ライティング・ワークショップという教え方が紹介されたのは、『ライティング・ワークショップ』が出版された2007年3月のことでした。その当時はまだ、検索エンジンで「ライティング・ワークショップ」を入力しても何も引っかかりませんでした。
それがいまは、少しはあります。まだ少なすぎますが。(状況は、「作家の時間」でも同じです。残念ながら、まだまだ知られていません! ぜひ、この卓越した方法を実践し、そして広げてください!)
日本での実践がはじめて紹介されたのが、『効果10倍の学びの技法』(2007年5月刊)の中でした(109~114ページ参照)。そして、その翌年4月に、『作家の時間』が出版されました。
今回は、そのはじめて日本でのライティング・ワークショップの実践例が紹介された本の『効果10倍の学びの技法』(PHP新書)が絶版になっていたのを、みくに出版が増補版の形で復刻してくれることになり、14日に刊行されます。タイトルは、前回はサブタイトルだった『シンプルな方法で学校は変わる』です。
なお、オリジナルのタイトルである「効果10倍・・・」には、深い意味はありません。著者の二人は、最初から「シンプルな方法で学校は変わる」で考えていましたが、前年に出た『効果10倍の教える技術』の売れ行きがよかったので、それにあやかる形で出すのが企画として通りやすいという理由だけでした。今回は、元々著者たちが考えていたタイトルで出せてスッキリしています。その方がはるかに中身を表していますから。
すぐにでも取り組んでみたくなる(と同時に、授業や学校を変えるための効果的な方法がライティング・ワークショップも含めて47つも紹介されています。それらの情報収集をしたり実践をしたりしたのは、もう15~24年前になりますが、それらに対するニーズは、本が出た12年前よりも、今の方がはるかに高まっていると思います★。これらの方法が紹介されているパート1は、そのままで十分に使えるという判断から、最小限の加筆と情報の追加しか行いませんでした。
著者二人は本の構想段階から理論編と実践編の2つのパートの構成で考え、そして理論編の「なかなか変わらない学校をどう変える?」も、12年前に書きあがっていました。しかし、本が新書版で出ることになり、ページ数の関係でパート2はすべてカットするという判断を下さざるを得ませんでした。しかし、今回はそれがすべて(若干新しく書き直した箇所もありますが)掲載されますので、うれしい限りです。
ここで「学校」と書かれている部分は、そのまま「授業」に置き換えても、すべてあてはまってしまいます! それほど、両者は同じ問題を抱えているというか、「入れ子」構造になっているわけです。(実は、研修や会議も、同じです! 最初から学校を変えるのが難しいと思われるなら、ぜひ授業、研修、会議、さらに行事等で練習をしてみてください。それも、関わる人数があまり多くない状態で試してみるのがいいと思います。「夢は大きく、行動は小さく」が成功するための鉄則です。そして、小さな成功を積み上げていってください。逆に、最初から大きく動いてしまうと、失敗が約束されているようなものですから、ご注意ください。)
★「アクティブ・ラーニング」が言われ出したのは、数年前からですが、その中身はもちろんのこと、日本の教育が(当時も、今も、そして今後も!)考える必要のあることがかなり網羅的におさえられています。しかし、1冊の本ですべてを網羅することなど到底できませんから、二人の共著者は、その後12年間も(その前も!)授業と学校をよりよくするというテーマにこだわり続けて(それぞれの領域や力点のおき方は異なりますが)、情報提供・発信を続けています。新刊の巻末には、そうした本がリストアップされていますので、ぜひそちらも参考にしてください。そのうちの一つが、昨年スタートした「ハック(巧妙に改造し続ける)・シリーズ」です。その第1弾は『成績をハックする』でしたが、第2弾の『宿題をハックする』は4月に出版される予定です。そして、第3弾は今年中に『教科書をハックする』を、さらに第4弾には「教員研修・研究をハックする」を予定しているので、ご期待ください。これらはすべて、国語の授業を巧妙に改造し続けるためにはもちろん、すべての教科領域で欠かせないテーマを扱っています。
あなたは、学校の何をハックしたいですか?
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