2021年5月7日金曜日

読書感想文より効果的な方法がたくさんある!

 以下は、小中学校の教師を対象に、これまでとは違う歴史の教え方について書かれている『歴史をする』の第4章「自分の知らかなかった自分に出会う」からのコピーです。

 


 より効果的かつ効率的に(生徒たちにとって意味のある形で)時間を使ってください。つまり、読書感想文に無駄な時間は使わないでください!★

  この後の本文は、次のように続いていきます。(小中学校での歴史の授業での伝記の使い方がテーマですが、かなりの部分、国語にも当てはまる内容になっています!) ~ 青字斜体は、筆者のコメントです。

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 生徒は、歴史探究のモデルとして伝記をどのように使うことができるでしょうか? 確かに、伝記を小グループの話し合い活動やほかの課題と結び付けて利用することには何の問題もありませんし、文学作品と同じように、人々は伝記を楽しみのために読んだり、それらについて議論したり、ほかの誰かにすすめたりするものです。しかし、この章で紹介しているようなプロジェクトのなかで伝記を使うと、生徒はそれを歴史的な特性を兼ね備えた本として注目することになります。

歴史家は、伝記を読んでそれについてレポートを書くことはありません。彼らはむしろ、そのような伝記を自分で書くか、ほかの歴史家が書いた伝記を評価するということをします。それらは、どちらも小中学生にもできることです。~ まさに「歴史をする」「歴史家になる」アプローチでの教え方・学び方です。それは、「本当に読んだり書いたりする」「作家や読書家になる」アプローチと同じです!

 生徒は自分のことを書き、出版された伝記、ビデオやインターネットの情報、さらには誰かから聞いた話や民間伝承を使って有名人の重要な出来事について年表をつくり、それらをまとめて物語化したり、ある種のプレゼンテーションにつくりあげたりすることができます(第3章の小学生の実践を参照)。重要なことは、彼らが自分自身の歴史で行ったときと同じように、ある人の人生に起きた出来事の影響と、それが起きなかった場合の状況の違いを説明することです。~ この最後の視点、大事ですね! その前の部分も、とても楽しそうです!! (この種の事例が、この本にはふんだんに紹介されています。)日本の社会科や国語で取り組まないと! その際、とても参考になる本が、一つの教科書から脱して、複数の「テキスト・セット」を提案している『教科書をハックする』です。すでに読書感想文の時代は過去のものになっているのと同じように、一つの教科書で学ぶ時代も過去のものです。

六歳の生徒と一四歳の生徒ではかなり違うものをつくりますが、どちらも単に「レポートを作成する(感想文を書く)」よりも作業に熱中します。彼らは歴史を問い、情報を集めて解釈し、自分が気づいたことを振り返るのです。~ まさに、歴史家がしているのと同じことができるのです!!(当然レベルはかなり違いますが。子どもたちは、○○博士になることが大好きなことを思い出してください。)

この方法で複数の情報源を用いて歴史的な説明を作成することは、単に歴史的な物語を浮かびあがらせるだけではなく、歴史的な証拠とのクリティカルで深い解釈との出合いに向けて生徒を取り組ませる重要なステップとなります。そのうえで教師が、つくられた伝記の唯一の読み手となる代わりにクラスで冊子にすれば ~ まさに「作家の時間」の実践と同じです、自分たちの調査結果を比較したり、調査した人物のうち、誰が現代社会にもっとも大きな影響を与えたかについて議論したりするかもしれません ~ この比較と議論は、とてつもなく大切だと思います。したがって、ある出来事の個人への影響を考えることは、社会における個人の影響について理解することにつながるのです。 ~ 最後のところは、かなり重要です。日本の歴史教育(や国語教育も?)でこの視点は含まれているでしょうか? これなしの歴史教育(や国語教育?)は、歴史(国語)と言えるのでしょうか??

少し話は逸れるかもしれませんが(伝記から、フィクションへ)、私にとっては『ギヴァー』がこの最後のテーマを扱う際の最適の題材の一つになっています。「ある出来事の個人への影響を考えることは、社会における個人の影響について理解することにつながる」ことがよく分かりますから。

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  『歴史をする』には、「読み書き」と「聞く話す」の事例がふんだんに紹介されています。

 『教科書をハックする』には、「読むこと/書くことを学びに活かす」方法が具体的に書かれています。

 

★欧米では、すでに読書感想文に対する見方は、ここで紹介されている形で定着しているようです。10年前に『Ban the Book Report(読書感想文を禁じる)』というタイトルの本さえ出ているぐらいです。また、Fifty Alternatives to the Book Report  by Diana Mitchellhttps://library.ncte.org/journals/EJ/issues/v87-1/3517というのもあります。(ちなみに、この資料はNCTEが出しています。日本流にいうと「全米国語教育学会」です。)後者「ブックレポートに代わる50の代案」の翻訳が読みたい方は、pro.workshop@gmail.com宛にメールください。さらに、「alternatives to the book report」で検索すると、大量の情報が得られます。


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