「それで?の法則」は、「作家の技」を教えるためのミニ・レッスンの一つです。中学生を教える先生がミニ・レッスンで生徒の作品を使って、「テーマ」という概念の説明をしていたときに、そのクラスの他の生徒が「それで?」と問い返したところから、このオリジナルな言い方が生まれました★。
この法則を今日のRWWW便りで、紹介したいと思った理由は二つあります。
まず、一つ目。生徒がある概念をしっかり理解できるような、その教室ならではの言い方があるのが、単純にいいなと思いました。★★
二つ目は、この「それで?の法則」は、夏休み明けの「作家の時間」でのミニ・レッスンにいいかも?と思ったからです。
「それで?の法則」とは、「テーマ、書く目的、理由、動機等を掘り下げる」ことです。
また「それで?」と自分に問いかけることで、書きながら、新たな意味を創造したり、隠れていた意味を見つけることにもつながります。
夏休みには子どもたちはいろいろな経験をしていますから、書きたい「出来事」はたくさんあるかもしれません。でも「●●に行きました、●●をしました」だけで終わってしまっては、もったいないですし、読者にとってもあまり印象に残らないように思います。
そこで、「それで?の法則」の登場です。
この中学校の教室の「それで?の法則」のまとめの中で、次の文章に、私は強い印象を受けました。
“「それで?」という問いに答えるには、書き手自身がどのように考え、感じているのかを追求するのが一番だ。書き手が書くことを考え抜くことで、「それで?の法則」が生きてくる。しかし、いくら考えても「それで?の法則」の答が見つからないこともある。そういう場合は、その題材をあきらめるか、一時保留にしておこう。”★★★
この最後の箇所、「そういう場合は、その題材をあきらめるか、一時保留にしておこう」、これに、私はとても納得です。
WWで「(現時点では)自分が追求する価値のない題材はやめるか一時保留する」ことができるのは、RWの選書で「(現時点では)自分には合わない本をやめる」ことと同じぐらい大切だろうと思いました。
ちょうど、読み手が少しずつ、自分の選書の基準をつくっていくように、書き手も自分で題材選びの基準をつくっていくのだと思います。「それで?の法則」は、その一助にもなりそうです。
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★ 中学レベルの優れた実践者、ナンシー・アトウェルの教室の例です。詳しくはNancie Atwell著の 『In the Middle』の第3版、114~117ページ。
★★ その教室ならではの言い方という点では、『読書家の時間』(60~63ページ)に、複数の本を同時に読む時、先生が「パンダ読み」、「レインボー読み」として紹介していることを思い出しました。書くことでも、読むことでも、教室によってのオリジナルな用語はけっこう生まれていることと思います。「それで?の法則」も、ぜひ、自分の教室でのいい用語を考えてみてください。
★★★ この文は上で紹介した本の115ページに出てきます。
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