2013年2月15日金曜日

ブッククラブの長~い歴史


 前回に続いて「歴史」についての情報です。
最近出た『読書をさらに楽しくするブッククラブ』RWの大切な要素のひとつ)では、具体的な事例を中心に、その効用や運営の仕方について紹介することが中心だったので、歴史的な部分については最小限(=日本の戦前・戦中以降)になっています。
今回は、その歴史について本を書き終えたあとに見つけた情報を紹介します。それらからは、ブッククラブが人と本との付き合いが始まって以来、連綿と受け継がれてきた方法であることがわかります。私たちはそれを長い間忘れていただけだということも。

『新・本とつきあう法』(津野海太郎著、中公新書)の163ページに、アメリカ建国の父の一人といわれるベンジャミン・フランクリンが「1731年、当時はまだ20代で、友人たちの蔵書を一か所にあつめて私的な読書クラブを組織した」のがアメリカにおける公共図書館のはじまりと書いてあります。
 『市民結社と民主主義』(ホフマン著、岩波書店)の28~29ページには、読書クラブは18世紀初めにイギリスで誕生したこと、ドイツで最初の読書協会は1760年に成立されたが、30年後には500以上に達していたことなどが書かれています。
 『江戸の読書会』(前田勉著、平凡社)の8~12ページには、色川大吉が明治の自由民権運動の時代は「学習熱の時代」であったことを指摘したことを紹介したうえで、それは江戸時代、全国各地の藩校や私塾★で行われていた会読という「定期的に集まって、複数の参加者があらかじめ決めておいた一冊のテキストを、討論しながら読み合う共同読書の方法」の遺産だとしています。

 このように洋の東西を問わず、私たちは本ができていらいブッククラブ(読書会)に親しんできたわけですが、いつのまにか「一人静かに読むもの」にしてしまったようです。もったいないです。上記の本の効用(特に、パート1の第3章)をご覧いただければ、ブッククラブをしないことで失われるものの多さに驚くはずです。

 なお、ブッククラブは読書や国語の時間にその使用が限定されるものではありません。教科の壁はありません。ぜひ、本物の本(や関連する記事)を使って各教科で取り組んでみてください。それによって、その教科が好きになる子が必ず増えるはずです。本物のパワーはそれほど強力です。特に、教科書(=偽物?★★)をなかなか受け付けない子たちにとっては、救いとなるでしょう。

 ちなみに、本ができる前に存在した長~い「語り」の時代には、語り聞いた後に、話し合いはしていたのでしょうか?


★ 寺子屋では、この方法は使われませんでした。
★★ ここでは、「本物」に対して「偽物」としただけです。少なくとも「読み物」として作られた代物ではありません。

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