者も、文句は言わないでしょう。順番をあえて変えることで、よりよく学べるようにもなるのですから。)

 項目(その多くは、ジャンル)を自分がベストと思える順番に並べると、基本的には年間計画は出来上がりです。簡単だと思われませんか?

4) 次のステップは、それぞれの項目(ジャンルないしユニット)をどう扱ったらいいかというユニット単位の計画(流れ)を考える必要があります。

 基本的には、その項目(ジャンル/ユニット)に浸りきる体験から入るのが、一番効果的です。と同時に、教師が読み聞かせ等で、好きなのを紹介しまくります。これができるためには、実際のユニットが始まる前の2~3週間は、子どもたちが浸りきれるために、そのジャンルの本や資料を集めまくることが必要になります。(読むことと書くことは連動しています。プロの作家たちでさえ、関連する本を読み漁るところから始まる人が少なくありません。)

 いいモデルとなるものがたくさんあると、子どもたちはそれらを真似したり、参考にしたりして書けるようになっていきます。(もちろん、その中の一つとして教科書教材を含めることはできます。それを教師が本当に好きだったり、いいと思えたらですが。嫌いだったり、いいと思えないものは、子どもたちはすぐに見抜いてしまいますから、逆効果です。)

 子どもたちに浸りきってもらうために集めた本や資料の中で特に教師が好きなものやいい作品は、WW便りでも何回か紹介した「メンター・テキスト」としてミニ・レッスンやカンファランスのときに使えます。

 そのジャンル/ユニットが終わるころまでには、そのジャンルの作品を最低でも一つは提出させる義務を課すべきでしょう。

 ユニットを各月あるいは数週間単位で運営している間も、子どもたちには常に書きたいことを書くという選択は提供され続けます。それと並行して、ユニットで扱うジャンルに挑戦してみるということです。子どもたちの多くは、自分がどんなジャンルで花開けるのかわかっていませんから。(大人の多くもですが。)

 こういう流れで、計画を立てることは、楽しいことだと思われませんか?
 基本的には、私が教員対象の研修プログラムを立てるときも同じです。
 以上の流れは、対象に限らず使える方法だと思います。


★ 「逆さまに計画する」ことに忠実ならば、目標を設定した後に、それを証明するための評価の仕方は何かを考え、その後にミニ・レッスンを含めて流れを考えていきます。WWの場合は目標と評価の仕方が特定のジャンルでの作品の提出という形で同じなので楽かもしれません。そしてそれをどう評価するかということで、評価基準表の作成がこの段階に入ってきます。(もちろん、テストで85点以上というような設定の仕方も「あり」です。その際、教え終わってからテストを作るのではなく、この段階で大方を作ってしまうことが大切になります。なお、テストで測れることには限界がありますから、常に他の評価方法と併用することが求められます。逆に言えば、手がかかる割には子ども達の能力を適切に離れる手段とは言い難いテストに、時間をかけるのはもったいないとも言えます。しかし、テストへの信仰は相変わらず教育界を覆いつくしていますから、やらないわけにはいかないというのであれば、5分の1~10分の1のウェート付けしか割り当てないのが、子どもたちにとっても教師にとってもいいと思います。)WWでは、作品を作り出す過程を作家ノートや教師によるカンファランスのメモ等で明らかにできますからとても効果的です。それは、自己評価ができるようになるために。第三者に対して説明をする際にも。

2011年2月18日金曜日

「WWのいい本を書いてください!」

「書くことを教える先生は、3つの分野の専門知識に頼って教えている。その3つの分野の専門知識 とは、(1)生徒を知ること、(2)どうやって教えるかを知っていること、そして、(3)書くことそのものについて何かを知っていることである」(ラルフ・フレッチャー)。

 今週の「WW便り」に何を書こうかと考えつつ、本棚から何冊か引っ張りだして見ているうちに、『ライティング・ワークショップ』の共著者の一人の ラルフ・フレッチャー氏の、上に引用した言葉に2回も出合いました。

 それでせっかく2回も目にしたので、今週の「WW便り」はこの言葉から書きます。

 この言葉を考えていて思った一つの結論は、「皆さん、ぜひ、WWのいい本を書いてください!」です。

 その理由は、今日のブログの最後に書くことにして、まずはこの3つの専門知識について私が思ったことを書きます。

(1)生徒を知ること

 たしかにカンファランスをするためにも、ミニ・レッスンで何を教えるかを決めるためにも、生徒を知ることは基本だと思います。

 それは、WWで教えるという大きな根のところに、「生徒に/生徒と、学ぶ」、「教室に学ぶ」ということがあるからではないかと思います。

 このブログでも何度か紹介した、ナンシー・アトウエル氏も、以前(WWを始める前)の自分について、「自分のつくった素晴らしいカリキュラム/授業案を検討し、その素晴らしさがはっきり分かるようにリサーチをし、そのカリキュラム/授業案をよりよくすることに熱心だった、しかし、自分が教室で学ぶことはなかった」というようなことを書いています。

 そして現在の自分については、「教室で学んでいる。生徒たちと私が共に学び、次に生徒が学ぶ必要があると思うことを教える中で、カリキュラム/授業案は展開していく。自分のリサーチからは自分の教え方の素晴らしさではなくて、生徒たちの素晴らしさが分かる」というようなことを述べています。

 WWの土台づくりと発展に大きく寄与した教育者のひとりであるドナルド・グレイヴス氏も然り、です。自分のエッセイ集の中で、以下のような面白いことを述べています。

 それは、自分(グレイヴス氏)が、先生たちが参観している中で授業をすると、先生たちは、グレイヴス氏の教え方を熱心に見て、そこから何か具体的ないい教え方を得ようとする、というのです。「しかし、それは短期では、確かに訳に立つ事もあるかもしれないけど、長期的に見ると、重要ではない」と彼は言います。

 自分が参観する立場にたったときは、自分は生徒を見る、とグレイヴス氏は言います。

 生徒がその授業をどう理解しているのか、生徒はその授業を自分の学びとどのように関連させているのか、ここを見ないと、教室の中で起こっていることは本当には分からないと言います。

 自分が教えるときだけでなくて、自分が誰かの授業を見るときにも、生徒を知る、ということが大切にされているように感じました。

(2)どうやって教えるかを知っていること

 私は英語を教えています。母国語の場合と外国語の場合のWWでは、おそらく違いがあると思うので、英語を教える仲間たちとは、そのことが時々話題になります。

 RWではガイド読みという教え方があります(詳しくは『リーディング・ワークショップ』8章126〜132ページをご参照ください)。

 外国語のRWでは、ガイド読み的なことはけっこう大切かな?と思ったりすることもあります。その関連で、この前、ガイド書き(?)という本を見つけ、自分のWWのクラスに参考になるかもしれない、と思い読み始めました。

 それぞれ自分の教えている教室は違うので、やはり「自分の今いる場」で、どうやって教えるかを知っているのは大切だと思いますし、そのための努力を続けていきたいと思います。

(3)書くことそのものについて何かを知っていること

 書き手が書き手を教えるWWなので、これも当たり前のことかもしれません。しかし、このことは、教師が書き手として成長していくことを、求めてもいると思います。

 「どうやって、教師が書き手として成長するの?」 という問いが浮かびます。もちろん、書くことだと思いますし、やはり教師も先輩の書き手から学んでいく必要があると思いますし、書き手仲間のコミュニティがあるといいですよね。

 ドナルド・マレーというピューリッツァ賞を受賞した作家であり、書くことを教えることに大きな貢献をした教育者でもある人がいます。

 彼が、書くことについて教えてくれている本があります。

 最近、「詩」を使って教えることにも興味がある私は、その本の中で、彼が詩の書き方について語ってくれている章にすっかり魅了されています。

 その本の中では、彼が自分で書いた詩を紹介しながら、その詩をどうやって書いて、どうやって直していったかという過程がはっきり示されています。もし、自分で詩を書くとすると、どうしたらいいのか、ということも、まるでマレー氏から、直接教えてもらっているようにはっきりと、分かります。

*****

 さて、ここまで書いて、私がWWについて多く学んでいる本は、欧米圏で出版されている本だということにお気づきだと思います。

 WW関係もRWも関係も、本当にワクワクする本が、英語ではたくさん出版されていますが、なかなか日本語のいい本に出合っていません。

 もちろん、私の勉強不足で出合っていないだけかもしれませんが、でも2010年の8月23日のブログ「番外編: WW出版事情」にも書かれているように、「現時点でのWWに関する英語と日本語の情報格差は、100対1以上あり、今のままでは広がる一方」なのです。

 このギャップを埋めるためにも、皆さん、ぜひWW関係の、日本語で読める、いい本を書いてください! いい実践を積み重ねつつ。

出典:

○ 冒頭の言葉が書いてあったのは以下の2冊です。
フレッチャー(Ralph Fletcher) 氏自身の本は、What a Writer Needs (Heinemann, 1992)です。もう1冊は、Jim Burke氏の書いた Writing Reminders (Heinemann, 2003)の 175ページで、フレッチャー氏の言葉として引用されています。

○ アトウエル氏は、氏自身の上に書いたような変化を、このブログでも紹介したことのある In the Middle (2nd edition),  (Boynton/Cook,1998) の3ページで述べています。

○ グレイヴス(Donald Graves)が上に紹介した授業参観について書いているのは、Teaching Day by Day (Heinemann, 2004)の82ページです。

○ まだ読み始めたばかりなので、おすすめできるかどうか分かりませんがガイド書き(?)の本として、Mary Sullivan の 
Lessons for Guided Writing, Grades 5 & Up (Scholastic, 2008) を読み始めました。

○ ドナルド・マレー氏ですが、人生、これからがときめきの日々』という日本語で読める本が出ているようです。上で紹介した本は、Crafting a Life (Heinemann, 1996)で、この5章で、詩の書き方をばっちり教えてくれています。この本は残念ながら邦訳は出ていないようですが、これも邦訳があるといいなと思える1冊です。

2011年2月11日金曜日

書くのをサポートする方法としてのアンケート

 子どもたちが書くのをサポートする方法として効果的なアンケート及びインタビューについて、今回は紹介します。
 中心的には、学年はじめのアンケートやインタビューをすることを通して行われますが、学年中を通してカンファランスや学期の区切りに再度行うアンケートなどの形で補充され続けます。(このアンケートを通して、教師に価値ある情報を提供してくれるだけでなく、本人たちも自分について知ることができます。さらには、子どもたち同士が相互に知り合い、いい関係を築けたり、互いにサポートし合うきっかけにもなります。)

●書くことに関するアンケート/インタビュー

1. 人はなぜ書きますか?(できるだけたくさんの理由をあげてください。)
2. あなたはなぜ書きますか?(過去1~2週間に書いたものを思い出してみてください。)
3. 学校以外ではどのくらい書きますか? 何のために?
4. 何について書くかはどう決めていますか?
5. 学校や家で書くことについてどんな気持ちを持っていますか?
6. これまでに一番よく書けたものは何ですか? それが好きなのはどうしてですか?
7. 書くことをどのように学びましたか?
8. あなたはこれまでに書かれてある本から書くことについて学んだことがありますか?どんなことを学びましたか? 書くことを学ぶのにいい本を知っていたら教えてください。
9. どんなテーマについて書くのが好きですか?
10. どんなジャンルで書くのが好きですか?
   □ 手紙        
   □ 詩
   □ 物語/フィクション
   □ 理科のレポート
   □ 社会科のレポート
   □ 自伝(思い出話)
   □ 写実小説
   □ ミステリー
   □ 戯曲
 特に、好きなのを一つ選んで、なぜ好きなのかを説明してください。
11. クラスメートによりうまく書くためのアドバイスをお願いします。
12. よいよい書き手になるためにどんなことを学びたいと思いますか?
13. あなたがよりよい書き手になるために、教師である私が助けられることはありますか?
14. 書き手としてのあなたについて、他に私が知っておくべきことがあったら是非教えてください。

      (出典: Guiding Readers and Writers Grades 3-6, Fountas and Pinnell, Heinemann, 資料47)

 また以下に紹介するのは、「読み」に関するインタビューですが、部分的に「書く」ことに変更して質問すれば、書くきっかけになる情報がたくさん得られることでしょう。

・ 好きなテレビの番組は?
・ 最後に見た映画は?
・ どんな物語が好み?
・ どんな音楽が好き? その理由は?
・ 友だちと行くところはどこ? なぜ、そこがいいの?
・ 暇なときにすることは何? なぜ、それがいいの?
・ 学校以外で読むときは、何を読む?
・ 家にある読み物にはどんなのがある?
・ 本以外に読むものはある? 雑誌とか、新聞とか、漫画とか?
・ 寝床で読むことある? どんなところで読むのが好き?
・ 学校に来るときの準備にどれくらいの時間をかける?
・ 学校の規則を一つ変えられるとしたら、何を変えたい?
・ 何か規則を加えられるとしたら、何を付け加えたい? なぜ?
・ 好きな教科は? 嫌いな教科は?
・ クラスの中のいい読み手は誰? なぜ、わかるの?
・ あなたは、どんな読み手?
・ これまでに読んだ一番いい本は何? 一番悪かった本は?
・ どんな本は読まない? なぜ?
・ 読んで気に入った本を、他の人に伝えるいい方法は?
・ いい本を見つける方法は? なぜ、それがいいの?
・ 教師や司書は、あなたが読みたがるようにするためにどんなことをしている?
・ 教師や司書がしていることで、あなたに読まなくするようにしていることはある?

    (出典: Making the Match: The Right Book for the Right Reader at the Right Time, Grades 4-12, by Teri Lesesne, Stenhouse Publishers, 2003, p. 16)

 最近、年度最後のアンケートを少し早めに実施したある先生は、「それをしたことで、こういうアンケートからいろいろとアイディアがわいてくる。カンファランスだけではなく、一斉のアンケートなどを通して子どもたち自身が考える「作家の時間」を良くするための方法など、子どもたちの声を幅広く集めていきたい。それが実践をさらにいいものにしていくと思う。次年度は定期的にやるようにする」と書いていました。

2011年2月4日金曜日

作家ノート、今のところ続いています

 今週のWW便りは私の担当だと分かっていたものの、今日がWW便りを書く日だったということを、さきほど、思い出しました! すみません。今、他校舎にいて、今日の予定を考えると、できれば今の時間にWW便りを書きたいと思います。

 しかし、WW便りを書く材料になりそうなものを持っていないのです。何かないかとカバンの中を見ると、このコンピュータと、昨日読み始めたポール・フライシュマンのSeedfolks という本が入っています(この本は『種をまく人』という題で邦訳がでています)。

 それで今日は自分の作家ノートと、このSeedfolksという本から考えた、作家ノートに書けそうなことの可能性について、書きます。

 1月21日のブログで、「やります宣言?」をした作家ノートですが、今のところ続いています。

 たしか、1月21日のブログを書いた翌日に買いにいきましたから、まだ2週間ぐらいです。


 いろいろと考えて、A5のルーズリーフにしました。その理由は「続けるため」です。

 自分の読書ノートと作家ノートの過去の挫折経験、そして読書ノートがようやく続くようになったことを鑑み、私には「実際に役立つもの」がないと、作家ノートも続かないのはわかっていました。

 サイズは小さめの方が持ち運びやすいと思いましたので、B5より小さいA5にしました。

 私は英語の教師なので、授業で見せるときもあると思ったので、英語の作家ノートにしようと思っていました。

 作家ノートが実生活に役立つ一つの方法として、授業で使えそうなことについてのページを作りたかったのです。ですから、ルーズリーフにしておくと、あとでページの移動が便利だろうと思いました。


 このおかげで、今までメモしないことをメモするようになりました。書き残しておかないと、いいアイディアだと思ったことも結局は忘却の彼方、というのは、今までよく経験してきたことですから。

 作家ノート関連の本を読んでいると、作家ノートに何を書くかについては、いろいろなアイディアがあるようです。例えば、好きな引用を書き留めておくとか、素敵な表現を書き留めておく、などもできるようです。ですから、今までしてこなかった使いかたもしてみたいと思いました。これも、ルーズリーフにしておくと便利かなと思いました。

 あとは、「実際に使うために」、英語の急ぎのメール以外は、つまり書くのに少し時間的余裕のあるメールなどは、作家ノートにメモしてみたり、場合によっては少し文章を書いてみたりするようにしています。本当の読者がいるメールの原稿なので、けっこう便利です。


 作家ノートを使い始めて思ったのは、私はページ上で、空間的に思考を整理するのがあまり上手でない、ということです。このあたりは、今後使い続けるなかで、どう変化していくのか、楽しみもあります。

 今、このブログを書きながら思いましたが、自分の変化(あるいはいつまで続いたか?)を知るためにも、各ページに、記入した日付をいれたほうがいいように思いました。

 それからもう一つ思ったことがあります。昨日読み始めたSeedfolks (邦訳『種をまく人』)ですが、この本の形式が面白いのです。アマゾンの日本語のページを見ると、「人種、年齢の異なる13人のモノローグで綴る」と説明してあります。

 何かを書くときに参考になる形式、例えば「複数のモノローグで綴る」など、こんな「役立つ形式」を集めるページが作家ノートにあってもいいのかなと思いました。それで、そういうページもつくってみます。


 さて、次回、自分の作家ノートについて、このブログに書くときには、私の作家ノートの「充実して、役に立つ内容のカテゴリー」を、いくつか紹介できることを目指して、使い続けたいと思います。

2011年1月28日金曜日

書かない子をどうサポートするか (6)

ある人から紹介されて、『豊かな言語活動が拓く国語単元学習の創造・理論編』と実践編の小学校低学年編を読みました。
国語の単元学習は、大村はまさんの実践と倉沢栄吉さんの理論で有名ですが、日本国語教育学会としても長年取り組んできたものだそうです。
この本自体、国語界の名だたる方々の分担執筆の形で書かれています。(いったいどんな読者層を想定して書いているのかな? その人たちに届く形で書かれてあるのかな? と疑問を持ちながら読まざるを得ませんでした。少なくとも、現場の先生たちが「単元学習に取り組んでみよう!」と思えるようには書かれているとは思えないからです。教科書会社が教科書とセットで出してくれている年間指導計画とさほど変わりがあるようにも思えませんでした。)話が逸れてしまいました。単元学習を批判することがこれを書いている目的ではありません。あくまでも、子どもたちが主体的に書くためのサポートの仕方について考えることです。

実践編の小学校低学年用の中に、以下のような具体的なサポートの仕方が紹介されていました。



これを見られてどう思われましたか?(表をクリックすると、拡大で見られます。)
教師が「よかれ」と思って、子どもたちに書き慣れるために考え出したリストであることは、伝わってきます。それも、年間を通してタイミングよく。
しかし、エネルギーの使い方が違うんじゃないか、とも思いました。
教師ががんばって大切なことを考え、子どもたちはその結果を「言語活動」としてこなすだけです。それに意味を見出せる子たちにとってはいいのですが、そうでない子たちにとっては「やらされ感」が結構強いことも予想されます。
さらには、教師がテーマを出さないと書かない子どもたちの育成をしているような部分も否定できません。「依存関係」の構築です。
本来、書く題材を自分が決めることが、書くことの7~9割を占めています。(実際に、本物の作家、詩人・俳人、ノンフィクション・ライター、ジャーナリストはそうして書いています。)ちなみに、読む場合も同じで、選書(自分にあった本を選べる能力)が7~9割を占めるような教え方が望ましいのだと思います。

★ということで、「自立した書き手を育てる」という視点があるかないかで、教師がすること=子どもたちがすることはまったく違ったものになってしまいます。

★たくさんの「言語活動」や「単元学習」を教師主導でこなすことはできます。(それは、たくさんの時間を費やすことができる、という意味です。)しかし、それでどれだけ子どもたちが主体的に書くようになったり、書く力を伸ばせるようになるのでしょうか?

『豊かな言語活動が拓く国語単元学習の創造・理論編』の272ページには、学習が「生きた学習」になる3つの要件を提示してくれていました。
・学習者一人ひとりへの「個に応じた指導」が保障されている学習
・教師のみでなく仲間からも学ぶ「集団が個を育て、個が集団を育てる」仕組みが備わっている
・生活上の課題や学習者の実感・必要感に根ざした「言語行為」が遂行される学習 = 「聞く・話す・読む・書く」が単なる活動ではなく、魅力ある達成目標のために組み上げられている (鳴門教育大学・村井万里子教授作成)
これは書く授業のみならず、すべての授業をチェックする際の大事な指標になると思います。

●これらの視点でこの本や実践編の各事例を見ていくと、どれだけの事例が3つの要件を満足しているでしょうか?
●WWのアプローチは、満足しているでしょうか?
●これら3つ以外に、大切な要件は思いつきますか?
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2011年1月21日金曜日

作家に学ぶ〜作家の伝記、自伝、回想録を活用する〜

 突然ですが、「作家ノート」をこの週末に買うことにしました。その理由は今日の「WW便り」の最後に書きます。

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 今日の「WW便り」は「作家に学ぶ〜作家の伝記、自伝、回想録を活用する〜」です。

 これは、3〜6年生の読み書きについての情報満載な本(大判のページに細かい字でぎっしり書かれた本で、600ページ以上あります!)を見ていて、面白いページを見つけたからです。

 そこには、2ページにわたり「作家から書くことについて学ぶ」という表がありました。

 その表には2〜3行ずつでひとまとまりになっている文が書いてあります。そしてそのひとまとまりごとに、作家がどのように書いているのか、どんなところからヒントを得ているのか等々、作家が書くことに関してのいろいろなエピソード的(?)な本当の話が書かれています。

 もちろん、そこに登場する作家の多くは、子どもたちがその作品をよく知っている作家です。私も好きな作家が何人かいたので、けっこう興味をもって読みました。

 上の本を共著で書いたフォンタス氏とピネル氏は、その本で、こういう例を教師に示したあとで、授業で、作家の伝記、自伝、回想録(もちろん作家のホームページもいい情報源)から一部を読み聞かせ、それをつかって「作家に学ぶ」ことができることを示しています。

 作家が題材をどうやって選び、どのように書くのかを、作家のいろいろなエピソードから知り、そこから自分の書くことに活かせることを学んでいくのです。

 作家の伝記、自伝、回想録、作家のホームページ、作家へのインタビューなどを集めたカゴをつくっておいて、子どもたちが、自分の好きな作家がどのように書いているのかを自分で学び、それを他の子どもに共有することもできることが、この本から分かります。

 これは初期の「題材さがし」や「書けそうな題材リスト」をつくる頃には、もちろんとてもいいと思いますが、しばらくして「書くことがなくなった」みたいな子どもが出て来た時期にもいいかもしれません。

 また、初期の頃には、「作家ノート」の使いかたにつなげる形で、「作家に学ぶ〜作家の伝記、自伝、回想録を活用する〜」ことを教えるのもいいなと思いました。

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 さて、「作家ノート」ですが、フォンタス氏とピネル氏は、「作家ノート」の大切さと、その使いかたを教えるいい方法の一つとして、教師の作家ノートを子どもたちに見せながら教える、ということを挙げています。

 ここで私は困ってしまいました。

 実は、私は「作家ノート」が使えていないのです。授業用につくって見せたことはあります。でも、それは「本当の」ものではありません。何度か「本当に」つくってみたのですが、それは私は継続できませんでした。

 何度か挫折したのに、なぜ、今日のブログの一番上に「『作家ノート』をこの週末に買うことにしました」と書いたのでしょうか。

 というのは、リーディング・ワークショップのことを思い出して、作家ノートに再びチャレンジしてみたいと思ったからです。

 リーディング・ワークショップでは「読書ノート」があります。これも私は何度か挫折したのですが、嬉しいことに、ここ1〜2年は、ずっと続いています。

 そして私の場合は、「読書ノート」が継続して使えるようになった時期と、自分が読み手として成長したと思える時期(そして、リーディング・ワークショップについての理解が深まったと思える時期)とが重なっています。

 そう思うと、「作家ノート」にも、もう一度、トライしてみたいと思うのです。書き手が書き手を教えるライティング・ワークショップへの理解を深めるためにも。

***
上で紹介した本の情報は以下です。 
Guiding readers and writers, grades 3-6「作家から書くことについて学ぶ」という表は425-426ページ、作家に学ぶことと作家ノートについては25章参照)(著者: Irene C. Fountas, Gay Su Pinnell)Heinemann, 2001年

2011年1月17日月曜日

書くこととマルチ能力

 私のマルチ能力へのこだわりは本を翻訳して、出版してしまうぐらいの筋金入りです。(『マルチ能力で育む子どもの生きる力』トーマス・アームストロング著、小学館 ~ 残念ながら絶版!)

 簡単に、マルチ能力を説明すると、人の能力は多様だということです。少なくとも、①言語能力、②論理的‐数学的能力、③空間認識能力、④音感能力、⑤身体‐運動能力、⑥自己観察・管理能力、⑦人間関係形成能力、⑧自然との共生能力があります。(「マルチ能力」ないし「マルティプル・インテリジェンス」で検索すると、たくさんの情報が得られます。)

 学校で主に能力というときは、9割がた以上は①言語能力と②論理的‐数学的能力のことを指しているのではないでしょうか。他は、ほとんど能力として捉えられていませんから、それらにいくら秀でていても、少なくとも学業では役に立たないと思われてしまいます。
 でも、人間が生きていくに際して必要なのは、これら8つが極めて大切だと主張しているのがマルチ能力の理論です。実際、それらの能力で食べている人がたくさんおり、人間は言語能力と論理的‐数学的能力だけで食べているわけでも、人の価値が決まっているわけでもありません。
 このマルチ能力の視点で人を見られるようになると、多くの子どもたちが救われることになります。一般的に、人は一つか二つで秀でているものをもっているからです。

 なお、言語能力は国語で、論理的‐数学的能力は算数・数学や理科で、音感能力は音楽で、身体‐運動能力は体育で磨くというふうに教科に対応しているわけではありません。
 使い方としては、音感能力や身体‐運動能力が秀でた人にとっては、音楽を使ったり、身体を使ったりして、国語や算数・数学や理科や社会科を学べると、それらが苦手であっても、すんなり入る可能性が高いということになります。私の場合だと空間認識能力が高いわけですが(なんと、大学、大学院で学んだことと最初に就いた職業が都市計画でした!)、それは当然地理や歴史で生かされましたが、他の教科ももっと空間に関連づけて教えてくれていたら、あまり苦労せずに学べていたというわけです。

 国語で言語能力を使うというか、磨くのは当然のことなのですが、他の能力に秀でた人たちにとっては、それらも使ってくれると国語が好きになるというか、国語ができるようになる可能性は飛躍的に高まります。

 たとえば、前回紹介された詩について言えば、私自身、ここ4ヶ月ほど俳句や詩(もどき!)を一日一句作ってきてつくづく感じることですが、外に出るとスラスラ出てくることが多いのです。部屋の中で、言語能力(と論理的‐数学的能力?)だけで書こうと思ってもなかなか出てきません。外に出て五感で感じることで、考えもしなかったようなものが出てくるのです。その意味では、空間認識能力や身体‐運動能力や自然との共生能力と関係してくるのかと思います。
 音感能力に秀でている人にとっては、音楽を聞くことで詩が浮かんでくるような可能性もあるのではないでしょうか?
 さらには、一人でいるときにいい詩が思い浮かぶ人(論理的‐数学的能力ないし自己観察・管理能力)もいるでしょうし、他の人たちと話し合っている時にひらめく人(人間関係形成能力)もいるでしょう。

 ぜひ、言語能力以外をうまく活用することも考えてみてください。特に、私と同じように言語能力に秀でていない子たちにとっては救いになるはずです。