2014年1月3日金曜日

他人からのお薦めを読もう(その2)


 前回、2013年末のRWWW便りのコメント欄に、本の紹介をいろいろと書いてくださってありがとうございました。

 前回のコメント欄を見ながら、この年末年始にどれを読もうかと迷いましたが、『働き方革命』(駒崎弘樹、ちくま新書)をアマゾンで中古で入手し、読みました。

 読んでよかったです。今日のRWWW便りの後半にこの本について少し書きます。

*****
 
 さて、今回も引き続き「他人からのお薦めを読もう(その2)」ということで、本の紹介です。

 RWを一緒に学んでいる人に、最近読んだ本から、今日のRWWW便りに向けて、お薦めを書いてもらいましたので、それを以下、貼り付けます。

<おすすめ本1>

『私は負けない~郵便不正事件はこうして作られた』 村木厚子 中央公論社 2013年

 この事件については、ニュースで見たときから「何か変だな」という直感が働いたのをよく覚えています。この、村木さんという方の顔つきから、そんなことするはずの無い人、という匂いが漂っていたからです。

  頭の片隅で気になっていたこのニュースは、しばらくたって、「無罪」と報道され、「やっぱりな」と思ったのでした。だから、この本を見た時には思わず「お、読みたい!」とうずうずしはじめました。

 その時には一人ではなかったのと、今忙しいから、次出会って、また読みたければ本物、と思うようにする恒例のパターンで、一度はあきらめました。でも二回目は「がまんできない」と思って買い、すぐに読み始めました。

 語り口がやわらかなのに苦しい苦しい内容です。自分にも似たような(もっと軽いもの)経験があり、そのことと重なると、読んでいて苦しくなりました。

 しかし過去のことではない、これが、現実か、と思わされる衝撃の内容です。検察は信じられるとばかり思っていました。
 
 自分は、村木さんのように誠実に生きていきたい、と思うのと同時に、人間の心はこんなにも弱いものか、と思い知らされました。私の直感通り、村木さんはやはり柔らかく強い方です。それが救いでした。

<おすすめ本2>

 『テラプト先生がいるから』ロブ・ブイエー作 西田佳子訳 静山社 2013年

 ある読書会の課題本になり出会いました。この先生との出会いで7人の子ども達が目を見張るほどの勢いで変わっていきます。この先生は新米、改めて、教師は年齢や経験だけが大事なわけではないと思えます。

 読書会でも話題になったのは、テラプト先生を真ん中において、7人の目でクラスや自分たちの変化が描かれているので、肝心なテラプト先生の気持ちは書かれていません。その手法が面白いと思います。

 私は教師ですが、子ども一人一人に、こんな風に自分の見え方が違うということが興味深いです。

 様々な角度から物事を見たり、批判的な(重要な)思考で一つのことを見たりすることに、このごろ意図的にチャレンジしていますが、この本は私の今のそのチャレンジともつながり、面白かったです。

*****

 さて、私自身は、上記のように、この年末年始に読んだ『働き方革命』について、少し書きます。

 コメント欄で紹介してくださった人は、著者の書き方の上手さや感情を伝えることの巧みさにも触れていますが、たしかに上手だと思います。フィクション大好きで、ノンフィクションはなかなか読めない私ですが、上のような書き方にも助けられて、あっという間に読めました。

 いろいろとつながりを見出せた本でした。

 まずは、最近のPLC便りでの、優先順位(緊急性と重要性のマトリックス)、本質的な問い(本質的な問い)とのつながりを感じました。
 
 また、最近、時々考えていた「自分にとって安心できる場所/安全地帯 (comfort zone) から踏み出す」という点ともつながりの見出せた本でした。

 さらに、WWを一緒に学んだ人が、素晴らしい授業をしていて、すごいですね、と言ったことがあるのですが、そのときに、「ボクは日本の国語の授業を変えたいと思っています」とおっしゃいました。そのことも思い出しました。

 人は変われる・変われない、という両方の面からの面白さも感じました。つまり、その人らしさを失わずに(=変わらない)、でも改善はできる(=変わる)ということです。

 私自身は、ITや機械が全くだめなので、ついていけないと感じる部分はありますが、得手不得手とは関わりなく、納得できる部分や応用できそうな点もありました。

*****

 本の紹介で、もう1冊。新年の授業に使う本の候補として、Nancy Carlson の I Like Me! (邦訳は『わたしとなかよし』ナンシー・カールソン)はいかがでしょうか?

 自己肯定とそれに基づく努力、前向きと言う点では、とても、ストレートなメッセージで、こういうのは、年代を超えて、新年(あるいは卒業時に?)いいなあと思ったりもしています。ここまで肯定していると、反省や吟味もお忘れなく、とちらっと言いたくもなりますが。

2 件のコメント:

  1. 前回の記事に書き込もうと思っていたのですが、遅れてしまったのでこちらへ書かせていただきます。

    2013年に読んだ本からお薦めのもの
    ①『しずかな日々』(椰月美智子 講談社文庫)
    ②『日の名残り』(カズオ・イシグロ 早川epi文庫)
    ③『合言葉はフリンドル!』(アンドリュー・クレメンツ 講談社)
    ※『合言葉はフリンドル!』は図書館で借りて読んだのですが、とても気に入ったので原書を購入しました。同じ作者の『こちらランドリー新聞編集部』もとてもいい作品でした。

    2014年の始めに読もうと思った本
    ①『心は前を向いている』(串崎真志 岩波ジュニア新書)
    ②『池上彰の憲法入門』』(池上彰 ちくまプリマリ−新書)
    ③『縦横無尽の文章レッスン』(村田喜代子 朝日新聞社出版)
    ④『サラスへの旅』(シヴォーン・ダウド ゴブリン書房)
    ⑤『セカンド・ウィンド1』(川西 蘭 小学館)

    返信削除
  2.  コメント欄への書き込みをありがとうございます。

     『合言葉はフリンドル』ですが、『リーディング・ワークショップ』(新評論)の66ページにでている写真が、その原書を読んでいる男の子です。

     私はこの男の子の表情を見て、この本を読もうと思い、読みました。私もいい作品だと思いました。

    返信削除