ライティング・ワークショップの第一人者の一人、ラルフ・フレッチャー氏は、ある時期から、真剣に写真撮影を学び始めます。すると、思いがけず、写真という未知の分野だけでなく、「書くこと」についての多くの学びがあったと言います(★1) 。「写真」と「書くこと」の相互作用が見えてきて、写真を「作家ノート」や「メンター・テキスト」として使ったり、「作家の技」ならぬ「写真家の技」から、書くことのヒントになりそうなポイントをを考えたりもしています。以下のページ数は、写真と書くことの相互作用を感じる本 『Focus Lessons』(★2) からです。副題は「写真はどのようにライティングを教えることを強化するか」(How Photography Enhance the Teaching of Writing)。この本ではフレッチャー氏渾身の、数多くの写真、そして彼がプロの写真家から学んだことなども記されています。
「作家ノート」に特化した著作(★3) もあるフレッチャー氏ですが、写真を学び始めると、カメラを作家ノートのように使うことも増えてきたと言います。フレッチャー氏にとっては、作家ノートに書き留めることは「世界に反応すること」で、カメラも「世界に反応する」ために使えることに気づいたからです(17-18ページ)。
フレッチャー氏によると、写真を撮ることで、世界を吸収することも行っている。つまり自分の心を捉えて、興味をかきたてる物、反射、陰に対して、幅広く網を打つことができる。写真を撮ることは、これは、小さくランダムに見えるけど、自分には重要だ、それを自分の人生に取り込みたい、そして忘れたくない、という気持ちの表れなのです(21ページ)。
・写真を見て、驚いたことは?
・何度も、戻ってみてしまう、インパクトに強い写真は?
・何度も目が向く被写体は?
・それについて何か書いてみたい写真は?
『Focus Lessons』の5章(32-76ページ)では、写真を撮るときに活用できそうな「写真家の技」が、15のレッスンで紹介されています。「緊張をつくりだす」(46-48ページ)、「プラスアルファの要素を加える」(60-62ページ)、「ジェスチャーを通して人物を描く」(71-73ページ)など、写真家が使える技が、文章を書くことと、自然に共鳴しているように感じます。
フレッチャー氏は、作家ノートで書くことを色々実験するように、写真でも、色々な写真家の技を使ったりと、実験もしてるようです(21-25ページ)。
8章は(92-101ページ)は、写真がどのように書くことを助けてくれるのかについて書かれています。例えば、写真にキャプションをつける(94-95ページ)、写真に注釈を加える (96ページ)、写真を眺め、それについて何か書いてみる(97-100ページ)等々です。
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